東村山名物 だいじょぶだァー饅頭 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

ただでさえ暗黒に限りなく近かった中学時代。

週の頭の月曜日の登校は輪をかけて憂鬱だったものだ。

だが、当時「志村けんのだいじょぶだぁ」が月曜夜に放送開始されてて

帰ってからそれを観ることを励みに授業6限を何とか乗り切っていた。

 

レギュラー放送はかなり前に終了したももの、今でもたまに特番はやっている

様子なので、そういう意味では息が長い番組である。

 

志村けんが「だいじょぶだぁ」の中で演じるキャラでもっとも有名なのは

「ヘンなおじさん」。

それに次ぐといってもいいキャラに「ひとみ婆さん」がいる。

 

ゴルフキャディや居酒屋女将やマッサージ師として登場し、相手のお客に

同じことを何度も訊いたりして、客から「それ、さっきいったでしょ!」とつっこまれる

キャラである。

ネタもワンパターンでマンネリではあるが嫌いではないし、志村けんが演じると

やけに面白い。

 

中でも好きなのは宿で働くマッサージ師として登場するコントなのだが、

実はずっと昔に「ひとみ婆さん」というキャラが誕生する前に、普通の婆さん

役として志村けんが演じていたことがあった。

 

一番はじめのころでネタに新鮮味があり、また客役がバラエティにはあまり

出ない西田敏行で、そのふたりの演技とやりとりがとても面白かったので今でも

おぼえている。

 

観光で地方にやってきた西田演じる客が、泊まったホテルにてマッサージを

頼む電話をフロントにかける。

やがて、よろよろの婆さん役の志村けんが部屋にやってくる。

 

若い女性じゃなくてガッカリする西田だが、しょうがないから志村演じる婆さんの

マッサージを受ける。

 

マッサージしながら、「こちらのほうへは観光ですか?お仕事ですか?」とか

「ここへは何度か来ているんですか?」と訊いてくる志村。

それに対し、最初はしっかりと答える西田。

 

しかし、マッサージ中に志村演じる婆さんが同じ質問を何回もしたり、同じ身の上話を

何度もするため、イライラしてくる西田。

 

腹が立ってきて、志村の質問にたいしてだんだん「ああ、そうね」などと、すべて適当に

流すようになってくる流れのリピート。

 

そんな流れに途中で志村がはじめての質問をしてくる。

 

「こっちの方、何度か来ているんだったら、あの茶屋の名物の『だっふんだぁ饅頭』は

もう食べたかい?」

 

これにたいしても西田は適当かつ、ぶっきらぼうに

「ああ、食べたよ、ぼくあれが好きでね」

と答えるのだが、それを聞いた志村演じる婆さんが、ぼそっと不満そうに

「そんなモン(だっふんだぁ饅頭)、ねえんだけどなぁ……」

と呟き、それを聞いた西田が「え!?」といったような怒りと涙のまじった表情を

見せる。

 

リアルタイムでそれを観てたとき、ふたりのテンポや表情が面白くてテレビの

前でゲラゲラ笑っていた記憶がある。

 

あと、このコントの中で志村けんがいきなり口にした『だっふんだぁ饅頭』という

ワードも思いきりハマった。

 

それから少し経ってから、また「だいじょぶだぁ」を観ていたら、志村けんと田代まさしと

松本典子の3人がやっている爺さん婆さんと孫の会話コントの中で、志村けんが

 

「以前やったコントを観ていた知り合いが『だっふんだぁ饅頭』を実際に作って送って

くれたんだ」

と話し、その実物を紹介していた。

 

それを観たときに「面白いなあ」と思ったと同時に、「なんでもいってみるもんだなあ」

とひとつ人生勉強をした気がした。

 

それからさらに2、30年経過したここ最近。

吉田類の酒場の番組を観てたら東村山の居酒屋が紹介されていた。

メインで紹介する居酒屋へゆく前に、周辺の立ち寄りスポットを一軒紹介する構成に

なっているのだが、そのときに『だっふんだぁ饅頭』を売っている店が紹介されていて

あのコントの記憶が甦ってきた。

 

東村山市といえばやはり志村けん。

店もやはり東村山だった。

 

しかも詳しく聞いてみたら、その饅頭を作ったのは老舗であり、そこのご主人が

志村けんの同級生ということあっての饅頭誕生とのことだ。

 

つまり志村けんのギャグとコントを元ネタとしたネーミングがついているものの、

よくある「○○スキー場にいってきました!」とか「世界遺産○○にいってきました」

というようなクッキーやサブレとは違う。

 

