映画「みえない雲」
公式サイトなし。
参考(アマゾン)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000OMD1H8/
2006年公開のドイツ映画。自宅でDVDで鑑賞した。このDVDは、雑誌「通販生活」の定期購読会員への付録として送ってきたもの。
「通販生活」は、福島の原発事故が起こる前から、チェルノブイリの事故後の状況について特集記事を載せたりして反原発を訴えてきていた。しかし、今回のようにDVDを送ってきたのは初めてである。記事は読まない人でも、ストーリーのある映画のDVDだったら、ちょっと観てみようか、という気になることも多いだろうから、インパクトがある。カタログハウス社がこの映画の版権を買い取ったのだろうか。すごいことをするものだ。
「みえない雲」の原作は、ドイツ人作家グードルン・パウゼヴァングによる小説で、コミック版も出版されているそう。
【以下、ネタバレがあります】
映画の最初の20分は、さながら学園もののアメリカのテレビドラマのよう。高校生の甘酸っぱい恋愛模様を含む明るい状況が流れる。しかし、校内に警報音が響くところから事態は一変する。そこからラストまで、主人公が原発事故により被災し、家族はバラバラになり、病気が発症して…、という悲惨な状況にみまわれていく。
警報は「ABC(アーベーツェー)警報」だという。Aは核兵器、Bは細菌兵器、Cは化学兵器だそうで、ドイツではこれらについての警報が決まっていて、学校でも日常的に訓練をしているのだろうか。先生や生徒が警報を聞いて「ABC警報だ!」「これは訓練ではないのか」「本物なら12秒の間隔があるはず」などと口にしている。
本物の警報とわかり、学校中、そして街全体がパニック状態になっていくのだが、日本では防災警報はあるにしても、このような警報はないし、訓練も行っていない(最近になり原発事故の訓練を始めたところもあるようだが)。そして、映画では原発事故があったことをすぐに国民に伝え、逃げるように避難放送が流れている。日本ではどうなんだろうか。福島の事故では、避難時も、なるべく国民に情報を伝えないようにしていた。国民に正確な情報を伝えると、パニックが起きるという配慮なのかもしれないが、映画での状況との違いを感じた(むろん映画なので、パニック的な状況を見せないと真に迫らないということもあるだろうが)。
主人公ハンナは、放射能による障害のため病院に入院するが、髪の毛がすべて落ちてしまう。弟と母の死。街に出ると、被爆した者への偏見や差別に苛まれる。しかし、ボーイフレンドとの再会から、未来に希望を見い出していく、というのがあらすじ。
ハンナと小学校低学年くらいの弟が自転車で避難する最中に、弟がクルマにはねられて亡くなる。しかしストーリー的には、迫りくる放射能から少しでも早く逃れたいというシーンだけに、ちょっとぶれた気がする。弟は原発事故とは無関係に命を落としたからだ。
目の前で弟が事故に遭い、呆然となる姉に、通りがかりのクルマからおじさんが降りてきて、弟の脈をみるが、既に死亡している。姉は弟を抱いて「いっしょにつれて行く」、と言うのだが、おじさんは「そんな状況ではない」と言って、弟をとうもろこし畑の中に置いてくるのである。また、おじさんのクルマの後に続くクルマからは、「道の真ん中で何をしているんだ」などとの怒号やクラクションがうるさく鳴り響く。
日本人から見ると人々がすごく薄情で残酷だし、目を疑うシーンなのだが、製作意図としては、逃げ惑う人たちがパニック状態のすえ利己主義になり、他人のことなどどうでもよくなってしまう、といったことを描きたかったのかもしれない。パニック映画ではありがちなシーンであるが、もうすこし他の表現はなかったのだろうか。
その他にも、ハンナが入院している病院にボーイフレンドが訪れてきて、部屋に入ろうとするボーイフレンドに対して職員が「被災者になるがいいのか?」というシーンがあるが、その意味がよくわからなかった。なぜ病院に見舞いに行くと被災者とみなされるのか。まさか放射能が感染するという誤解はないだろうが。
