早朝鈍行2019① 熊出没!そして栃尾又温泉「神風館」 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

約1年半ぶり復活。そして令和初の『早朝鈍行』シリーズ。

 

まずはじめに今回は「青春18きっぷ」ではなく、「秋の乗り放題パス」を使用。

JRに限り、3日連続で普通列車乗り降り自由。

また、いろいろな件において誘ってくれた同行友人に大変お世話になった旅であったので

それがあったこと前提で楽しめた旅だったことを先に報告すると同時に、この場を借りて

厚くお礼申し上げたい。感謝。

※今回は男ふたり旅

 

 

それでは本編第1便出発。

 

某日。

大宮駅で企画者の友人と合流し、そのままふたりで高崎駅まで。

昼食は友人おすすめの高崎駅売店購入の「鶏めし弁当」を食べる。

 

 

電車に揺られ、水上で乗り換え、到着した最初の目的駅は新潟県魚沼市の

小出駅。

 

見てのとおり、心が落ち着く長閑なローカル駅である。もちろん初下車。

 

 

1日めの目的地は、この駅からバスで数十分のところにある秘湯「栃尾又温泉」。

 

改札をでたらすぐバス発着所があるのだが、バスが来るまで30分ほど時間がある

ので、ロータリーあたりをぐるっと歩いてみた。

 

こういってはなんだが、ローカル駅なので人が少ないのはわかっていたが、なんだか

妙な静けさだった。

上空では、なぜか2機のヘリコプターが旋回している。

 

とくに気にすることもなくロータリーを歩いていたら、オレらの姿を店の中から見た

飲食店女性の方が外にでてきて、声を掛けてきた。

 

「お客さんたち!ヘリからのアナウンスとかそういうのもう聞いた!?」

 

なんのことかわからなかったので、

「いや、ちょっとわからないですけど」

と答えたら、

 

「今、このすぐ近くでクマがでて、もう3、4人くらい襲われているらしいのよ!

エリアメールとか無線放送とかもずっと鳴ってるの!だから気をつけて!」

 

なに!? 「クマ」だって!!!!!

 

いわれてから意識したが、どこからか流れてくる防災無線放送の割れた声を

よく聞いてみると、クマがでたから絶対に外にでないでください、という旨の放送が

繰り返し流れていた。

 

そうか。妙な静けさの正体がわかった。

人の声や気配はあまり感じないのに、ヘリの羽音と無線放送だけが響いていたのが

原因だ。

 

しかし、これまでもたまに出掛けた先で「ヘンな人」を引きつけてしまう厄介な能力は

あったものの、ついに人間という枠を越えて「クマ」まで引きつけてしまう境地に達したか……。

 

ターミナルからローカルまでこの日本で星の数ほど多く点在する駅のなかで、その日その

時間初めて降り立った駅のすぐ近くにクマがでて大騒動になっていた確率なんてそうあるもの

ではない。

同じ県内、同じ市内とかいう単位での出没ではない。ピンポイントで駅という単位で出没なんて。

 

少年ジャンプで昔連載していた「銀牙 流れ星銀」の世界じゃあるまいし、ここまではるばる

やってきてクマの餌にされたらたまらん。

 

冗談抜きですぐ近くに潜んでいる可能性もあるので、バスが来るまでおとなしく

駅の待合室に戻ってバスを待つことにした。

 

やがてバス到着にて乗り込む。

クマ地帯からの脱出成功。

しかし、こんな緊迫した旅の幕明けは人生初だ。

心を解放するためにやってきたのに、ほとんどリラックマ……いや、リラックスできん。

 

で、クマ被害に合われた方の回復をお祈りしつつ、温泉へ向かう。

 

もともと定休日なのかそれともクマから命と店を守るためか、シャッターがほとんど

降りた商店街を抜けてしばらく走ると、バスは山の奥へと。

 

「栃尾又温泉郷」へ到着。

宿は、3件ほどか秘湯臭満載。

 

 

名前はよく耳にする有名な「自在館」も目に入る。

 

オレらが宿泊する宿はその自在館の向かいにあるこちら。

 

『湯治の宿 神風館』

新潟県魚沼市上折立59

詳しくはココ

 

 

