侘寂温泉 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

書籍のカバーの裏や、雑誌の裏表紙に「ISBN」という出版媒体版の

バーコードが印刷されている。

見たことがないという人はおそらくいないだろう。

 

このISBNによって、それが雑誌なのか書籍なのかや、

どこの出版社が何番目に発売した本かなどの識別ができる。

 

よって、もしこれが間違えていたらとんでもない大事故になる。

レジを通したり、集計をするたびに、その本ではなく既存でそのコードを既に持っている

他社の本が売れてゆくというデータになってしまうだけでなく、自社他社問わず以降

世にでてゆく本のデータに許されないズレが生じるわけである。

 

社会にでてはじめて働いていた出版社で、もう数日後には取り次ぎ(本の問屋みたいなもの)

に搬入されないといけないコミックス数万部のISBNが間違っていたことがあった。

 

しかも書店へ出向く部数、くわしくおぼえていないが数万部全部のISBNが

間違った番号、間違ったコードで既に刷り上がってしまっていたのだ。

 

これは出版業界全体において一大事である。

「もう時間がないから、今回はしょうがない」では済まない。いうまでもなく。

 

結局、オレのいた販売営業部全員+他部署で手伝えるもの数名で、間違ったISBNの

上に正しいISBNのシールを手作業ですべて貼るという命令がくだされた。

というか、もうそれしか手段がない。

 

ひとつふたつ問題なのは、今から開始!といった感じですぐに全員で取り掛かれる

作業ではないということ。

 

総計で数万の部数を刷っているわけである。

その在庫を置くだけでも本社では無理。

よって、数万部のコミックスを置くだけのスペースがある作業場や工場を見つけ、

夜遅くまでそこを借りないといけないのがひとつ。

 

あともうひとつ、出版社はあくまで出版社。原稿を書いたり集めたりすることは

するが、修正用のコードシールを作製することはできない。

 

なので、会社としてやらないといけないことは、まず修正したコードのシールを

シール業者に即依頼して数万部頼まないといけないこと。

もうひとつは、部署の社員全員で作業するだけの場のある町工場などを見つけて

そこを借りないといけないこと。

 

各担当が必死にやったことでなんとかシール数も作業場もその日に調べて抑える

ことが出来た。

 

埼玉の新座の郊外の更地の片隅に佇む町工場を夜中まで借りて、刷り上がったコミックスを

そちらへ搬入させ、夜中12時までかけて2、3日後に市場にまわるコミックス数万冊にすべて

に正しいISBNコードが印刷されたシールを貼る作業を全員で完了させた。

 

慣れない場所で慣れない単純作業をひたすら夜中まで6、7時間繰り返したので、後半はみな

変にハイになって妙に元気だったのではあるが、しんどいといえばしんどい作業だった。

今思えば、あれもあれで貴重な経験だったが。

 

そんなこともあってか、直前でいろいろ修正しないといけない苦労と危機感というのは

多少わかる気ではいる。

 

芸人の闇営業問題が発覚してからテレビ朝日の番組を観た。

アメトークだけではなく、ふだんは観ないロンハーとかもなんとなく観てみた。

 

宮○やロンブー○の映っているシーンが見事にスパッとカット編集されていた。

 

トークの流れとかもあるから、スタッフの方この編集作業、地獄のように大変だったんじゃない

かなって同情した。

 

参加した芸人の認識や吉本が間引くマージンにも問題があるにせよ、製作スタッフには

問題はないのだから、そこは「これは○月○日に収録したものです」のテロップだけだして

収録済のぶんはそのままオンエアでもいいんじゃないかなと思うけれど……。

 

もし自分がテレビ局の偉い人間だったら、やはりそこは守りに入っちゃうかもしれないな

とは思う。

アメトークを観てて、画面には映っていないんだけど、ときどき誰か芸人が爆笑トーク

したあと、本人らしき笑い声や言葉尻だけが聞こえたりして、なんか心霊レコードみたいな

違和感も感じた。

 

そうそう、テレビ局の番組の編成や差し替えといえば、すこし前のテレビ東京でも

妙な番組差し替えがあった。

 

「土曜スペシャル」にて本来は共同浴場をめぐる旅を放送する予定だったはずが

なぜか「いい旅夢気分SP」の再放送に変わっていたのだ。

 

最初、理由がわからなかった。

いくらマイウェイなテレビ東京でも(失礼)、ゴールデンタイムの2時間番組を再放送に

差し替えるなんて滅多にありえない。これにはなにか意味がある、と。

 

ネットで検索すればそれについて書き込みしているユーザーがいるだろうから理由は

すぐわかると思う。

でも「すぐネットで」というのはオレはやらない。

まずは人差し指より頭を使いべし。

 

そのときからすこし前に予告として流れていた土曜スペシャルの予告編を思いだしたら、

その近辺数日で世間を騒がせていたトピックが、見事に重なったので差し替えの理由が

ネット検索するまでもなくピンときた。

 

ここ最近、温泉番組の案内人として活躍しているのが俳優の原○龍二。

その原田がつい最近、不倫騒動を起こした。

 

共同浴場巡り特番のナビゲーターが原田○二だったんだけれど、そんなスキャンダルが

オンエア直前で発生したから、テレ東が悩んだあげくイメージで急きょ、差し替えしたのだろう。

 

うーん、不倫がよろしいとはいわないけれど、あくまで家庭の問題だし、殺人や傷害事件じゃない

わけだからこれもまた放送してもよかったんじゃないかと思うけれど、それも局側の自粛って

とこなんだろうな。難しい。

 

原田龍○はずっと昔、TBSの「キライじゃないぜ!」っていう番組にクールな不良役で

出演してて、そのころから同性から見てもカッコいいなあと思い好きなほうだったんだけれど、

不倫の件についてはとくに擁護も批判もするつもりはない。

「ああ、そうだったんだ、ふうん」程度の認識。

 

あー、でも共同浴場特番は観たかったな。

そんなシブい企画やるのはテレ東かBSくらいだもの。

 

温泉でもスーパー銭湯でもなく、共同浴場をゴールデンで2時間以上やる。

その心意気にマジで敬意を表したい。

 

もうほとぼりも冷めてきたころだから、時期がくればその特番のオンエアもしてくれると

期待して楽しみにしている。

 

いくらか前に図書館にて「侘寂温泉」という本を見つけた。

‘わびさびおんせん’と読むようだ。

 

 

 

地方のどこか寂しい温泉や古い共同浴場をとりあげている。

「ぴあ」などでは絶対紹介されないようなマニア向けの浴場。

 

どちらかというと、ガイド本というよりも共同浴場写真集という作り。

西日本版も出ている。

 

今回のテレ東みたいに観たい番組が流れてしまったり、自分自身もなかなか

出掛けられないときは、こういう本をチラチラ観て、旅行した気になっている。