僕の心臓は右にある | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

 

北斗の拳は観ていなかったが、サウザーというキャラがいて

そのサウザーは心臓が右にあったらしい。

 

テレビで見かける地下芸人のチャンス大城も心臓が右にある。

内臓逆位というらしく、稀にそういう人がいるようだ。

 

チャンス大城のエピソードトークは面白い。

心臓が逆にあるからこそのエピソードを持っている。

そんなことがたくさん書かれたエッセイをこの前読んだ。

 

 

 

 

以下、テレビでも話していたし、本にも書かれていたこと。

 

高校のとき、創立60周年記念だかで将来の夢を書いた紙を入れた

風船を飛ばすというイベントがあったらしい。

 

他の同級生は、「将来は美容師になりたい」とか書いた紙を入れていたが

チャンス大城は夢を書かず

「僕は心臓が右にあります」と書き、自宅の電話番号も書いて

風船を飛ばしたという。

 

すると3日後にその風船を拾った8歳の女の子から電話が掛かってきた。

「もしもし、風船と届いたよ。私も心臓が右なの。よかったら今度の日曜日に

あいませんか?」

とのこと。

 

それであう約束をした。

当日、会う約束した駅まで電車でゆき、目印となるミッキーマウスのTシャツを

きた女の子を探すと、駅前で待っていた。

 

「お兄ちゃん、私も心臓が右なの。お兄ちゃん、心臓触らして」

「ええよー、ほら、ここや」

「あ、本当だ。右に心臓がある。ドキドキしてる」

「そやろ」

「お兄ちゃん、私の心臓も触って」

 

それで、女の子の胸に手をあて、心臓を探していたら、警察が来て捕まって

しまったというオチ。

笑った。笑っちゃいけないんだけど笑った。

 

途中まで感動秘話のようにすすむのに、最後のオチで急にお笑いにもって

ゆく才能は素晴らしい。

まあ素晴らしいもなにも実話なんだろうけれど。

 

この本にはそんな波瀾万丈の半生がいろいろ書かれていて面白い。

ときには笑い、ときには泣き。

 

チャンス大城はいじめられっ子だったようだ。

だから学校にゆくのが嫌でしょうがなかったらしい。

それを踏まえてのエピソードが多いのも共感できる。

 

また家族についても書かれている。

お父さんはブラジャーのホックをつくる工場で働いていたことも隠さず

書かれている。そのへんのエピソードも面白い。

 

心臓が右にあるからといって、特に不便なこととかはないようだ。

右にあるということをあえて感動的な話にせず。笑いのネタに変換する

姿勢は芸人としてすごいなあと思う。

 

本編はチャンス大城が育った尼崎編と東京編に分かれている。

エッセイなので、1話1話が何ページもあるわけではないので読むのに

肩は凝らない。

生きるのに少し疲れた方は、ちょっと一読してみるのはいかがだろうか。

おすすめの1冊。

 

 

やっぱり、自分の人と違うところを武器にできるような人間は違うなと

感じる。

チャンス大城曰く、右に心臓があることは自分にとって名刺みたいなものだという。

なるほど。それくらいの考え方じゃないと抱えているほうがキツイ。

オレもアスペルガー症候群や学習障害は自分の名刺みたいなものだと考えるようにしようか。

そうすれば今よりもいくらか生きるのが楽になるかもしれない。

 

ポジティブって言葉は嫌いだけれども、コンプレックスや人と異なる部分に関しては

ちょっと前向きに捉えたほうがいいのかも。