小学校や中学校のときの林間学校や移動教室で泊まったような昔ながらの佇まいは

なかなか。

 

明日までお世話になる2階の部屋。

テレビ東京深夜感がにじみ出ている。好きだ。

 

 

荷物おいて一休みしたら、館内をちょっと散策。

 

飲み物が欲しい場合は、1階階段横の冷蔵庫から。

上に置かれているノートに自己申告でとったドリンクを記入。

この感じもいい。テレ東深夜度数さらにアップ。

 

 

では、さっそく到着のひとっ風呂というところだが、企画してくれた友人の話と

宿のご主人の話だと、この栃尾又温泉はなんかいろいろあって、ひとつの宿が

温泉をひいて所有することができないとか?

 

なので、聞く限りこの神風館内に温泉と風呂場はない?

向かいの自在館の地下?に、この地のメインとなる温泉があるらしいのだが

そこ含めて栃尾又温泉の温泉はすべて共同管理のようなものだとか。

(勉強不足のため、間違っていたらすいません)

 

道路を挟んで向かいにある建物へ向かう。

上に掛かる渡り廊下は、まるで四万やまだ行くことが出来ぬままの法師のよう。

 

 

 

1階の入り口を入ると、想像以上に奥へ、そして下へと続いてゆく。

長い。そして深い。そのさまはまさに迷宮組曲。

オレの心の闇以上、都営地下鉄六本木駅ホーム以下の深さ。

 

だが、そんな深さと長さもまた桃源郷への道のりのようで幻想的だ。

写っているのは先を歩く友人。

 

 

しばらく進んで脱衣所と浴場に到着。

ここは1か所しかないため、男女が入れ替え制である。

オレらは運よく男湯の日。

 

ご時世的なこともあり、例によって浴室内の撮影NG。

なので、とりあえず脱衣所脇にあった飲泉画像。

 

 

浴槽はぬる湯と、あつめがひとつずつ。だったと思う。

 

ぬる湯のほうはゆっくり浸かっていられる感じ。

だんだんジワジワと温まってくる。

途中寒かったらあつめのお湯のほうへ。

 

あつめのお湯からぬる湯に戻ると、さっきよりも冷たく水のように感じた。

 

天井からぶら下がった灯りに映る湯けむりが風流で、「ああ、秘湯に来たんだなァ」

とほっとする。

 

1時間ほど浸かってあがる。

 

ふたたび外にでたら、さらに暗くなっていた。

 

一番奥には「奥の湯」と「うえの湯」というふたつの温泉が入る建物が。

オレらが入ってきた温泉はメインの湯だけど、ここは湯治場だけに足腰の弱いお年寄りも

多くやってくる。

メインの湯は階段を上下する深い場所にあるため、お年寄りにとっては移動が困難だから

1階の温泉としてこの建物もつくったらしい。

優しさにはいろいろな形がある。そう感じた。

 

 

ここの入ったが、同様に撮影NGだったため、紹介は省略。

気になる人は関連サイトでご覧いただければ。

 

下はオレらの宿のうしろにある宿へと続く階段。

素敵な眺め。

温泉宿は、ぼんやり照らされる道、そして建物の輪郭や背後の山の稜線が暗闇と

一体化してゆく時間帯がもっとも美しい。

 

 

 

そして、旅の楽しみといえばやはり湯あがりのビール。

ビールのない旅なんて、「メモリーグラス」を歌えない堀江淳と同じくらい

味気ないものだ。

 

 

まずはスーパードライで乾杯。

ちなみに冷蔵庫は共有のが廊下にあるので冷蔵ストックも可能。

 

プハーっ。

ンンン美味い。

朝出発して、長時間移動して、風呂でのぼせたあとの1杯は格別だ。

って、毎回温泉旅記事のたびにいっている気がする。

 

そして同じく待望の夕食。

これは鍋がメイン。

 

 

煮えるまで20分ほど掛かったが、出汁もよくでてて美味かった。

ごはんもお櫃にたっぷりで満腹。

 

温泉三昧に腹いっぱいで1日めの日程は終了。

疲れもあり、初日は22時くらいには就寝。

 

蛇足だが、このあたりはカメムシが多いようだ。

次回は二日め。