魚からダイオキシン‼ | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

樹木希林が亡くなった。

それをすぐ追うようにして夫の内田裕也もこの世を去った。

 

もともと音楽やロックシーンにそれほど詳しいわけではなかったので

「内田裕也」という存在と名前をはじめてしったのはビジーフォーのグッチ裕三が

やるモノマネが先だったかもしれない。

 

ただし、グッチのモノマネは

「シェケシェケシェケシェケ!シェケナベイベー!」しかセリフをいわないため、

元ネタである本人の詳細はあまりよくわからなかった。

 

数年後、「笑っていいとも!」のラストにイベント告知ゲストとして力也(当時安岡力也)

とかと一緒にスタジオに登場したのを見て、ああ、アレが内田裕也か、としった。

 

そして今から10年くらい前、ちょうどこのブログを開始しはじめたころに、当時の

民主党政権がおこなっていた「事業仕分け」の会場へ行った。

蓮舫が吠えるのを見たくてわざわざいったのだが、オレがいた時に限って

借りてきた猫みたいにダンマリとしゃべらない蓮舫。くそ、ツマラン。

(今回は映画ネタ。めんどくさくしたくないのでこのへんの政治批判はご遠慮ください)

 

ただ、ささやかな収穫があったとすれば、ここで生の内田裕也も見かけたことだった。

 

会場内の傍聴席はパイプ椅子だったのだが、最初に会場入って席だけ確保し、開始まで

ちょっと場内を歩いてみようと思い席を立ち、そのまま横に並ぶパイプ椅子の前を歩いて

いったら、すぐ目の前にいきなり内田裕也が座ってて驚いた。

ワイドショーとかでこれまでも観にきていたのはしっていたが、まさかそんな毎回くる

なんてこともねえだろう、って思っていたら、いた(笑)

 

黒ずくめの服に目が透けてないサングラス。

金髪のロングヘア。

手には杖。

そしてまるで戦国武将のように、足をひろげ、デンと構えてパイプ椅子に座っていた。

 

見た瞬間、心の中で「うわっ!内田裕也だっ!」っと驚いた。

ミーハー心でちょっと話かけてみたかった気もあったが、雰囲気というかそのオーラが

ハンパじゃなく、人を寄せ付けないほどに微動だにしていなかったので、本人が前に

つきだしている膝すれすれの所を通って、そのまま通過した。

 

下は過去記事より仕分け開始後の画像。

ややわかりづらいが、前列に座る左一番奥に内田裕也氏の長い金髪が写っている。

仕分け内田

 

休憩時間や終了後も、仕分けしている政治家以上にマスコミやインタビュアーが内田裕也

のまわりに集まってきていた。

 

こういう場所に何度も足を運ぶということはやはり政治に強く関心がある人物だったのだろう。

昔は恐ろしいほど政治に興味なかったからしらなかったけれど、かつて都知事選にも立候補

したと恥ずかしながら改めてしった。

下はそのときの政見放送。

 

 

 

クセがすごい。

 

正直好きなタイプの表現者、好きなタイプの主張ではないけれど、ある意味で

人間は亡くなる寸前までの内田裕也とまったく変わっていない。

 

年齢とともに丸くなったり、キャラがブレてくる人がほとんどだけど、このころから

老人になっても、ロックンロール!とブレないでいい続けられることはそれはそれで

すごいことだなと思う。

 

そんなこともあり、好き嫌いは別として、内田裕也という人物がどんな人間だったのか

もうちょっとしりたいと前から思っていた。

 

松田優作の遺作にもなった「ブラックレイン」にも出ていたが、あれをはじめて観たのも

もうかなり昔だったのであまり記憶になかった。

 

そして1、2か月前に内田裕也が主演だった「魚からダイオキシン‼」を観てみた。

タイトルだけは前からしってて映画自体も気になっていたのだが、内田裕也主演ということはしらず、

たまたま検索してみたらそれがわかったので、ちょうどいいかなと。

図書館でLDで観たのだがちなみにLDも初体験。

 

 

 

――

過激なロックンローラー・内田裕也、ホットな話題で世間を挑発し続ける男・本木雅弘。

さらに多彩な活動で注目を集める男・ビートたけし。他に横山やすし、景山民夫、C.C.ガールズなど

異色のスタッフ&キャストが集結。

都知事戦に敗れニューヨークへ渡るロックンローラー“YUYA”。

そこで出会ったクルド人ミュージシャンに触発され、クルド人難民救済コンサートを開こうと帰国するが…。

(amazonから引用)

 

追ってしらべたら若松孝二監督作品のリメイクらしい。タイトルは変えてあるけど。

 

 

映画自体はしっていたけど、監督が宇崎○童とはしらなかった。

正直ちょっと苦手なタイプなのだな。

昭和のワルっぽい芸風アーティストって。

もちろん、ダ○ン・タ○ン・ブギ○ギ・バンドは昭和を象徴するバンドだと思う。

港のヨーコとスモーキン・ブギしかしらないけど曲は好き。

 

でもキャラとしては多少抵抗がある。

アラジンの高原兄みたいなコミカルワルならばいいけれど、ガチのツッパリテイストは

うん、ちょっとという感じ。

 

まあ、とりあえず、これはこれで映像作品として割り切って観ればいいやと思って

鑑賞。

 

前半はドキュメンタリータッチ風ムービーといったところか。

さきほど貼りつけた当時の政権放送の映像も作品中で使用されている。

 

一応ストーリーはあるが、雰囲気的には壮大なプロモーションビデオという印象も

うける。

 

紹介にもあるように、ところどころ当時の芸能界を象徴する有名人が実名などで登場し、

実際にあった事件やスキャンダルネタが散りばめられたりしていて、そこは楽しめる。

田代まさしや桑野信義も本人チョイ役で登場。

ひとつ、個人的なことをいえばオレの好きな某アーティストがそっくりタレント起用で表現され

内田裕也にボコボコにされているのがあまり気分よくなかった。

 

誰とははっきり書かないが、まあオレが好きなそのアーティストもかつては

ちょっと好き勝手やってた印象あるから、内田裕也や宇崎○童から好かれていないのも

わかるなあとは思うが、ちょっと露骨だったこともありファンとしてはやはりそこだけは不快。

 

筋を思いっきり大雑把にいえば、都知事選に敗れたロックンローラーが海外にゆき

その後帰国して見たら、かつての業界仲間が音楽をすっかり食い物にしたり、麻薬に

手をだしていたりして、それについてそのロックンローラーが怒るというような話。

だと思う。

ラストはなぜか戦争映画のような世界観。

 

詳しいストーリーについてはオレの力ではうまく説明できない。

よって興味ある人は観てもらった方が早いかも。

 

ふたつみっつだけはっきりいえること。

 

共演しているモックンがかっこいい。

メイクとファッションが退廃的でもあり近未来的でもある。

こんなファッションが似合うのはモックンだからだろう。

決して似ているわけじゃないが、ニュアンスとしてはどこか「時計じかけのオレンジ」

のアレックスを想像させる。

結果的に内田裕也と親子共演。

 

あと、そのモックンたちがいるアジトのようなところのロケ地が軍艦島。

そのころはまだ今ほど注目されていなかったから、公開時はかなり新鮮でインパクトある

背景だっただろう。

 

未だにその意味もわからないが、「魚からダイオキシン‼」というタイトルは秀逸だ。