スパナ専業メーカーとして活躍していた東西の2大巨頭と言えば、"昭和スパナ"(東京)と"大阪鍛工"(工場は名古屋)だと思っています。
東の昭和スパナについては既に徹底解説しています。
一方で、西の大阪鍛工は今でも多くのスパナがオークションを賑わせていてる割には会社情報が少ないため、徹底解説は出来ていませんでした。
そんな中、戦時中の陸軍向けスパナの正体を追い掛けていたところ、製造元として大阪鍛工に辿り付き、さらに大阪鍛工自身が作った貴重な『会社案内』を発見したのです。
これでやっと会社の全貌が分かりました。
したがい、会社情報を全面的に書き換えました。
また、商品についても、これまでJIS取得以降しか取り上げることが出来ていませんでしたが、新たに見つけた戦時中と終戦直後のスパナも追加しました。
さらに、KINGブランドも3種を新たに見つけていますので、これも全面的に書き換えています。
情報量が大幅に増えましたので、前後2編に分けました。
前編は自社編(大阪鍛工オリジナル)、後編はOEM編(他社ブランド向け)。
※当ブログは西暦表示を基本としていますが、参照資料の年号に合わせるため、前半の会社情報では昭和と西暦のダブル表示にしてあります。
なお、後半の製品情報では西暦だけの表示になっています。
↑広告印刷原板(銅板)の左右を逆転させた写真
※1950年~70年代にこの広告が雑誌に掲載されていたのだろうと思います。
1.会社情報
★基本情報
↑昭和37年/1962年『日本機械名鑑』より
(1) 創業
昭和14年/1939年3月16日に創業したことが官報より分かります。
創業時から航空機向け鍛造品の生産を目的としていることから、戦時機運が色濃くなっていく中で、国の意向を受けて航空機向け等の鍛造品を中心とした軍需品製造会社として立ち上げたものと推測しています。
↑『官報』昭和14年/1939年6月30日付け
(2) 戦時中
昭和17年/1942年広告および『会社案内』より2工場体制だったことが分かります。
・大阪工場…陸軍造兵廠指定工場(砲弾素材鍛造)
・名古屋工場…三菱重工業、川崎航空機の協力工場(戦闘機部品の精密鍛造)
さらに広告では陸軍航空本部の指定工場と謳われており、名古屋工場が航空機に対応していたことから、名古屋工場が陸軍航空本部の指定工場だったと推定しています。
広告や『会社案内』には出てきませんが、航空機整備用の工具も生産していたのだろうと考えています。
↑『会社案内』より
↓昭和17年/1942年『中央工業大観』内の広告
(3) 戦後の生産再開(昭和20年/1945年10月)
終戦から2ヶ月後に早くも生産を再開しています。(空襲の被害を受けなかった?)
