執拗な追求の答えで困るのはアナタだよ | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

先日もちらっと書いたが、買い物の件にからめてまずひとつ。

 

洋服を買いに店に入った際、すぐ話しかけてくる店員の接客の是非が

ここ数年に目立った論になっている。

マツコと有吉の番組でもやっていた気がする。

 

にもかかわらず、今でも店によっては入店すると

自然の摂理といわんばかりに店員がすぐに話しかけてくるケースが多い。

 

前の記事で書いたエリアの2、3店でもそうだった。

 

春物の上着を探しながらデパートのフロアを歩いてて、ショップ「A」に入った。

(先日書いたマヌカンの店ではない。別の男マヌカンがいる店)

 

そのショップは有名なメーカーであり、ファッションに疎いオレでもしっていて

デザイン自体とかはどちらかといえば好きなほうだった。

ちなみにヒントとして「A」はイニシャルでもある。

ただ、すべてがいい値するのでこれまでこの「A」の服を購入した経歴はない。

基本気に入ったのがあったとしても買える店ではないけれど

せっかくだからとりあえず立ち寄ってウインドウショッピングがてら商品を見てみよう。

それでもしも奇跡的な価格のセール品があれば買ってもいいかな、という程度の

気持ちで入った。

 

今回の買物は決して「オシャレな服を買いたい」と思ったのではなく、

「春という微妙に肌寒い時季にちょうどよい保温性のある衣類を調達したい」という

のが目的なので、予算は1万円前後。

 

店員がよってきそうな気もして多少躊躇われたが、まあいいか、と思い足を踏み入れて

入口近くに並んでいるジャケットを見ていたらすぐに近寄って話しかけてきた。

 

いやいや、オレも接客業バイト経験であるからなんとなく立場はわかる。

本人の意気込みとか勇み足とかではなく、経営側からそういうマニュアルを叩きこまれて

やっているのかもしれないということくらいは。

 

ただそれにしても来るのが早すぎるだろ(笑)

店に入ってまだ一番手前のラックしか見とらん。

 

めちゃくちゃ腹をすかせたニジマスがいる釣り堀の水中に垂らされた糸の先につけられた餌に

なったような気分だ。くいつきが早すぎる。

 

せめて店の中一周してひととおりの商品見てから声かけてくれって。

まだ一カ所しか見てないのに、そこにある商品だけで「これなんかいいですよ!」といわれたって

「いや、一応全部見てみたいんですけど……」

と思ってしまう。

オレ、なんかオカシイこといっています?

 

で、絵に描いたような文句で、

「これとかボクもプライベートで買って着てるんですけど――」とか、

「これなんか今年流行ってるんですけど――」

とかいうアピールをコンボで繰り出してきて、こちらも気を遣い、ああそうなんですね……

などと返すが――

 

心の中では正直、

「いや……なんでオレがアナタとお揃いを着ないといけないんだ……」

「流行ってるって、それ着て中央線に乗ったならば同じ車両に同じ服着た人間が

いて女子高生がクスクスしはじめるリスクが高い服ってことだろ」

などと、つぶやいたりしている。

 

どんなに推してもこちらが「はあ」とか「あぁ」とか反応しないので、先方もしびれを

切らして核心を突いた質問をしてくる。

 

「どんなのをお探しですか??」

と。

 

訊いたね? 訊いてきてしまったね?

その質問はパンドラの箱だよ、キミ。

 

オレは決して自分からこういうのあります?と訊いてはいない。

あくまでもアナタから訊いてきたのだ。

だからオレはそれに答えるまで。

 

オレは答える。

「1万円くらいで春先に羽織れるものが欲しいんです」

と。

 

別にケチっているわけじゃない。

本当に欲しかったり、ひと目ボレした衣類ならば2万以上でも出すが今回は

そういうタイミングや目的ではないのだ。

 

