KAWASAKI

ブランド元?、製造元?

 

KAWASAKIのロゴが入ったコンビレンチが日本とアメリカで1種類ずつ見つかっています。

しかしながら、いつ頃どの様な形で誰が販売したのか情報を入手出来ていません。

したがい、ブランド元や製造元などが分からずにいます。

ただし、日本での入手品にはJAPANの刻印が入っていること、ならびにKAWASAKIという日本の名称を刻印してあることから、日本のブランドに間違いはありません。

川崎重工の二輪に関連する工具と考えるのが順当です.

でも、オートバイの車載工具にコンビレンチは入っていないこと、ホームセンターで良く売っている廉価版6本セットに見えることなど、KAWASAKIのオートバイ用であることに対しては否定要素の方が多いと思っています。

ちなみに、川崎重工だとしても、二輪事業だけで無く、建設機械や産業車両、鉄道、船、航空機、ガスタービン、はたまた宇宙事業まであります。

そして、製造元はどこなのでしょうか?

 

日本のコンビレンチ全82ブランドには以前から登録済みです。

これまでブランド元が分からないため、単独では取り上げてきませんでしたが、新たに色々と調べましたので、ひとつのブランドとしてまとめることにします。

なお、川崎重工だった場合に、何の工具なのか複数の角度から探っています。

その検証過程で、KAWASAKIオートバイの車載スパナについても調べていますので、掲載します。

 

1.商品紹介

 ① フラット 

大文字の"KAWASAKI"のロゴが浮き出し刻印で入っています。

全体としてはしっかりとした作りです。

ただし、1)メガネ部の作りが簡素で、かつ2)オフセットもプレス曲げで対応しています。

また、下の写真から分かるように3)スパナ部の平面加工後の表面処理が粗く、ヘアーラインがくっきりと残っています。

上記の3点より、ホームセンターで良く見かける一般的な廉価版セットと考えるのが妥当では無いかと思います。

 

写真の撮り方を変えています。

スパナ部のヘアラインに注目して下さい。

 

★他社比較

燕三条の大栄鍛工所/DAIEのモデルに非常に似ています。

異なるのはスパナ部形状と長さの2点のみです。

過去の経験から確度80%の精度でDAIEのOEMだと思います。

 

裏面の刻印表示方法も似ています。

 

メガネ部が全く同一です。

ブローチ加工のセンターが微妙に左下にずれているのも両者に共通しています。

 

メガネ部は裏面から見ても同一と言えます。

ただし、裏面の刻印文字は同じように見えますが、フォントが異なっていて、JAPANの"J"とFORGEDの"G"から差が分かります。

 

共にメガネ部のオフセットはプレス曲げでの対応になっています。

上側のKAWASAKIは、胴長側面からも加工の粗さが分かります。

 

↑↓6本セットです。

 

オートバイの車載工具にコンビレンチが含まれていた例は無く、事実としてKAWASAKIオートバイの車載工具は後述するようにスパナになっています。

オートバイの整備工具として販売店に配布された可能性はあります。

しかしながら、川崎重工がロゴとして大文字のKAWASAKIを使用していたのは1970年代であり(根拠は後述)、この時期にKAWASAKIオートバイは市場に多くは出回っておらず、専門の整備工場網もありませんでした。

したがい、ブランド名を入れた専用工具が存在していたとは思えません。

さらに、前述した加工精度より、このコンビレンチはプロ向け専用工具としての使用に耐える作りでは無さそうです。

以上より、KAWASAKIという名前を名乗ることが出来る誰かが、大栄鍛工所/DAIEで委託生産して、ホームセンター等に卸した一般向けの廉価版と考えるのが妥当だと考えます。

なお、オートバイの専用工具としてコンビレンチがあるのはHONDA(理研化機&KOWA)だけだと理解しています。(5項に写真掲載)

 

 ② 凸丸パネル 

凸丸パネルにKAWASAKIと浮き出し刻印されたモデルがアメリカでのみ出回っています。

メガネ部と胴長のつながりに"えら"がほとんど無いことから、1970年代のモデルと思われます。

ちなみに、ebayの過去ログで見つけた表の面の写真しかありませんので、JAPANの刻印が入っているかは不明です。

 