戦時中は軍需品の生産に特化していましたが、民需へ転換しスパナ等の工具生産を始めています。
当初は戦時中からの大阪と名古屋の2工場体制を継続していましたが、昭和25年の台風被害により大阪工場が全壊し、名古屋工場に集約しています。
(同じ台風で日鍛工機の大阪工場も全壊しています)
↑『会社案内』より
(4) JIS認証取得
昭和27年/1952年11月10日に最初のスパナJIS認証を取得。(7社同時)
認証種類:B4630(スパナ)、認証番号:1978
↑JIS月報『JIS標準化と品質管理』昭和28年/1953年2月号
↓JIS年報『JIS表示許可工場名簿』昭和37年/1962年版
(5) 廃業(昭和56年/1981年11月)
親会社である藪本鉄工(株)の方針により工具事業に見切りを付け、大阪鍛工は工具の生産販売から完全撤退し、廃業。
工場は閉鎖し、土地も売却。
昭和49年/1974年に分社化した販売部門のマルテイ商事(株)も事業停止。
↑JIS返上…昭和56年/1981年11月30日付け
(6) ブランドの継続
大阪鍛工は生産販売共に完全撤退しましたが、販売部門だったマルテイ商事(株)有志が販売会社/(株)マルテイを新たに立ち上げて、ブランド"Osaka Tanko"と
ロゴを継承。
昭和スパナ、三木ネツレン、池田工業、相伍工業4社への生産委託による”Osaka Tanko"ブランドの製品を少なくとも2007年まで販売していました。(後述のモデル⑪~⑯、⑳、㉑)
現在も三木ネツレン等を取り扱う工具商社として存続しています。(巻末の【参考-2】にカタログ掲載)
★大阪鍛工自身による会社案内
※80年以上前のことながら戦前の三菱重工との関係を知りたくて、ダメ元で前述の(株)マルテイに大阪鍛工のことを確認してみました。
社長殿が大阪鍛工の唯一の経験者でした。
残念ながら、大阪鍛工は廃業時に関係資料と資材を全て廃棄したとのこと。
但し、2点だけ残っていたのがカタログ&広告印刷用の原板(銅板)と、大阪鍛工自身による『会社案内』。
貴重な品ながら、2点共に頂戴しました。
大阪鍛工の会社全体を説明した資料が皆無でしたので、『会社案内』は貴重な資料になっています。
なお、印刷用原板は、私の特別コレクションに仲間入りしています。(冒頭と巻末に掲載)
(7) 商標
国会図書館所蔵の『商標辞典』で"マルT"、ならびにJ-PlatPatで"大阪鍛工"および社長名で検索しましたが、どれもヒットしませんでした。
見つかっている広告2種や『会社案内』には
にTrade Markという表示が無いことから、商標登録をしていなかった可能性もあります。
2.自社ブランド
1) 戦時モデル
➀ 陸軍向け 三菱重工發動機 整備用

・陸軍向けの三菱重工製發動機の整備工具。
・☆印より陸軍向けと分かります。
・大阪鍛工が陸軍航空本部の指定工場であること、OとTを合体させた大阪鍛工と推測できるマークが刻印されていること、三菱重工・航空部門がある名古屋の地元企業であることの3点から、このスパナは大阪鍛工製と考えるのが妥当です。
・JM-4174は品番になります。
・三菱重工の發動機ハ101(火星相当)/一式陸攻向けの取扱説明書に番号が1つ若いJM-4173を含め複数のJM-417x品番の工具が掲載されていることから、このハ101(火星相当)、もしくは次期型のハ112(金星相当)/五式戦闘機の整備工具と考えています。
・品番のJMは三菱重工の略だろうと思います。
・正確に言うと陸軍向けは自社ブランドでは無く、OEMになりますが、大阪鍛工の最初の工具製品だと思いますので、特別に自社編のトップで取り上げます。
・詳細は、当ブログ内のこちらにて。
2) JIS取得前
➁ 戦後初モデル
・裏面には何の刻印も無く、一般市販を始めた戦後初のモデルと推察しています。
・但し、三菱重工や川崎航空機に組立工具として納入した戦時中モデルの可能性も否定できません。
・戦時中モデルとも推測出来る理由3点。
(2) ミリサイズ表示だけであり、戦後に登場するインチ併記が無い。
(3) スパナ形状が初期のJISモデルとも異なり、真ん丸。
(昭和スパナが戦時中に浜松の航空機組立会社にスパナを納めていた実績があります)
↑昭和17年/1942年『著名商工案内』内の広告
➂ 戦後初期モデル(裏面刻印あり)
・JISマークの無いモデルですので、1952年以前のモデルと思います。
