6-6 ぷるるるるるる
ヒマ人な奴のことだ、どういうセコイ離れ技を、しでかしたのかは分からないが、ゼルペンティーナのケータイが繋がらないと知って、最寄りのケータイを検索。その番号も探知して、かけてきたのだろう。ついでに彼女の私的な下僕である、小鬼たちまで操って。
こういう手間なことが、得意な連中だとは知っていたが――
実際に、気持ちよく寝込んでる時にやられると、本当に、ムカツク。
『ねえ……聞いてるのかな?』
「はいはい。聞いてる聞いてる。悪かったわよ。謝る謝る」
『そうだよ。謝ってくれるのなら……構わないんだ』
男は安心したのか、いつもの尊大な調子に、返り咲く。
ちょっと聞いた感じ、ゼルペンティーナと同じ年頃の、少年の声だ。
しかしこの異能者の業界ほど、声や見た目の印象が、あてにならない世界もない。若返りの薬やら、筋肉や骨格を衰えさせない細胞活性化の気功術やら、そんなもの、ごまんと存在しているのだ。
あからさまに「大金持ちですよ」と言わんばかりの良い声を響かせて、
『僕が……帝国が、君にどれだけの研究開発費を投資しているのか考えたら、そんな口は利けないはずなんだよ? 一応聞いておくけれど、君は今、帝国からすごく離れた辺境の地に出かけているよね――それは、帝国の仕事なのかい? それとも、ノマドとしての?』
「仕事は計画通り、進めておりますので、ご心配なく」
スポンサーに対し、一応、丁寧な口調になる。
(……なーんで自由を愛する解放の民、ノマドの私が、帝国に束縛されなきゃならないんだか。ちゃんと仕事をこなしてるんだから、どこに居たって構わないでしょーに)
心の奥底で、不平をぶつぶつ言いながら、一転、
こういう手間なことが、得意な連中だとは知っていたが――
実際に、気持ちよく寝込んでる時にやられると、本当に、ムカツク。
『ねえ……聞いてるのかな?』
「はいはい。聞いてる聞いてる。悪かったわよ。謝る謝る」
『そうだよ。謝ってくれるのなら……構わないんだ』
男は安心したのか、いつもの尊大な調子に、返り咲く。
ちょっと聞いた感じ、ゼルペンティーナと同じ年頃の、少年の声だ。
しかしこの異能者の業界ほど、声や見た目の印象が、あてにならない世界もない。若返りの薬やら、筋肉や骨格を衰えさせない細胞活性化の気功術やら、そんなもの、ごまんと存在しているのだ。
あからさまに「大金持ちですよ」と言わんばかりの良い声を響かせて、
『僕が……帝国が、君にどれだけの研究開発費を投資しているのか考えたら、そんな口は利けないはずなんだよ? 一応聞いておくけれど、君は今、帝国からすごく離れた辺境の地に出かけているよね――それは、帝国の仕事なのかい? それとも、ノマドとしての?』
「仕事は計画通り、進めておりますので、ご心配なく」
スポンサーに対し、一応、丁寧な口調になる。
(……なーんで自由を愛する解放の民、ノマドの私が、帝国に束縛されなきゃならないんだか。ちゃんと仕事をこなしてるんだから、どこに居たって構わないでしょーに)
心の奥底で、不平をぶつぶつ言いながら、一転、
6-5 ぷるるるるるる
『ああ寝てたんだ。それはすまないことをしたね』
思った通りの、響きのある荘厳な声に、ゼルペンティーナは眉をひそめることもせず、
ピッ!
通話を切って、ケータイを投げ出し、再び、絨毯の上に突っ伏す。
チャーカチャッチャ……ピッ!
「……なによ……」
『……信じられないこと、する人だね……』
ケータイの中の若い男の声は、一転して不機嫌そのものだ。
『どうやったら僕からの通信を、切ったりなんかできるんだ?』
「眠いのよ」
『眠いって――じゃあ……僕に言うことは、それだけかい?』
「用は何?」
相手の上から目線口調に、だんだんイライラしてきた。
「あんたがこんな所にまで干渉してくるんだから、相当の用件でしょうね?」
でなけりゃ、絶対ぶっころす。
『その前に。僕に一言、謝るべきだとは思わないかい?』
「ん"ー……」
あんたのプライドより私の睡眠の方が急務なんだけどね。自分からの電話は、切られっこないとでも思ってるのかしらん。これだからお坊ちゃんは!
