南域結界☆ ジェルソミーナ -197ページ目

6-48 角砂糖

「あの女、私の邪魔をする気なのかしらっ!?」
 百鬼夜行は津波のように、学校の敷地内へと折り重なっていく。
 このままでは学校は、あやかしの大群に飲み干されてしまうだろう。
 飲み干されてしまったら――?
 ――後のことは、誰にも分からない。
 濃度の高まった青黒い瘴気が、大地の木々を枯らしていく。
 隙間も見えない閉塞感に、夜空も森も、押し潰されそうだ。
「学校は潰れても構わないけど――っ!!」
 ティーナはいまいましげに叫ぶと、風の中、見事な黄金の髪をうねらせ、
「ええええいっ! こんなチャンスをみすみすっ!!!!!」
 細い指を夜空へ打ち払った。
 瞳に緑色の光がはしり、細い髪の先端にまで光が満ちる。
 銀枠に踏みしめた両脚にも、目に見えない輪が生まれる。
 刹那。
 夜空を、大気の砕け散るような感触が駆けめぐった。
 続けざま、無数の星々のように、圧倒的な力が、天頂から、地上へ突き刺さる。

6-47 角砂糖

 いやいや、しかし、忘れてはならない。
 笑みがこぼれてならないのを、少女は必死にこらえながら、
「んーっと?」
 いそいそ。腰に下げたポケットから、ぶ厚い双眼鏡を取り出す。
 見えてくるのは空を埋め尽くす、青黒い霧のような、百鬼夜行の大群。
(……よぉし、これなら実験に間に合いそうねー!)
 だけど、一心不乱になってまで、百鬼夜行はどこに向かっているのかしらん?
 白い息を吐きながら、双眼鏡の倍率を変える。
「……ああ。学校かー……」
 驚くわけでも、予想外でもない声で、ぽつり呟いた。
「学校までは、まだ距離があるみたいだけど……。変ね。学校の様子が……?」
 首を傾げ――
 るかしないかのうちに、彼女は撃たれたようにポケットへ手を突っ込んだ。
 絶対に入るはずのない大きさの、ポータブルデバイスを引っ張り出し、
「やだなあ……! 学校でも、騒ぎが起こってるじゃない!」
 画面を覗き込んだ眉間に、みるみる、不機嫌なしわが寄る。

★【イラスト】リリカちゃん

”ねえ?林檎はどーして地面に落ちるの?”-リリカちゃん
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模写で練習ドキドキ 初めて透明水彩、使ってみたよ。いい感じーニコニコ