・表面には➀と同じくシンプルに
ロゴだけが刻印されています。
・裏面には"DROP-FORGED"(落とし鍛造)との刻印が追加され、さらにミリサイズスパナながら、近似するインチも表示されています。
・鍛造地肌が荒れていることが初期モデルを思わせます。
➃ JIS取得直前モデル
・JIS表示が無いことから1952年よりも前のモデルと思います。
・裏面の"0-F"より1950年6月製と推定します。
・刻印文字が綺麗に揃っていることから、上の➂よりも後のモデルと思います。
・材質は"SCR"よりクロム鋼。
3)JISモデル
➄ 初期のJISモデル
・JISマーク付きが登場します。
・"1978"はJIS認証番号。(1978年製ではありません)
・スパナのJIS規格/B4630は、1952年に開始され、1955年からはJIS-N/普通級とJIS-H/強力級のクラス分けが実施されていますが、このモデルはJISだけの表示であることから、1955年よりも前のJIS第1世代になります。
・この"1978"表示モデルは希な存在で、最初のごく一時期だけだったものと思います。
・"OSAKA TANKO"の刻印はありませんが、JIS規則で表示が義務付けられている製造者記号としての
より大阪鍛工製と分かります。
・スパナ形状が卵型形状になっていて、如何にも古そうです。
・裏にはインチサイズが併記されています。
・英国BSFサイズなので、WhitWorthの"W"表示はありません。
*BSF…英国の古いトライアンフやノートン用で、ブリテッシュ・スタンダード・ファインの略
⇒換算表(WhitWorthも含む)
・
は、他のモデルと較べると"T"の横棒が中央に近く、他とは異なります。
↑左…このモデル、右…一般モデル
➅ ➄のバリエーション
・上の➄に対し、表の"1978"表示は同じですが、裏面の表示が異なります。
・"DROP FORGED"(落とし鍛造)の代わりに"N56-CR"と表示されています。
(CRより、クロム鋼、炭素56%?)
・裏にBSFインチ併記があるのは➄と同じです。
・これもJIS認証を取得した直後の生産モデルだと思います。(スパナが卵型)
*オークションにて入手済み、写真差し替え予定。
➆ クロモリ・モデル
・スパナ形状が真ん丸からやり型に移行していますので、第2世代と分類できます。
・JIS認定番号は既に表示されなくなっています。
・また、JIS-H/強力級になっています。
・H規格が制定されたのは1955年ですが、他社で1953年より先行使用している例がありますので、このモデルも1953年製の可能性があります。("3-C"は1953年3月製?)
・ちなみに、大阪鍛工スパナはJIS-H/強力級がほとんどです。
・このモデルの裏面には"W"を伴うWhitWorth/ウィットねじサイズが併記されています。
・刻印文字が右に左に傾いて不揃いなのがとても目立ちます。(手彫り刻印?)
・SNCM表示よりニッケルクロームモリブデン(Ni Cr Mo)鋼と分かります。
・高級鋼材のクロモリ鋼/SCMに、さらにニッケルを加え、締付時により粘るようにしたのがニッケルクロモリ鋼/SNCM。
➇ 刻印が綺麗に(刻印の機械掘り開始?)
・このモデル以降は刻印文字が綺麗に揃っていて、作りがかっちりとした現代的な商品に成長しています。(浮き出し刻印が手彫りから機械掘りに変更?)
・裏面表示:"ALLOY FORGED STEEL"、"合金鍛造"を意味しますが、全てのスパナの材料は合金で、製造方法は鍛造になりますので、特別な表示ではありません。
・裏面の"8-B"は1958年2月製?
➈ もっともポピュラーなモデル
・表にOSAKA
TANKO、裏にJIS-H(強力級)と"ALLOY STEEL"(合金)の刻印。
・黒くて、市場に沢山出廻っていて、もっとも大阪鍛工らしいモデルです。
・"The大阪鍛工"と言えます。
➉ クロモリ・モデル
・フラットパネルでクロモリ鋼を採用し、初期モデルのSNCMという表示では無く、"Cr Mo"と表示したモデルもあります。(この表示の方が、高級鋼材のクロモリを採用しているのがダイレクトに分かります)
・大阪鍛工はJIS-H/強力級が大半ですが、通常モデルの鋼材はAlloy Steel(普通の炭素鋼)を使い、熱処理度合いで硬度を硬くしているのかと思います。(同じ硬さでもクロモリは粘る)
・"3-D"より1963年4月製?
