スマホを落としただけなのに | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

年末にスマホを替えた。

オレは新しい機種が出たから替えるということはしない。

かなり古くなって動作も反応も悪くなったから替えたのである。

 

ショップに持っていってなにかを訊くたびに、

「これはもう型がずっと古いモノですから早めに変えたほうがいい」

と脅迫のようにいわれ続けながらもだましだましで1年使い続けたが、

さすがに限界がやってきた。

 

オレが不便に感じるだけならばまだいいが、連絡をしてきた相手にたいして

不都合があると申し訳ないから苦渋の決断といえば決断。

 

12月上旬に一度店に持っていっていろいろ訊いたとき、年内であれば

クーポンやらポイントやら有効で頭金が安く替えられるということで

最新だというスマホに交換した。

 

オレが機械音痴だというのも大きいと思うが、案の定使いづらい。

そして8割以上最後まで使うことないだろうアプリが初期設定で入っている。

邪魔。

とくになにかいじった記憶もないのに、メールやLINEも遅れて翌朝受信したり

急に通常の通知音が鳴らなかったり変わったりで意味話わからん。

 

デジカメを持たないブロガーとして高画質のカメラ機能だけはありがたいが、

スマホというのはトータル的に便利なようで不便である。

 

前のスマホを使っているとき、詐欺ショートメールが届いたことがあった。

昔からあるような「おめでとうございます!○○が当たりました!」とかいうような

メールではない。

間違いメールを装って、相手の良心につけこみ返信させるようなショートメールや

挑発的な言葉を放り込んでクレームの返信を待つというそのテのやつだ。

 

いずれもネットでその番号を検索してみたら、要注意の詐欺メール電話番号だと

いうまでもなくヒットして当然無視したのだけれど、また届いたら届いたでやはり

不快である。

 

なので、今後その特定の電話番号からくるショートメールだけ受信拒否しようと

思いショップに相談にいった。やり方がわからなかったから簡単に訊こうかと思って。

特定の電話番号や(ショートではない)メールの着信拒否、受信拒否ができるのだから

当然、特定の番号からのショートメール拒否もできる、と思っていたのだ。

 

が、店員から、

「すべてのSMSを拒否設定することはできますが番号を特定してのSMS拒否設定は

できません」

といわれた。

 

何ィィ! (゚д゚)!

 

頼みもしていないのに、こんだけの機能を初期設定で入れてて、顔が老人や動物になる

アプリとか作っている業者ともたくさん乗り入れたシステム構築しているくせに、特定の番号からの

SMSを拒否するという、いってみればそれこそガラパゴスなディフェンス機能すら備えてないのか、

表面にボタンがないこの最新式の液晶画面の電話は!

 

うむ、そのへんのバランスというか感覚がどうなのかなと感じる。今のケータイ電話文化は。

基本的な機能をすっとばして2、3割のユーザーや若者が熱狂するようなシステムやアプリ

ばかり取り入れた傾向が強すぎるというかなんというか。

 

今の新しいスマホもやっと使い慣れてきたというころに、また調子悪くなって店員から

「これはもう古い型でセキュリティも脆弱なので新しいものにしたほうが……」

っていわれるんだろうな、きっと。

 

友人がスマホやガラケーってある程度だったら新しい機種に買い替えさせられるよう、

3~4年経ったら壊れるように作られているんじゃない!? っていっていたけど本当に

そうかもしれない。

映像が流れきったら最後に爆発するタイムボカンシリーズのドクロべエからの指令

テープみたいに。

 

そこまで文句いうならガラケーにしろよっていわれるかもしれないけど、戻すのも

戻すのでまたいろいろ面倒くさいのだ。

 

そんなわけで愚痴をこぼしたかったこともあり年始からスマホについて仕組みの

文句を書いたが、スマホといえば話題になった映画『スマホを落としただけなのに』

が地上波で放送されていた。

 

劇場公開時に宣伝を見て、劇場に出向くほどの興味はないけど、地上波かBSで

やったらとりあえず観てみたいと思っていたので観た。

 

 

 

――

私の全てが壊されていく―――。
ただ、スマホを落としただけなのに・・・。

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない
男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが

無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。
身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキン
グ。落としたスマホから個人情報が流出したのか?

ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心して

いた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真が

SNSにアップされてしまう。
時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・

加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。

スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。

そして明らかになる“奪われた麻美の秘密"とは?

(amazonから引用)

 

 

 

いやあ、これはコワい。

 

何がコワいって、ストーリーではなくこのレベルの筋を映像化したうえに、宣伝であれだけ

恐怖を謳っていたその感覚が。

原作読んでいないけど、小説で描かれるぶんにはまだ読者それぞれで想像が膨らんで

コワいかもしれないけど、これはちょっとなあ……。あくまで個人の意見だけど。

 

小説や映画のテーマにおいて、記事で紹介しているものがすべておすすめではないとは

過去にもお断りして、それを踏まえてもなんだかんだでそれなりには観られる作品を紹介

してきたけど、これはちょっと……。一応近々に観たという意味で記事にしたけど。

 

めちゃくちゃ興味と食欲そそるような名前の料理を頼んで、でてきたものを一口食べたら

味がすごい薄かったというか、そんな感じとしかいえない。

原液を100倍に薄めたカルピスとも。

 

ひと昔前でいえば個人情報の象徴的だった手帳やら免許証が、現代風にスマホやSNSに

されただけの世界観で、演出すべてが古典的。オチが意味不明の必要性のない反則。

 

(以降ネタバレ含むのでこれから録画やDVDを観る人は要注意)

 

 

 

 

 

まず、見るからに怪しそうな人間がシロで、もっとも信頼できそうな人間がクロだったという

設定が古い。

バカリズムが露骨にわかりやすいフェイント役。

怪しすぎて一番はじめに犯人から除外されてしまう。

 

序盤から部屋でパソコンに向かう犯人のうしろ姿が映るが、意図してなのかその黒い長髪が

カツラだというのもわかりやすい。

 

終盤、関係者でもない人間がどうして勝手に夜の遊園地の敷地内に侵入できて、

しかも照明やメリーゴーランドを稼働させることができる??

 

そして一番「なんじゃそりゃ!」だったのはオチ。

地上波放送にあたって作品説明がガイドにあり、最後に主人公(北川景子)の衝撃の

事実が明かされるとあったが、あの‘トリック’?は必要あったのだろうか。

意味不明の設定。

物語の構成がどうせここまで古典的でシンプルであるならば、もういっそのこと

そのまま犯人逮捕というだけで終わってほしかった。

 

仮に必要性があったとしても、あのトリックはいわゆる反則技。

ずっと前にも書いたが、ミステリー作家の綾辻行人がこんなことをいっていた。

作品中で

「あるところに変な飛び方をする鳥がいました。その鳥はなぜそんな飛び方をするのだろうか?」

という文章があったとする。

 

読んだ人は「その生き物が鳥」だという前提でいろんな推理をするわけだが、答えが出ない。

答えを読むと「実はそれは鳥ではなく昆虫だった」書いてある。

 

鳥だっていうからみんな、それが最低限前提として考えているわけなのに、実は鳥に見える

昆虫だったというのが理由だなんていわれたら、何でもありになってしまう。

綾辻氏はそういうトリックを批判していた。

オレもこれには同意した。

 

面白いつまらないは抜きにしても、この作品のオチとなった‘事実’というのはこの綾辻氏の

批判対象に値すると思う。

 

このトリックが許されるのであれば、逃亡している日本中の犯罪者はみな、永久に

警察につかまらず、かつ怯えることもなく暮らしてゆける。

 

Aだとしてずっと描かれてきた人間が実はAではなく、Cだったという手法が許されるのは

犬神家がギリセーフといったところ。

(そういう意味では『22年目の告白私が殺人犯です』にも同じことがいえる箇所があった)

 

 

もともとそこまで期待していなかったし、こんな感じだろうと予感はしていたが、

監督が『リング』の中田監督だったけに、せめて恐怖演出はすごいだろうなと思ったのだが……

 

落したのはスマホじゃなくて評価だったようである。

 

もしかしたらオレの感覚だけがズレているのかなと思ったが、先日会話した友人も地上波で

観たようで、オレとまったく同じ感想をいっていた(笑)