スパナ部を除けばNTKと形状が非常に似ています。

NTKは1980年に倒産していますので、モデル②がNTKのOEMだとすれば、1970年代の商品ということになります。

 

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これ以降は、川崎重工の可能性を検証するために取得した情報です。

さすが大企業ですので、止めどなく情報が出てきます。

調べた内容をテーマ別に掲載しますが、残念ながらKAWASAKIコンビレンチの出所に通じるような情報は出てきませんでした。

 

2."KAWASKI"ロゴとオートバイ

1972年に発売されたZ1は、大文字で斜め文字の"KAWASAKI"ロゴを採用しています。

 

さらに、NINJYAの基になったGPZ900Rは1984年の登場ですが、小文字の"Kawasaki"へ変更されています。

 

3."KAWASAKI"ロゴの種類

 

 

会社マークに2種類があります。

まず、会社創世記の川崎汽船を起源とするリバーマーク(船の吃水線)が1961年~1967年まで、次に1967年からフライングKと呼ばれるマークに変わっています。

それに大文字"KAWASAKI"と小文字"Kawasaki"が付随して、上表の通り5種類の会社ロゴが存在します。

 

5種類の会社ロゴは、そのままオートバイ車載スパナの変遷につながっています。

スパナについては次々項5.("KAWASAKI"ロゴとスパナ)にそれぞれの写真を掲載します。

 

4.オートバイ以外のKAWASAKI

川崎重工の社史を見ると、二輪で使用していたフライングKマークは、2007年から川崎重工全体の会社ロゴに昇格しています。

2007年以前に川崎重工の各部門がどのようなロゴを採用していたか情報が見つけられませんが、建機(ホイールローダー)では少なくとも1987年からフライングK+小文字"Kwasaki"を使用しています。

写真が不鮮明で見にくいのですが、後部エンジンカバーにフライングK+小文字"Kwasaki"が確認出来ます。

さらに建機専用のロゴと思いますが、青水色白の3色ライン入りの小文字"Kawasaki"がスイングアーム部に貼り付けられています。

 

↑1987年 ホイールローダー"60ZⅡ"

↓1993年 同じく"90ZⅢ"

青と水色、白の3色ラインにフライングKをあしらった建機専用と思われるロゴです。

 

5."KAWASAKI"ロゴとスパナ

 純正マーク付き-1 

Z1用の車載スパナです。

会社ロゴは1967年からフライングK+小文字"Kawasaki"に変わっていますが、1972年発売のZ1の車載スパナはリバーマーク+大文字"KAWASAKI"になっています。

タンクマークも大文字"KAWASAKI"になっています。

移行期間の処置かと思います。

裏面の製造記号"MITO-3"よりMITOLOYの水戸工機の生産と思います。

(水戸工機の英語名:MITO TOOL MFG. CO., INC.)

 

Z1の車載工具セットです。

レンチ類には全てリバーマーク+大文字"KAWASAKI"のロゴが入っています。

 

 純正マーク付き-2 

リバーマークからフライングKマークに変更となり、フライングK+大文字"KAWASAKI"になっています。

生産は同じく水戸工機で、製造記号は"MITO-1"になっています。

車載の車種は不明ですので、正確な採用年数も不明となります。

 

 純正マーク付き-3 

これも車載モデルは不明ですが、ロゴが商標登録通りになり、フライングK+小文字"Kawasaki"になっています。

同じく水戸工機製です。

"MITO-2"になっていますが、MITOの次に刻印されている番号は何を示しているのか不明です。

次のモデルは刻印番号が2桁になっています。

 

 純正マーク付き-4 

フライングK+小文字"Kawasaki"で、MITOの後ろの番号が"13"と2桁になっています。

他に"10"や"12"もあります。

さらに、片口スパナで"8"もあります。

 

 

 会社マーク無し-1 

会社マーク無しで"KAWASAKI"の大文字版と小文字版があります。

上で紹介の会社ロゴ付き4種は全て水戸工機製でJAPANの刻印も入っていますが、会社マーク無しでは裏面のJAPAN刻印が無くなっていますので、海外製に変更されているものと思います。

