大阪鍛工スパナは、自動車会社5社(三菱自動車、新三菱重工業、日産自動車、ヤマハ発動機、愛知機械)へのOEM納入が確認できています。

また、産業機械に付属されているメンテナンス用スパナも4社あります。

さらに、工具商社ブランド(MIKASA)も。

 

1. 自動車会社向け

 OEM-1 /三菱-1 

・三菱自動車向け。(シルバーピジョン・スクーター用かもしれません)

・JIS-N/普通級。

・JIS規格に基づき、大阪鍛工の製造者記号である  だけが裏面に刻印されています。

 

 OEM-2 /三菱-2 

・同じく三菱自動車向けで、JIS無し。

・硬さがJIS-N/普通級のHRC36に届かず、JISマークは表示できなかったのかもしれません。

・裏面が  だけというのも珍しいモデルです。

 

 OEM-3 /新三菱重工業 

・車載工具の写真より、新三菱重工業の軽オート三輪LEO (1959年~1962年) に搭載されていたことが分かります。

・このことから、大阪鍛工は少なくとも1960年頃にはOEM商売を始めていたことが分かります。

・上のOEM-1か2のいずれかと同じスパナを車載していたと推測しますが、銀色に見えますので、亜鉛メッキ版だったものと思います。

 

 OEM-4 /日産 

・日産自動車向けは大半が昭和スパナでしたが、大阪鍛工も日産に納めていました。

 

 OEM-5 /ヤマハ-1 

・三菱の凹丸パネルとは異なる凹尖りパネルをヤマハ発動機に納めていました。

・JIS-H/強力級です。

・二輪の車載スパナにJIS-Hを採用するものなのか、何用なのかちょっと不思議です。

・左右のサイズ表示の前にメトリックの"M"が刻印されていることから、時代が古そうです。

 

 OEM-6 /ヤマハ-2 

・JIS無しですので、車載スパナと思います。

・こちらもサイズ表示の頭に"M"が付いていますので、古そうです。

・例えば、ヤマハ最初のオートバイであるYA-1あたりに車載されたスパナの可能性があります。

 

 OEM-7 / 愛知機械 GIANT-1 

・大阪鍛工製の"GIANT"スパナを見つけました。

・大阪鍛工は1960年前後に三菱に同じような形状の車載スパナを提供していたことも併せて考えると、"GIANT"は愛知機械/ヂャイアント(ならびにヂャイアント・コニー)向けのOEMスパナと特定して良いと思います。

・表面にブランド名として"GIANT"。

・裏面にJISマーク、"H"(強力級)、"O-G"(製造記号?)、 (大阪鍛工の製造者記号)

・JIS商品に表示が義務づけられている製造者記号より大阪鍛工製と分かります。

・表裏共に凹丸パネル。

・三菱向けは表面のみが凹丸パネルで裏面はフラットなのですが、この"GIANT"は表も裏も凹丸パネルであり、"GIANT"向けの専用ボディーになります。

⇒ 当ブログ内の詳細は、こちらにて。

 

 OEM-8 /愛知機械 GIANT-2 

・クロモリ製もあります。(SNCM…ニッケルクロームモリブデン鋼)

 

★愛知機械 GIANT/1,000cc級 三輪車(オート三輪)

・1947年~1960年

・AA26(1959年)

↑AA26車両外観

  

↑フロントエンブレム(Giant)

↓エンジン/AE25型の刻印(GIANT)⇒ このロゴがスパナに

 

2. 産業機械向け

 OEM-9 / 三菱メイキ 

・三菱メイキは、三菱重工業の名古屋機器製作所が生産していた汎用エンジン。

・そのエンジンに同時納入された整備用スパナだと思います。

・2024年3月から(株)Willbe (ウィルビー) に社名変更されています。

※Willbe HP ⇒ こちら

 

 OEM-10 / 竹川工業-1 ロゴのみ 

 

・名古屋にあるベルト加工機の製作会社"竹川鉄工"(現アミテック)が機械納入時に付属させていた工具一式内のスパナ。

・大阪鍛工と竹川鉄工、名古屋企業同士のコラボです。

・最初は本品だけを見つけていて、ロゴだけでしたので、OEM先が分からずにいましたが、次のOEM-11には同一ロゴと共に"TAKEKAWA"と刻印されていたことから、竹川鉄工向けと判明。

・"TAKEKAWA+工具"で検索してみたら工具箱写真がヒット ⇒  産業機械に付属された工具と推定 ⇒ 工具箱に名古屋と入っていたので、"TAKEKAWA+名古屋+機械"で検索 ⇒ ロゴと会社名が入った銘板がヒット。

・裏面に  がありますので、大阪鍛工製と分かります。

・特異なサイズ(12x21)。

※アミテックHP ⇒ こちら

 