そういうのはそういうので土産用として機械でポンポン押され、かたどられて量産されている

菓子だけど、この『だっふんだぁ饅頭』は歴史ある店が本格的に作った饅頭というのが先にあり、

追って志村けんを輩出した街であることをアピールしたネーミングがつけられたわけである。

 

最近甘いモノも好んでいるので、ならば一度試してみようと思い、先日サイクリングがてら

東村山まで走ってきた。

 

府中街道をまっすぐ進み、ふれあい下水道博物館を過ぎ、今度新しいお札の顔になる女史の

意思を継ぐべく女学生が集う大学も越えてしばらく進めばそこはもう東村山だ。

イッチョメ イッチョメ ワオ。

 

 

左手に駅が見えたら、今度はそこから東へと伸びる道をしばらく走ると店が見えてきた。

 

『和菓子処 餅萬』

東京都東村山市久米川3-29-38

HPはココ

 

 

風に堂々となびくノボリ。

 

 

 

厳密にいえば「だいじょぶだァー饅頭・だっふんだァー饅頭」である。

 

撮影はしてないが、店内はさすが風格ある老舗といった雰囲気。

さっそく購入した。

 

「だいじょぶだァー饅頭 だっふんだァー饅頭」 650円

 

 

5個入り。

 

うち3個は「だいじょぶだァー饅頭」で、2個は「だっふんだァー饅頭」。

だいじょぶだァー饅頭は小倉餡で、だっふんだァー饅頭はうぐいす餡である。

 

 

うぐいす餡なんて、食べたのはいつ以来だろうか。久々だ。

子供のころ以来食べていない気もする。

 

 

やはりしっかりと拵えられてて濃厚で美味かった。

 

餡については基本こしあん派だけれど、これはこれでだいじょぶだァー。

とりあえず1種類ずつだけ食べて、あと実家へ土産にもっていった(笑)

他に沖縄産黒砂糖を使用した「だいじょぶだァーどら焼」や「だいじょぶだァー最中」

なども販売している。

 

志村けんといえば、ほんとにたまたまだが1週間ほど前にバラエティで生い立ちを紹介

されているのを観た。

 

ひとみ婆さんのようにコントにおいてボケた老人の役が多いイメージの志村けん。

あるコントでは、朝ご飯を既に食べたのに、その後何度も「メシはまだかい?」

と(義理の?)娘に訊いて、「おじいちゃん、もう食べたでしょ」とつっこまれたりするボケた

老人を演じている。

 

このコントも子供のころ観たときは笑ったが、先日の生い立ち紹介をみたら、

厳格だった実のお父さんが家の前で交通事故にあったあと、そのような状況になって

いたという過去があったことをしった。

 

前に書いたが、沖縄の歌の「ハイサイおじさん」も一見明るいリズムだけど誕生のきっかけには

悲しい秘話が存在した。

 

長渕剛もドラマ「とんぼ」でヨタヨタとよろつきながら相手ヤクザをキックしたりして、それが

「長渕キック」「よたつきキック」などと呼ばれたが、あれも実は自分が九州のライブハウス

「照和」にて自分の歌いたいフォークを歌っていたら、酔ったオヤジ客から「若僧!演歌歌え!」と

ヤジられ、「すいません、演歌はちょっと歌えません」といったことが誕生のきっかけ。

 

断ったら、客から髪の毛つかまれて引きずりまわされ、蹴られまくったのだが、客も酔っていたから

キックする際、基軸となる足がヨタヨタしていたという。

それをヒントとして、昔の自分がやられていたことをそのまま演技に取り入れ、あのヨタついた

キックが誕生したわけである。

昔、ヘイ!ヘイ!ヘイ!に出演した時にそう語っていた。

 

なので、こういうエピソードたちを聞くと、歌手にせよコメディアンにせよ役者にせよ、

表現する人たちっていうのはみんな、自分や自分の身内の辛い過去をしっかりと人を楽しませる

ネタへと変換しているんだなあと感じる。

それがプロなのかもしれない。

 

誰だったか忘れてしまったが、ある女性作家が書いた作品中の主人公の言葉を拝借すると、

オレもこれまでの人生の中で

「こいつだけは老衰以外で逝ってほしい」

と思えるやつが数人存在する。

でも、許せない腐ったやつほど、小説の世界における外道キャラのモデルとしては貴重ともいえるので

最近はそういう輩との出逢いもまた、キラキラ輝く宝石のようなものだと思うように心掛けている(笑)

 

論点がズレてきたので、軌道修正もかねて最後にひとことだけいわせてほしい――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だっふんだ!(´-ω-`)