ケータイの奥深く、何やらごちゃごちゃ言っていてうざったいので、ゼルペンティーナはケータイを耳から離した。
そしてシャンデリアの光の下、手にしたケータイが、全然、自分の知らない他人のものだと気付く。
あー……。このケータイは見覚えがある。旧校舎に侵入してきた不良学生がいて、ちょっと脅したら逃げていったその時落とした、あれだ。そのまま排水溝に蹴り込んどいてやったんだけど――うわ。ってことは、これ、排水溝から引き上げてきたんだ。なんて手間。
思った通りの、響きのある荘厳な声に、ゼルペンティーナは眉をひそめることもせず、
ピッ!
通話を切って、ケータイを投げ出し、再び、絨毯の上に突っ伏す。
チャーカチャッチャ……ピッ!
「……なによ……」
『……信じられないこと、する人だね……』
ケータイの中の若い男の声は、一転して不機嫌そのものだ。
『どうやったら僕からの通信を、切ったりなんかできるんだ?』
「眠いのよ」
『眠いって――じゃあ……僕に言うことは、それだけかい?』
「用は何?」
相手の上から目線口調に、だんだんイライラしてきた。
「あんたがこんな所にまで干渉してくるんだから、相当の用件でしょうね?」
でなけりゃ、絶対ぶっころす。
『その前に。僕に一言、謝るべきだとは思わないかい?』
「ん"ー……」
あんたのプライドより私の睡眠の方が急務なんだけどね。自分からの電話は、切られっこないとでも思ってるのかしらん。これだからお坊ちゃんは!
ケータイの奥深く、何やらごちゃごちゃ言っていてうざったいので、ゼルペンティーナはケータイを耳から離した。
そしてシャンデリアの光の下、手にしたケータイが、全然、自分の知らない他人のものだと気付く。
あー……。このケータイは見覚えがある。旧校舎に侵入してきた不良学生がいて、ちょっと脅したら逃げていったその時落とした、あれだ。そのまま排水溝に蹴り込んどいてやったんだけど――うわ。ってことは、これ、排水溝から引き上げてきたんだ。なんて手間。
6-4 ぷるるるるるる
来たって私は知らないからな。
私は……
――ガタン!!
少女の心臓が、びくり、跳ね上がる。
研究室のドアの下の方に、何かがぶつかるような音。
続けて、
ガタン! ガタ、ガタ、ガタン!
ぱたぱたぱたぱた、と小さな足音が、少女の倒れる真横を走り抜け――
人間には聞こえない、彼ら固有の周波で会話。
組体操をした彼らは、実に不器用に、研究室のドアノブを回す。
チャーカチャッチャーチャ!
チャーカチャッチャーチャ!
チャーカチャッチャーン!!!
ケータイが、ついに大音量で研究室に入ってきた。
自然霊である小鬼だけならドアを自由に素通りできたのだが、ケータイがどうにも引っかかってしまっていたらしい。
2匹の小鬼は鳴りっぱなしのケータイをかつぎ、絨毯の上に倒れ伏したゼルペンティーナのすぐ耳元へ運んでくる。
チャーカチャッチャチャ
チャーカチャッチャチャ
チャーカチャッチャーン……ピッ!
「……なんの用?」
地獄の亡者どもをロストできそうな険悪な低い 声で、美貌の少女はケータイの通話をONにした。
「寝てたんだけど」
私は……
――ガタン!!
少女の心臓が、びくり、跳ね上がる。
研究室のドアの下の方に、何かがぶつかるような音。
続けて、
ガタン! ガタ、ガタ、ガタン!
ぱたぱたぱたぱた、と小さな足音が、少女の倒れる真横を走り抜け――
人間には聞こえない、彼ら固有の周波で会話。
組体操をした彼らは、実に不器用に、研究室のドアノブを回す。
チャーカチャッチャーチャ!
チャーカチャッチャーチャ!
チャーカチャッチャーン!!!
ケータイが、ついに大音量で研究室に入ってきた。
自然霊である小鬼だけならドアを自由に素通りできたのだが、ケータイがどうにも引っかかってしまっていたらしい。
2匹の小鬼は鳴りっぱなしのケータイをかつぎ、絨毯の上に倒れ伏したゼルペンティーナのすぐ耳元へ運んでくる。
チャーカチャッチャチャ
チャーカチャッチャチャ
チャーカチャッチャーン……ピッ!
「……なんの用?」
地獄の亡者どもをロストできそうな険悪な低い 声で、美貌の少女はケータイの通話をONにした。
「寝てたんだけど」