6-56 王の封印
「こういう大変なことがあった時は、もっと早く言いなさいよ、マリーナ!!」
ずっと年長の彼女に向かって苦言を述べる。と、マリーナは薄く微笑んだ。
その、はっきりしない表情に、少女は一瞬、いぶかしげな顔をしたが――
気を取り直し、作業用の薄絨毯を足元に広げる。
とにかくここに腰を落ち着けて、王を封印できるものを作ろう!
研究所に戻っている時間は無いし、気力なんかはさらに無いのだ。
>
冷たい白壁。
蛍光灯が、点滅を繰り返している。
――取調室。
ではなく、真夜中の、職員室。
閑散とした部屋の中央には、体育教師や数学教師、実技教師に囲まれて、椅子の上、うなだれている少年の姿があった。
赤みがかった紅茶色の髪。
どんな女性も振り返る、凛々しい顔立ち。
いつも溌剌とした輝きに満ちている瞳には、さすがに疲れが宿っていた。
「お前、地下へ降りただろ」
何度、そう聞かれたことか。
アーヴはその度に答える。
「……知らねーよ」
ずっと年長の彼女に向かって苦言を述べる。と、マリーナは薄く微笑んだ。
その、はっきりしない表情に、少女は一瞬、いぶかしげな顔をしたが――
気を取り直し、作業用の薄絨毯を足元に広げる。
とにかくここに腰を落ち着けて、王を封印できるものを作ろう!
研究所に戻っている時間は無いし、気力なんかはさらに無いのだ。
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冷たい白壁。
蛍光灯が、点滅を繰り返している。
――取調室。
ではなく、真夜中の、職員室。
閑散とした部屋の中央には、体育教師や数学教師、実技教師に囲まれて、椅子の上、うなだれている少年の姿があった。
赤みがかった紅茶色の髪。
どんな女性も振り返る、凛々しい顔立ち。
いつも溌剌とした輝きに満ちている瞳には、さすがに疲れが宿っていた。
「お前、地下へ降りただろ」
何度、そう聞かれたことか。
アーヴはその度に答える。
「……知らねーよ」
6-55 王の封印
痛い。
頭が痛い。
しぶるマリーナから、少年の名前を聞き出しても、頭痛は治まらなかった。
「公国は、確実に攻めてくるわよ!? 王の封印が解けたことを知ったら」
王国時代の話に、公国は異常なまでに、神経質(ナーバス)なのだ。
「封印が解けたっていうことは、あとは、目覚めるだけって状態じゃない。いやそれだけじゃないわ、そんなことよりも……ヤツは!! あああ! もう一度……棺桶に突っ込むわけにはいかないのっ!?」
「ティーナさん……よっぽど、お嫌いですのね」
「――あたりまえでしょ!!??」
とんでもない剣幕で吼える。
魂が抜け落ちそうなほど、最悪な気分で、少女は結んだ髪を振りほどいた。
もう研究所に帰って、眠って、何もかも無かったことにしたい気分だ!
「私は、再度、封印しなおす手だてを、考えるわ!」
いっそ異世界に突っ込んで、フリーズドライにでもしたほうが、後々、面倒がなくていいんじゃないのかしら!?
頭が痛い。
しぶるマリーナから、少年の名前を聞き出しても、頭痛は治まらなかった。
「公国は、確実に攻めてくるわよ!? 王の封印が解けたことを知ったら」
王国時代の話に、公国は異常なまでに、神経質(ナーバス)なのだ。
「封印が解けたっていうことは、あとは、目覚めるだけって状態じゃない。いやそれだけじゃないわ、そんなことよりも……ヤツは!! あああ! もう一度……棺桶に突っ込むわけにはいかないのっ!?」
「ティーナさん……よっぽど、お嫌いですのね」
「――あたりまえでしょ!!??」
とんでもない剣幕で吼える。
魂が抜け落ちそうなほど、最悪な気分で、少女は結んだ髪を振りほどいた。
もう研究所に帰って、眠って、何もかも無かったことにしたい気分だ!
「私は、再度、封印しなおす手だてを、考えるわ!」
いっそ異世界に突っ込んで、フリーズドライにでもしたほうが、後々、面倒がなくていいんじゃないのかしら!?
6-54 王の封印
「王の封印を、解いた!?」
しぃっ声が大きいですわ。そうマリーナは制止したが、ティーナは声を荒げたまま、
「王って……。まさか、とは思うけど! あの、シュプロン王!?」
「ですから……」
理事長は、戸惑うように瞳を深々と落とし、
「……あまり……話したくはなかったのですわ……」
シュプロン王は、今からざっと、100年以上も昔の王だ。
王国時代、最後の王。
ワケあって、当時の天体魔術やら、闇科学をフル稼働させ――
王は、「永遠に眠ったまま」にされた。
正確には違うが、コールドスリープ(冷凍睡眠)のようなもの。
「……マリーナ。あんた、ここの墓守でしょ? 王の棺と、王の眠りを守るのが、理事長、つまりは墓守である、あんたの役目だったはず」
「私も……うかつだったんですわ……」
「それで――その、封印を解いた少年、とかっていうのは……?」
しぃっ声が大きいですわ。そうマリーナは制止したが、ティーナは声を荒げたまま、
「王って……。まさか、とは思うけど! あの、シュプロン王!?」
「ですから……」
理事長は、戸惑うように瞳を深々と落とし、
「……あまり……話したくはなかったのですわ……」
シュプロン王は、今からざっと、100年以上も昔の王だ。
王国時代、最後の王。
ワケあって、当時の天体魔術やら、闇科学をフル稼働させ――
王は、「永遠に眠ったまま」にされた。
正確には違うが、コールドスリープ(冷凍睡眠)のようなもの。
「……マリーナ。あんた、ここの墓守でしょ? 王の棺と、王の眠りを守るのが、理事長、つまりは墓守である、あんたの役目だったはず」
「私も……うかつだったんですわ……」
「それで――その、封印を解いた少年、とかっていうのは……?」