『包帯5年足持ち10年』

『手術は教わるのではない、見て学べ』

『手術は若手にはやらせない』

 

・・・これらは私が慈恵医大の形成外科に入局した15年ぐらい前に言われていたフレーズです。

当時はこれが当たり前でした。

2025年の現在では考えられないことです。

 

近代の研修医は17時きっちりに帰るようです。いや帰らされる?!

不真面目とかそういう話ではなく、きっちり夜勤隊?の医師に引き継いで淡々と帰るようです。

そうでないとパワハラやブラックに認定されるんだとか・・・

 

 

学生の時に昭和大学の形成外科に1ヶ月見学に行きましたが、そちらはもっと体育会系でしたし、

友人が杏林大学の形成外科に入局しましたが、そちらも0時前に帰れる日はほとんどなかったようです。

 

 

働き方改革で医師の働き方も変わっております。

時間外労働は少ない(本当にそうなのか疑問。研修医が帰っている分、上級医が夜遅くまで働いているような気もします)

効率良く働く

 

この『効率良く働く』というのが今回のブログテーマです。

 

我々外科医として効率良く働くには、無駄(と思われる)を削ることが大切です。

 

とすると真っ先に削られるのが

『手術見学』

でしょう。

 

 

手術の規模にもよりますが、大抵の手術は

執刀医(美容では執刀医と呼びますが、病院では術者と呼ぶことが一般的です)

助手1

助手2

機械出し看護師

外回り看護師

の5人ぐらいいれば、よっぽどの手術でない限り回ります。

 

極論、助手は1人でも良いかもしれませんし、助手と機械出し看護師は両立できるかもしれません。

 

すると

執刀医

助手兼機械出し

外回り看護師

の3人で手術できることもあります。

 

ですが、15年前の大学病院の手術って

遠くから眺めている見学者が1〜2人ぐらいいるのが通常でした。

 

この見学者って実習で回っている学生なこともありますが、研修医やレジデント(形成外科入局後1〜2年ぐらいの若手)のことが多いです。

手術をすることに関してはこの見学者は必要ありませんし、患者様からしても不要です。

 

ですので、無駄と言えば無駄になってしまいます。

2025年の現在では削られることが多いのではないかと思います。

 

 

これ

 

 

本当に無駄なのでしょうか?!

 

 

・・・

15年前の当時の私

・・・

 

無駄だと思ってました汗

 

 

見学って、結構辛いのです。

手術って2〜3時間と時間がかかることが多いです。長い手術だと10時間以上かかることもあります。

 

実際に手術を行う執刀医や助手からするとアドレナリンが出ていて一瞬です。

また、手術を行うキャリアがある医師からすると、見学って興味深いのです。

「この先生はこうやるんだ〜」と勉強になります。

 

ですが、研修医や若手医師はメスを握ったことがありません、もしくは経験値が非常に少ないです。

手術を見学しても、数%しか理解できません。

 

想像してください。

全く英語が話せない人が、字幕なしの洋画の映画を観て楽しめますか??

映画は画像を見て、ある程度想像で楽しめるかもしれませんが、手術は映画以上によくわからないと思います。

 

つまり

 

手術見学って若手医師によってかなり苦痛となることがあるのですよ。

それも毎日毎日あるわけですから・・・

 

ということで15年前の私は手術見学を何て無駄な行為なんだろうと思ってましたし、、

最近の働き方改革で手術見学が減ったのは良いことのようにも思えます。

 

 

ですが!!

 

 

 

本当にそうなのか?!

 

 

 

15年経過した今、あの時の手術見学は意味があったのではないかと再考しています。

 

①手術が上手な医師の一つ一つの行為には無駄がなく、華麗な動きをします。手術が簡単に見えます。

これは、自身が手術を行うようになると理解できます。自分は「てんやわんや」になります。

当然ながら、いつかはこんな手術ができるようにと勉強になります。

 

②手術があまり上手でない医師の手術も、これはこれで勉強になります。

こうやれば良いのか!と理解が進みます。

ただし、いざ自分がやると同じふうになる・・・なんて良くある話です汗

 

③手術を軽く考えないという、強いメンタルも鍛えられます。

 

 

少なくとも言えるのは

『見学の大切さは経験を積んでからでないと理解できない』

ということです。

 

若いうちは効率化効率化と、仕事の表面的なものしか理解できません。

実は仕事ってそんな単純なものではないのです。

 

見えないところに本質があったりします。

 

40歳近くのオジサンになって、初めて気づくことが沢山あります。

人生に無駄なものなんて少なかった、いや無かったのかもしれません。

 

最近の若い医師の労働環境は改善しているように見えますが、実際にはそうではないのかもしれません。

昔の根性や精神論が諭された時代の方が、実は良かったのかも。

 

 

 

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