 OEM-11 / 竹川工業-2 with "TAKEKAWA"刻印 

・新たに"TAKEKAWA"刻印入りを見つけました。

・この会社名刻印より竹川鉄工製と分かった次第です。

・本品はJIS規格サイズの17x21ですので、JISマーク付き(JIS-H/強力級)です。

 

・機械と共に納入された工具一式。

・OEM-10 (12x21)が含まれているのが分かります。

↓木工用ベルト加工機例とロゴ付き銘板

 

 

 OEM-12 /小森印刷機械-1 

・大阪鍛工製のJIS認証付きで、(株)小森印刷機械製作所に納入されたOEMスパナです。

・裏面の製造者記号  より大阪鍛工製と分かります。

・また、表面のコウモリ印ロゴと、裏面の"KOMORI"より小森印刷機械向けと分かります。

・裏面にウィットワース・サイズが併記されています。(w5/8、w3/4)

・そのウィットワース・サイズは、スパナのJIS-B4630規格開始時(1952年)に規定されたものの、1957年の改定時には規定が無くなっています。

・したがい、本品は1952年~1957年の製品と推測できます。

・小森印刷機械(現・小森コーポレーション)に確認したところ、『印刷機械納入時にメンテナンス用として工具を同梱していて、工具同梱は昔からの実施で、現在は一般的な市販工具を採用している』とのこと。

・さらに、『コウモリ印のロゴを使用していたのはかなり昔のことで、コウモリ印付きの専用スパナを同梱していたかは記録が無いので分からない』とのことでした。

(コウモリ印ロゴ付きのKOMORIスパナが見つかりましたので、実際には専用スパナがあったことになります)

・表面中央のコウモリ印ロゴは、小森印刷機械が商標登録しています。

⇒ 当ブログ内の詳細は、こちらにて。

 

コウモリ印の変遷が興味深いです。

個人的には初代1932年がバットマンみたいで好みです。

 

 OEM-13 /小森印刷機械-2 

・大阪鍛工の表示が無く、またJISマークも無く、ロゴと"KOMORI"だけのスパナも見つかっています。

・スパナ形状が上のJISマーク付きと全く同一なことから、これも大阪鍛工製と推測しています。

・大阪鍛工製であった場合、初期の大阪鍛工でJISマーク無しはこれまで見つかっていないことから、これまで確認できていなかったJIS認証以前の大阪鍛工スパナなのかもしれません。

(推測 ⇒ 最初はノーブランドで納入していたが、1952年にJISを取得したので、それ以降はJISマーク付きに変更し、JISマーク付きなので自動的に製造者記号が表示された)

 

 OEM-14 /川本ポンプ 

・同じ名古屋企業同士のコラボで、大阪鍛工製の川本ポンプ向けOEMです。

・裏面の  より大阪鍛工製と分かります。

・薄口になっていて、ポンプ製品に同梱の修理用スパナと思います。

・薄口のため、JIS規格外となり、生産年とJIS認証年(1952年)との関係は不明になります。

・漢字の"川本"ロゴが素敵です。

・"川本"ロゴの前の"B.S.P."は、Baby Sweet Pompの略のようです。

★現在の川本ポンプHP ⇒ こちら

 

3. 工具商社

 OEM-15 /MIKASA-1 

・"MIKASA"というブランドがあり、スパナ以外にも多くのハンドツール(メガネ、プライヤー、ボックス、モンキー、L型レンチ)が展開されています。

・ロゴはツバメマークに見えます。

・高級鋼材を使用した"SPECIAL MIKASA"と、MIKASAロゴだけの汎用モデルの2種類を展開していたようです。

・クロモリ鋼を使用していることからブランド名に"SPECIAL"を追加しているのだと思います。(ニッケル・クロモリ)

・裏面右側に  刻印があることから大阪鍛工製と分かります。

・スパナは丸型形状で、JIS-H/強力級。

・ブランドを運営していたのは工具商社かと思いますが、会社名は不明です。

・ネットで検査しても情報が出て来ませんので、ネットが一般化する2000年以前のブランドだと思います。

・なお、商標でも検索しましたが、登録されていませんでした。

・ツバメマークと言えばツバメ自転車ですが、ロゴ内のツバメマークは多少似ているものの、ツバメ自転車との関連や、自転車用品での"MIKASA"は確認できませんでした。

 

 OEM-16 /MIKASA-2 

・こちらは同じクロモリでもクロモリ・バナジウム鋼を使用しています。

・スパナ形状がやり型になり、したがいJIS-Sになっています。

 

【参考】MIKASA by 池田工業 

・MIKASAには池田工業/IKKのOEMもあります。(裏面に丸"IKK"の製造者記号)

 

★その他のOEMモデル 

大阪鍛工が産業系に強いスパナメーカーであったことを考えれば、大阪鍛工が受注してOEM供給したモデルが他にも多くあるだろうと思っています。

引き続き探します。

 

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