【黒色化について】
大阪鍛工はほとんどが黒ボディーです。
一般的に産業系スパナ(大径や打撃等)は黒が普通になっていますが、黒色化するための表面処理には以下の方法があると理解しています。
・塗装被膜
[1] カチオン電着(水溶性塗料槽に浸漬させ、直流電流で塗膜形成、膜厚20um程度)
[2] 粉体塗装(静電気を利用した粉末状塗料の吹付け、膜厚30um~)
・化成処理
[3] リューブライト(溶剤層に入れてリン酸マンガン皮膜形成、膜厚10um程度)
[4] 黒染め(同じく四三酸化鉄皮膜形成、膜厚~3um)
【参考】金属皮膜(メッキ)
クロームメッキ(キラキラの銀色)、亜鉛メッキ(渋い銀色)
大阪鍛工の黒色スパナに[1]~[4]のどの方法が使われているのか不明ですが、表面に塗装感がある場合はカチオン電着[1]、塗装感が無い場合はリューブライト[3]だろうとざっくり理解しています。
[1] カチオン電着塗装、旭金属スパナ・カチオン
[2] 粉体塗装
[4] 黒染め
⑪ JIS-N
・大阪鍛工と言えばJIS-H/強力級ですが、非常に希ですがJIS-N/普通級も存在します。
(JIS-N/普通級…硬さHRC36以上、JIS-H/強力級…39HRC以上)
・表面仕上げも、産業系工具で主流の黒では無く、廉価な亜鉛メッキになっています。
・裏面の"SCR"はクロム鋼を指します。
・"5-G"より1955年7月製?
↑フラットパネル両口スパナの梱包箱ラベル
⑫ 三木ネツレン製-1 黒
・裏面の右端にJIS規則で表示が義務付けられている製造者記号として
が刻印されています。
・三木ネツレンの社章から、この製造者記号は三木ネツレンと分かります。
・したがい、このモデルは三木ネツレンに生産委託した商品になります。
・JIS規格ではトレーサビリティーの考え方に基づき製造メーカーの表示を義務付けていて、どこの工場で作ったか分かるようになっています。
・"55166"は三木ネツレン独自の累積ロット番号だと思います。
・大阪鍛工が廃業し、(株)マルテイによるブランド運営に移行した1981年11月以降の製品だと思います。
⑬ 三木ネツレン製-2 クロームメッキ
・上の⑫のクロームメッキ版です。(同じく三木ネツレン製)
・大阪鍛工は大半が黒色ですので、大阪鍛工の商品群の中で異端のモデルです。
・産業向けでは無く、クロームメッキ化して一般販売を狙った商品ではないかと思います。
・三木ネツレン製⑬と大阪鍛工製➇の比較です。
・同一サイズ(17mm)になっている左側を比較すると、スパナ形状は同一と言って良いかと思います。(重ねても形状がぴったりと一致します)
・三木ネツレンにはフラットタイプのスパナは無いと理解していますので、大阪鍛工のために鍛造型を新たに作ったのだろうと推測します。
⑭ 三木ネツレン製-3 Cr-V
・三木ネツレン製のクロームメッキ・フラットパネルにはCr V鋼(クロームバナジューム)もあります。
⑮ 池田工業製
・JQA(新JIS)認証を受けているモデルです。
・裏面に製造者記号として池田工業を示す
が刻印されていることから、池田工業に生産を委託した商品と分かります。
・JQAでは、製造工場だけで無く、具体的な材質表示も求めているようです。(あまり意味の無かったALLOY STEEL表示が無くなりました)
・色は、黒では無く、ガンメタ。
・池田工業カタログを見ると、JQAモデルは『焼付黒塗装、カチオン電着塗装』となっています。(カチオン電着の後に焼き付けると理解)
・池田工業のJQA取得は2007年ですので、2007年またはそれ以降まで(株)マルテイによる"OSAKA TANKO"ブランド商売が続いていたことが分かります。
・恐らく、これが"OSAKA TANKO"の最終モデルだと思います。
・"17I"より2007年9月製?(最初の"1"の意味?)
