さびしんぼう | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

高校に入学したばかりのころ、フジテレビでやっていた「とんねるずのみなさんの

おかげです」が充電期間ということで一時期放送を休止した。

そのあと、その時間帯で「ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば」という番組が

スタートしたのだが、そのなかで有名映画のタイトルをダジャレにしてパロディ映像を

流すというコーナーのようなものがあった。

 

たとえば、パイロットの養成所で内村演じる生徒が教官から「おまえが一番のガンだ!」

とけなされて画面に「トップガン」というタイトルがでたり、前田美波里に岡の上でコップを

2つ持たせて画面に「ビバリーヒルズコップ2」というタイトルがでたりとか。

 

今思えば中学生ギャグなのだが、当時はまだつい最近まで実際中学生だったことも

あり、それはそれでウケてはいた。

 

そんななかのひとつに内村がカラオケボックスで友人たちと歌っていて、

サビの部分がきたらそこだけ歌わず辛抱して、画面に「さびしんぼう」(サビ辛抱)と

タイトルがでるというネタがあったのだが、そのときはじめて世の中に「さびしんぼう」と

いう映画があるということをしった。

今もそれほど映画に詳しくないが、当時はもっと疎かったのでしょうがない。

 

そのときはじめて作品名を聞いたのだが、バラエティ番組でパロるくらいだから

相当有名な邦画なんだろうなとは思った。

 

それからずっとそれほどではないにしても、心のどこかで気になり続けていた

作品ではあった。

 

そんな「さびしんぼう」を一か月くらい前にはじめてみた。

図書館にいつの間にか入っていたのである。

パッケージが綺麗だったから新品で、おそらく利用者の誰かがリクエストして

入荷したに違いない。

 

 

 

――

高校生のヒロキは、ひそかに思いを寄せる美少女に「さびしんぼう」と名づけ、

いつも遠くから眺めていた。

そんな彼のもとに、ある日突然「さびしんぼう」と名のるピエロ姿の少女が現れ、

次々と騒動をまき起こしていく。
 『転校生』『時をかける少女』に続く「尾道3部作」の最終編。

大林宣彦監督が故郷の広島県尾道市を舞台に、思春期特有のときめきを

センチメンタルに描いていく。ロマンチシズムも3作中一番強い作品で、

ショパンの「別れの曲」が印象的に使われるなか、富田靖子が2人の「さびしんぼう」を

巧みに演じきっている。尾美としのりをはじめとする大林ファミリーも総出演。

公開時には黒澤明監督からも絶賛された秀作である。

(amazonより引用)

 

ストーリーは上に引用したとおり。

有名な「尾道3部作」の最後の作品らしい。

 

うーん、なんだろう。

これだけ評価されている作品だから、きっと素晴らしい映画なのだろうと思う

のだが、正直オレはちょっとピンとこなかった。

富田靖子は可愛かったし、尾道の風景が素晴らしいのは伝わってきたけれど。

 

一回めに観るにふさわしい年齢というものがあるのかもしれない。

オッサンになった今はじめてみるには感受性が衰えてしまいすぎたか。

 

大林宣彦監督作品でいえば他に「漂流教室」も観た。

原作超えはまずないだろうなとふんでみたのだが、やはり映像はイマイチだった。

これは大林監督の技量の問題ではなく、当時の映像技術で楳図かずお原作の

「漂流教室」を映像化しようという時点でムリがあったように思える。

まあ、漂流教室はあれはあれで、尾道3部作とはまた趣向がまるっきり違うのだろうは

わかるけれど、もしかしたらオレはちょっと大林作品とは合わないのかもしれない。

 

いや、まだ決めつけるのは時期尚早だ。

とりあえずいうか「転校生」と「時をかける少女」も観ておいたほうがいいかもしれない。

もしかしたらそれでハマるかも。

 

そういえば二十歳のとき、ガソリンスタンドのバイトの先輩が開催してくれた5対5の

合コンがあって、そのときのオレは絵に描いたような無趣味だった。

 

参加女性のひとりから「趣味はなんですか?」と訊かれ、なにもなくアワアワアワと

して戸惑っていたら、横にいた先輩が「映画なんてすきなんじゃない?」と、助け舟を

だしてくれた。

 

ところがその女性もすごい映画マニアだったようで、それを聞いて質問攻めに

火がついてしまった。

 

そのときに

「尾道3部作だったら、どれが一番好きですか!」と訊かれたのを憶えている。

オノミチサンブサク?? なんだそれは……??

という状態だった。

尾道3部作という言葉を聞いたのはそのときがはじめてだった。

ちなみにそのときどうやってその質問の局地を乗り越えたかは、頭が真っ白で

なにも憶えていない。

 

でもやはり映画好きを自称する人の口から尾道3部作って言葉がでるくらいだから、

きっと映画好きとしてはしっておかないといけない作品なのだろう。

 

これからいつか「転校生」と「時をかける少女」も観るかもしれない。

 

これは変な意味でも皮肉でもなんでもなくいうが、大林ファン、尾道3部作ファンの

人がいたら、大林作品をどういう視点で、またどういう感覚で鑑賞するのがベストなのか

教えてほしい。