シリーズものにしようと思っていた「美容外科で使いドナー」はネタ切れです笑
というのも、そもそも美容外科でドナーはあまり使いませんでした。
皮膚移植は形成外科的な治療ですし、脂肪移植はありますが、これまた特殊です。
骨移植は流石にないでしょうし・・・
今回は縫合に使う糸について特集しようと思います。
まずは素材から
「溶ける糸」
「溶けない糸」
の2種類がございます。
溶ける糸は中縫い(真皮縫合)や移植物の固定などに使います。これば抜糸を行いません。
溶けない糸は抜糸をする外縫いや、溶けては困る部位などに使います。
挙筋前転、SMASの固定など
溶ける糸でも「溶ける期間」・・・と言いますか「張力を維持できる期間」で分類されます。
「4週以内で張力がなくなる糸」
「6週以上張力がある糸」
です。中縫い(真皮縫合)基本的には張力が長く続いた方が傷跡が綺麗になります。
中縫いについてはこちら↓
では、なぜ張力の持続期間の短い糸があるのか?!
早く溶けて欲しい部位というものがあります。
「抜糸が行いにくい外縫い」です。
鼻の中や口の中です。
まずよく見えません。また抜糸を行うがために無理くり鼻や口を引っ張るのは・・・痛いですし、形に影響するので行いません。ですので、抜糸しなくても早めに脱落してもらいたいものです。
そして糸の物理的な構造
「モノフィラメント」
「編み糸」(ブレイド)
の2種類がございます。
詳細はイラストをご覧ください。
こちらも基本的にはモノフィラメントの方が有用なことが多いです。
理由は2つ
①組織(皮膚、軟骨、筋膜など)を通すときに抵抗がなく、ダメージが少ない
糸を通すのって意外とダメージがあって、無理に引っ張ると裂けることがあります。
特に多いのが軟骨と瞼板。こればっかりはモノフィラメントでないと恐ろしくて意図が通せません。
②細菌がつきにくい
編み糸は糸の繊維の隙間に細菌がくっ付きます。それが組織に移行すると感染の原因となります。
ですが、そもそも美容外科手術は感染率が高くないですし、感染するとしても原因は最近ではなく、血流にあります(感染についてはまた今度ネタにします)。
ですので、②の理由は美容外科においてはあまり重視されていません。
では、何故編み糸が存在するのか?!
モノフィラメントは「ちくちく痛い」からです。
釣り糸と洋服を縫う糸を比較してください。
釣り糸(モノフィラメント)って固くてチクチクしますよね?
洋服用の糸って肌触りが良くて痛くありません。
溶ける糸と同様に鼻や口の中、結膜は痛みがあると困るので編み糸を使うことが多いです。
ちなみに編み糸はコストが安いです。まさかコストダウンで編み糸を使う美容外科の先生はいないと思いますが・・・
まとめます。
以下、よく使われる商品名です↓
「溶けない糸」
「モノフィラメント」
⇨ナイロン糸、プローリーン、アスフレックス
皮膚縫合、瞼板固定(挙筋前転、腱膜固定)、二重埋没、軟骨固定、SMASの固定など
「4週以内で張力がなくなる糸」
「編み糸」
⇨バイクリル
鼻の中の皮膚・粘膜縫合、口の中の粘膜縫合、結膜の縫合(裏ハムラ、脱脂、タレ目手術など)
「6週以上張力がある糸」
「モノフィラメント」
⇨PDS
中縫い(真皮縫合)、軟骨固定、筋膜の固定など
これは一例です。
中縫いにあえて溶けない糸であるナイロンで縫合する場合もあります。
その方が傷跡の赤みが少ないと言われています。
軟骨も溶けるPDSで縫合することもあれば溶けないナイロンで縫合することもあります。全てはケースバイケースです。
次回は「縫合用の糸」ではなく「縫合用の針」について特集します。
乞うご期待ください。
非常にわかりにく説明で申し訳ございません。
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