・昭和スパナも大阪鍛工に供給していました。
・裏面右側の"SS85"の"SS"が昭和スパナの製造者記号になっています。
・1981年/昭和56年の大阪鍛工廃業以降になりますので、 "85"より昭和58年5月生産と推測出来ます。
・昭和スパナ従業員に確認したところ、黒(正確には黒銀/ガンメタ)を昭和スパナの工場内で吹き付け塗装していたとのこと。
⑰ 昭和スパナ製-2 Cr-V
・大阪鍛工OEMには銀メッキ(ユニクロメッキ)もありました。
・裏面の"SS7C"の"SS"より昭和スパナ製と分かります。
・また、"7C"より昭和57年/1982年12月生産と推測出来ます。
・上の黒銀仕様は材質表示が"ALLOY STEEL"と具体的な表示になっていませんが、本品はCrV(Chrome Vnadium)の表示になっています。
【裏面の"Mx"表示/ボルト呼びについて】
裏面に"Mx"の表示がある場合があります。(フラットパネルの両口と片口スパナのみ)
ボルト頭部の2面幅に対して、"Mx"の"x"はボルト部の直径(ねじ山外形)を示しています。
『ボルト二面幅』に対し、『ボルト呼び』と称します。
『二面幅』と『呼び』は1対1でリンクしていますし、スパナを選択する時に『呼び』を考えることはありませんので、『呼び("Mx")』をスパナに表示させるのは個人的にはあまり意味を感じません。
余談ですが、燕三条で先駆的なスパナメーカーであったNTKが大阪鍛工の一部製品を製造していたとの話もあります。
NTKは、JIS認証を1962年に取得しているものの、大阪鍛工がまだ工場を稼働させていた1975年頃には倒産していますので、1975年よりも以前の増産応援の類いかと思います。
4)"KING"ブランド /凹尖りパネル
⑱ KING-1 /凹帯末広がりパネル
・OSAKA TANKOの別ブランド"KING"です。
・"OSAKA TANKO"の文字間に"KING"が刻印されています。
・大阪鍛工のモデルはフラットパネルが主流ですが、凹末広がりパネルになっています。
・日産向けモデルに同型が使用されています
・一般販売を狙っているためと思いますが、真っ黒な産業用では無く、万人受けをするクロームメッキになっています。
・スパナ形状(丸型)や裏面の表示方法を見る限りでは1960年代の製品のようであり、恐らく最初のKINGだろうと思います。
・次の⑲~㉒はやり型スパナ形状になっていることからも、この⑱が最初に登場したのだろうと思います。
・ちなみに、スパナは丸型形状ですので、JISクラスはやり型の"S"では無く"H"になります。
↑同型の日産向け(大阪鍛工製)
⑲ KING-2 /自社製 クロームバナディウム鋼
・凹尖りのKINGにデザインが切り替わりました。
・JISモデルであり、
以外には製造者記号はありませんので、大阪鍛工製と分かります。
・材質は裏面表示よりCr-V。
・JISはH/強力級では無く、S/やり型。
・JIS-HもJIS-Sも硬さはHRC39以上と同じ規格で、スパナ形状がやり型か否かだけの差です。
・そうは言いながら、JIS-Hの黒モデルもスパナ形状はやり型に変わっていますので、JIS-HでもJIS-Sでもどちらの表示でも可能です。
・他社の一般販売モデルはJIS-S表示が多いことから、クロームメッキモデルは他社に合わせてJIS-Sにしたのではないかと思います。
⑳ KING-3 /自社製 ニッケルクロモリ鋼
・上の⑱のニッケルクロモリ版です。
・12本セットをブログに掲載されていた方から譲って頂きました。
㉑ KING-4 凹尖りパネル by 昭和スパナ