そして、病院内でハンナとボーフレンドが結ばれるのだが、その直後、ボーイフレンドが自らの体に発疹が出ていることに気が付く。これも表現として良くない。ボーイフレンドはその後、「逃げるときに放射能を浴びすぎてしまったんだ」と言っているので、その理由を示してはいるのだが、シーンのつながり方からして、まるでハンナとの性交渉の結果、放射能が感染したように見えてしまうのだ。この表現は残念である。
いろいろと難癖をつけてしまったが、原発事故をとらえたパニック映画は貴重で啓発的だし、福島の原発事故からもうすぐ2年が経つ現在、改めて原発事故の恐ろしさについて考えるに十分な内容であることからして、80点をつけたいと思う。
原作の小説は読んでいないが、映画よりもシリアスなのかもしれない。この機会に、取り寄せて読んでみようと思う。なお、「通販生活」からもらったDVDには、販売DVDにある特典映像は入っていない。
映画「砂漠でサーモン・フィッシング」
公式サイト
これも、なんとく面白そう、というだけで観に行ったもの。近くの映画館では、この映画を一日1回しかしておらず、今週末で上映終了、ということなので、今日しかないという日曜日に観に行ってきました。
【以下、ネタバレがあります】
恋愛ものとは知っていたし、タイトルからはもっとチャラけたコメディタッチ、あるいは奇想天外な映画なのかな、と思っていたけど、けっこう真面目なストーリーだった。英国映画らしくジョーク的な要素も含まれている。
設定もストーリーも悪くないと思うのだが、どうもいまいちぱっとしない。始まってすぐ、ついウトウトしてしまった(個人的に眠たかっただけかもしれないが)。
砂漠の真ん中にサーモンフィッシングができる施設を造るということと、嫁さんがいる(ただし亀裂が入っている)中年男が若い女性と結ばれることとが、「神がかり的」との共通項で、同時並行的に進行していく。
予定調和的に、最後に2人が結ばれるのはわかっているのだけど、じゃあ戦場から奇跡的に助かって帰ってきた若者はどうなるのだ。彼は国のために戦い、恋人に会うのを励みに、命からがら生き残って帰ってきたのだし。
彼はまだ若いし、すぐ次の恋人が見つかるだろうしいいか、ってことなら、彼にも未来のある予兆を少しだけでも入れてくれればもっとハッピーエンドだったと思う。
悪くない映画だとは思うけど、さりとてオススメというわけでもないので、55点としておきます。
映画「レ・ミゼラブル」
公式サイト
http://www.lesmiserables-movie.jp/
すごく良い、という話を聞いたので、ぜひ観とかなきゃと思って行ってきました。うわさにたがわず、素晴らしかったです。
歌と音楽が最高。俳優・女優のみなさん、歌が本職でないのに、歌めちゃくちゃ上手いです(この映画の歌って、吹き替えじゃないんですよねぇ??)。私も知っている、ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アマンダ・セイフライド、アン・ハサウェイ、といった俳優・女優さんたちが歌いまくります。中でもアマンダちゃんのソプラノ音域の歌声、素晴らしかった!!
私はミュージカルに詳しくないのですが、この映画は、アメリカの劇場ミュージカルの台本をそのまま映画化しているんでしょうかね。音楽や演出もいっしょなのかな?調べてみないと…。
セリフはほとんどなく、ほぼすべて歌でできています(死ぬ直前の人が、あんなにうまく歌を歌えるんいかい?という疑問はおいといて)。品の良い、完成度の高い作品だと思います。ミュージカルなので、ストーリーを追いかけるものでなく、セットとか映像、そして音楽と歌を楽しむものなんですよね。もう一度くらい観ないとと味わえないかも。
もう一度劇場に行こうかな。あるいはブルーレイが出てから観ようか、迷うところ。ミュージカル映画に点数をつけるのは難しいけど、85点としておきます。
追伸
ネット情報によると、通常、ミュージカル映画は、先に歌を録音して、それに合わせながら演技を付けるところ、この「レ・ミゼラブル」では、役者が演じながら歌い、それを録音しているのだそうです。だから自然な歌だし(もちろん口ともぴったり合うし)、舞台のミュージカルと同じく役者の現場での感情がしっかり歌に表現されているのだそうです。
それでいて、あの歌のクオリティとは恐れ入りました。85点と書きましたが、90点にアップさせていただきます。