この大文字"KAWASAKI"は、本ページの主人公であるコンビレンチと同じデザインになります。

 

 会社マーク無し-2 

小文字"Kawasaki"だけのモデルもあります。

下の写真は1972年発売の350TRの車載工具ですが、フライングK+小文字"Kawasaki"と文字だけの小文字"Kawasaki"が混在しているのが分かります。

恐らく、日本製から海外製へ移行期間の商品と思います。(モデル発売は1972年ですが、工具セットはもう少し後の商品?)

 

14x17は文字だけの"Kawasaki"、8x10他はフライングKも付いています。

 

 

 リバーマークのみ 

1966年に発売されたW1用の車載スパナで、KAWASAKIの文字は無く、リバーマークの旗マークだけのシンプルなデザインになっています。

 

 

 ★他3社のオートバイ車載スパナ 

SUZUKIの車載スパナで、水戸工機製です。

 

同じSUZUKI製ですが、生産は理研化機/RKになっています。

 

HONDAの車載スパナは、理研化機/RKと、さらにKOWAの2種類があります。

 

手元にあるYAMAHAの車載スパナにはOEM元や日本製かどうかを示す刻印はありません。

 

 ★コンビレンチのHONDA例 

・理研化機

アメリカでしか見つけれていません。

ebayで17mmだけが今でも入手可能です。

裏面の会社ロゴより理研化機の生産と分かります。

1986年Gold Wing GL1200に車載されている工具セットのスパナと同一デザインですので、HONDA米国向け二輪がらみのコンビレンチと思われます。

ただし、車載工具にコンビレンチは確認出来ていません。

 

 

・KOWA

KOWAのStream Lineには自社の"KOWA"ロゴと、HONDA整備工場向けの”HONDA"ロゴの2種類があります。

上の写真は"HONDA"のモデルです。

 

ミラーフラットの”HONDA DREAM"もありますが、こちらは整備用工具では無く、特注品用のベースになっているようです。

 

6.登録商標

商標登録の検索ページから"KAWASAKI"と"川崎重工"で検索したところ、6種類の登録商標がヒットしました。

 

前項3.("KAWASAKI"ロゴの種類)で説明した5つのパターンの内、3種類は商標として登録されていますが、大文字"KAWASAKI"の2種(フライングKの有り無し)が登録商標の中から見つけることが出来ませんでした。

つまり、コンビレンチの大文字"KAWASAKI"は川崎重工の商標として登録されていない可能性があります。

但し、川崎建機の青白水色ラインの入ったKAWASAKIロゴもヒットしませんでしたので、他にも確認出来ていない登録があるのかもしれません。

 

↑登録第1号で、1952年のリバーマーク。

川崎重工の始まりである川崎造船時代に作られたロゴで、船の吃水線をデザインしたとのことです。(どれが吃水線を表しているのか良く分からないのですが)

今でも最新のオートバイNINJYAに使用されている川崎重工にとって大事なロゴです。

 

↑リバーマークの旗タイプも同じ1952年に同時登録されています。

 

↑1972年登録のリバーマーク+大文字"KAWASAKI"です。

このデザインが1972年発売のオートバイZ1の車載スパナに刻印されています。

 

↑会社ロゴがリバーマークから新しくなり、フライングK+小文字"Kawasaki"として1984年に登録されています。

オートバイの車載スパナにはフライングK+大文字"KAWASAKI"があるのですが、登録商標では見つけられませんでした。

 

↑1997年に文字だけの"Kawaski"が登録されています。

前述の通り、文字だけの大文字"KAWASAKI"は見つかっていません。

 

↑1988年に登録されているデザインされたフライングK+"Kawasaki"ロゴですが、川崎重工のどの部門の登録か不明で、実際の製品で見つけられていません。

 

『川崎重工のコンビレンチでは無いだろう』と冒頭に言っておきながら、川崎重工の情報が多くなっているのは気にしないで下さい。

 

この回、終わり