・フラットパネルの⑯、⑰と同じく裏面に製造者記号として"SS88"と刻印されていますので、"SS"より本品も昭和スパナ製と分かります。("88"より1988年)
・但し、
も刻印されていて、この場合はブランドロゴとしての表示になります。
・個々で悩ましいのが"SS88"の"88"。
・1978年8月または1988年8月生産のいずれかと思いますが、1978年はまだ大阪鍛工として生産をしており、一方で1988年8月は昭和スパナが工場を閉鎖(生産中止)したとの記録が残っている1988年6月よりも後であり、2つの年月のどちらも適合しません。
・このKINGモデルに関しては大阪鍛工が廃業する前から昭和スパナに生産委託していたのだろうと考えています。
↑上…昭和スパナ/SDF、下…大阪鍛工"KING"(共に昭和スパナ製)
㉒ KING-5 凹尖りパネル by 相伍工業
・4つめのOEM生産会社になります。
・"AI-07A"の"AI"が製造者記号であり、相伍工業のOEMであることが分かります。
・また、"07A"の"07"より、2007年の生産と推測出来ます。(さらに"A"より1月?)
5)片口スパナ
㉓ 片口-1
・JIS-Hが表面に表示されていて、材質表示がSNCM(ニッケルクロモリ鋼)になっていることから、➆の片口スパナ版かと思いますが、スパナ形状は➂、➃と同じ卵型になっています。
・刻印文字も歪んでいて、製造方法も粗く、かなりの初期モデルと思います。(スパナ部以外はまるで手打ち鍛造の趣)
・ウイットサイズ併記。
・表面にはMetricの"M"、裏面にはWhitWorthの"W"が表示されていて、"M"と"W"の両方が刻印されているのは珍しいと思います。(普通は補足の意味で併記するインチの"W"だけ)
㉔ 片口-2
・もっともポピュラーなフラット➈"The大阪鍛工"の片口スパナ版。
㉕ 片口-3 クロモリ鋼
・上の㉔のクロモリ・バナジウム版です。
・ただし、パネルエンドが円形になっています。
㉖ 片口 三木ネツレン製
・片口スパナにも三木ネツレン製があります。
3.スパナ以外の大阪鍛工
片口メガネ
・裏面の"SS"より昭和スパナ製と分かります。
打撃メガネ
・打撃メガネと言えば、旭金属と三木ネツレンが思い浮かびますが、大阪鍛工も販売していました。
・三木ネツレン製と形状が似ていますが、凹パネル形状や打撃部(写真右側)の厚みが異なりますので、大阪鍛工独自モデルと思います。
・三木ネツレンと旭金属には打撃スパナもありますが、大阪鍛工は打撃メガネだけだったようです。
左…ASH/旭金属、右…NETSUREN/三木ネツレン
【材質表示について】
大阪鍛工には多種類の鋼材が使われていて、材質表示も多彩です。
* ALLOY STEEL…合金(材質は未表示、普通の炭素鋼?)
* CR/SCR/CHROME…クロム鋼
* Cr V/CHROME VANADIUM…クロム・バナジウム鋼
* SCM/CHROME MORYBDENUM…クロモリ鋼
* Cr Mo VANADIUM…クロモリ・バナジウム鋼
* SNCM/NICKEL CHROME MORYBEDNUM…ニッケル・クロモリ鋼
↑『鉄鋼材料の種類』からの抜粋
【参考-1】カタログ印刷用の原板(銅板)
【参考-2】(株)マルテイ販売カタログ(2012年版)
※現在のマルテイ・カタログ(2012年版)には三木ネツレン製品が掲載されていて、大阪鍛工製品は載っていません。
大阪鍛工-2/OEM編に続く。



























































