6-43 角砂糖
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――その、ほんの少し前。
「だあーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ゼルペンティーナは、心の中で、目一杯の叫び声をあげた。
AM3時すぎ。
すなわち、爆睡タイム。
なんでっ? なんで今? という大混乱な感想しか思いつかない。
「……えええええいっ!! もううっ!!!」
頭に響く、最大音量のビープ音。
研究室のモニターが自動で点灯。赤い文字が画面上を駆けめぐる。
自分で仕掛けたんだから分かっている。
どんなに寝たふりを決め込んでも、このビープ音が勝手に止まるはずなどない。
絨毯から、這いずるように、どうにか起きあがり、
「分かった! 分かったから、もういいっ!!!」
センサーと連動しているコンセントを引っこ抜く。
くしゅんっ!!
そして盛大に、くしゃみを一つ。
風邪を引いてしまったようだ。
やっぱりいい歳をした女の子が、絨毯の上で、寝込むものじゃない。
6-42 角砂糖
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とどかない。
とどかない。
とどかない。
彼らは困惑していた。
――なにゆえなのだろう?
進めない。
進めない。
進めない。
彼らの王は、すぐ目と鼻の先だ。
手を伸ばせば、すぐ届く距離。
――なのに。
とどかない。
これでは、おぞましい逃走の時代と同じ。
人間どもの目を、恐々として逃れていたころと同じ。
湿った洞穴。臭い葉陰。月の聖なる光をも通過させぬ澱みの裏。
窮屈な場所へ、暗がりへ。
人間どもに狩られ、追いやられていたころと同じ。
彼らの渇望するものが。
平穏が。
この先に、あるというのに。
――進みたい……!!!!!!!!!!
けれど、どうしても。
進めない。

