6-51 王の封印
「こちらに遠慮なさらずに、実験なさればよろしかったのですわあ。さくっ♪ と気持ちよく」
「さく……っと!? 軽はずみな実験なんてできないわよ! そっちの状況が分からない、ってことは、これから何が起こるか分からないって状態じゃない! 爆弾を背負い込んでたかもしれないのよ!?」
正気じゃない! 首を振る。
そしてやにわに、剣呑に声を落とし、
「――あれは。なに?」
「先触れの大量発生ですわあ」
「先触れ?」
はっ! とティーナは、馬鹿にして笑った。
理事長室の壁越しに、校舎を示していた指を、何度も突き刺すように振って、
「あれのどこが?」
女のとぼけたような、横顔を見据える。
「センサーには先触れの反応はないわ。ウソは時間の無駄だから、やめてくれない?」
「さく……っと!? 軽はずみな実験なんてできないわよ! そっちの状況が分からない、ってことは、これから何が起こるか分からないって状態じゃない! 爆弾を背負い込んでたかもしれないのよ!?」
正気じゃない! 首を振る。
そしてやにわに、剣呑に声を落とし、
「――あれは。なに?」
「先触れの大量発生ですわあ」
「先触れ?」
はっ! とティーナは、馬鹿にして笑った。
理事長室の壁越しに、校舎を示していた指を、何度も突き刺すように振って、
「あれのどこが?」
女のとぼけたような、横顔を見据える。
「センサーには先触れの反応はないわ。ウソは時間の無駄だから、やめてくれない?」
6-50 王の封印
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「止まりましたわ……」
暗い窓を見上げ、そっと、貴婦人は呟いた。
キツネの毛皮で作られた、あたたかな襟巻き。そろいの帽子。
フェルトの赤いブーツ。
襟の高い真紅のドレスの、腕から背に、真紅のショールがかけられている。
絹のような銀の髪には、一輪の赤い薔薇。
小さなテーブルには、赤いワイン。
泣きぼくろのある白い目尻は、気のせいかうっすらと赤くなっている。
「まるで祝宴のまっさいちゅうね!!」
静寂が破られたのは、その直後のことだった。
ドスの利いた低音が室内いっぱいに響き、暗い天井に、銀枠が出現する。
枠を抜け現れたのは、眼光の鋭い、黄金の髪の美少女。
外套に積もった雪を払いもせず、
「どうもあんたって人は! 他人の研究を邪魔したくて仕方ないみたいね! せっかくの百鬼夜行を、私が今、後回しにして来たのはなんでだと思う!? マリーナ、全部、あんたのせいよっ! あんたが城の管理をしっかりしておかないからっ!!」
6-49 角砂糖
耳には聞こえない、轟音。
先頭を行く、魔物たちの動きが、急に停止した。
先頭が停止したために、その後からやってくる魔物たちも、前へ進むことができない。
戸惑う魔物たちの背後に、透明なドームが追加される。
人間の耳では感知できない、轟音が立て続けに起こる。
それは異世界の壁で、空間を切り分けたかのような。
「くしゅんっ!!」
ティーナは大きなくしゃみをした。
大技を使った直後だというのに、鼻がむずむずして仕方ない!
扉に渦を出現させ、その中心へ飛び込みつつ、
「――あんたたちは、しばらくそこで、じっとしてなさい!!」
金色の髪をなびかせ、ハエ取り紙に吸い付いたような、大群へ叫ぶ。
あまりに巨大なお椀型をした、二重構造のドームが、夜空へ屹立していた。
城への進路と、退路を断ち、百鬼夜行を夜空へ、立ち往生させたのだ。
後に残るのは、灰色の闇たちの悲痛な叫び。
先頭を行く、魔物たちの動きが、急に停止した。
先頭が停止したために、その後からやってくる魔物たちも、前へ進むことができない。
戸惑う魔物たちの背後に、透明なドームが追加される。
人間の耳では感知できない、轟音が立て続けに起こる。
それは異世界の壁で、空間を切り分けたかのような。
「くしゅんっ!!」
ティーナは大きなくしゃみをした。
大技を使った直後だというのに、鼻がむずむずして仕方ない!
扉に渦を出現させ、その中心へ飛び込みつつ、
「――あんたたちは、しばらくそこで、じっとしてなさい!!」
金色の髪をなびかせ、ハエ取り紙に吸い付いたような、大群へ叫ぶ。
あまりに巨大なお椀型をした、二重構造のドームが、夜空へ屹立していた。
城への進路と、退路を断ち、百鬼夜行を夜空へ、立ち往生させたのだ。
後に残るのは、灰色の闇たちの悲痛な叫び。