この「A」という店はセールだとしても1万円以内でジャケット系の

衣類は基本買うのが難しい店だということはしっている。

そういう理由でオレは、自分から店側にたいして、

「1万円以内で買えるジャケットみたいなものありますか?」

とは訊かなかった。

その店が扱う商品の質と価格をしっていたからこそ、それは失礼な質問だと思った

からだ。

とはいっても決して冷やかしで入ったワケではない。

もし気に入ったのがあったら、それはそれで検討しようとは思っていた。

でもなかった。それだけの話。

 

オレが「1万円以内のジャケットみたいな羽織るモノ」といったら、案の定、

店員は困ったような愛想笑いを浮かべ、言葉を詰まらせた。

数秒の沈黙に「うーん……」という表情をしてみせる。

 

そんな商品はないのだ。それはこっちも承知。

「うちの店では1万円では春物のジャケットとかは買えないですね」

とキッパリいいたいのだろうが、希望を訊いたのは‘自分のほうから’だったから、

礼儀的にもそこはさすがに適当に流せなかったと察する。

 

オレのことをハズレ(買わない)の客とわかり、困った店員は自らした質問に

ついてこう思っただろう。

「墓穴を掘った」「自爆した」

 

こういうパターンははじめてではない。

なので困った店員が苦し紛れに次に発する言葉もだいたい決まっている。

今回も予想通りだった。

 

「あのう、ジャケットとかは難しいんですけど、こちらとかはどうですか?

シャツなんですけどこれならば1万円いかずに買えますけど……」

 

だから、オレはジャケットが欲しいんだってば……

シャツ欲しいなんて誰がいったんだ(-_-;)

 

自分から訊いた以上「ないです」で終わらせられないモノだからとりあえず「1万円以内」

ということだけに的を絞り、求めてないどころか季節感関係ないものを勧めてくる。

自分の質問により創成されてしまった魔境の突破口を必死に探した結果、思いついたのが

数千円のシャツだったのだろう、きっと。

残念だね、その突破口は途中で行き止まりだ(笑)

 

結論を書くまでもなくそこでは買わなかった。

職業柄のマニュアルならばあの店員も可哀想な気もしたけど、それを踏まえても自分の

ほうからどんどん積極的に質問していったりするという行為は時や場合により、自分に

とっても相手にとっても地雷になるという可能性は考えないといけない。

 

でだ。

 

今回ちょっと挑発的な記事タイトルをつけたが、誤解ないようにいっておくとこのタイトルは

決して今回のような販売業の店員さんに向けてつけたタイトルではない。

 

こんな経験をふまえて

「しりたいことをしつこいほど詮索してくる人種」は墓穴を掘るか、相手だけでなく自分も

困る結果を招くということについての記事である。

店員の例は前口上。

 

たとえばオフィスの片隅で、オレが業務的に絡むこともなければ個人的に会話もあまり交わすことが

ない女性社員とふたりで目立たないようにこっそりと話をしてて、雰囲気的にいくらか盛り上がったり

していたとする。

 

その現場をたまたま同じオフィスの同僚(仮にBとしておく)に目撃されてしまう。

 

いつもほとんど接していないオレとその女性社員が陰でふたりで話しているのをみた

Bは興味津々で勘ぐって、そのあとオレに

「ねえねえ!○○くん! あのとき××さんとふたりで何やってたの!?」

とか、

「こっそりなに話していたの!!」

などと質問攻勢してくる。」

 

いや、まあそこまでは別に構わない。

決して品がある行為とはいえないが、人は誰しも他人のプライバシーや色恋沙汰について

大なり小なり関心を抱いているものだろうから。

 

だけど、こちらにも黙秘権がある。

女性社員××さんとふたりでこっそり話していた内容はBだけにはどうしてもいいたく

なかったし、絶対にしられたくなかった。

 

なので「いや、別にたいしたことじゃないよ」と、とりあえずはぐらかすと

「たいしたことじゃないならば、教えてくれたっていいじゃん!!」

といってくる。

「ちょっと仕事についての相談で……」

と適当な嘘をつけば、

「仕事のことならば、みんながいる前で堂々と話せばいいじゃん!」」と

いってくる。

 

とにかく、それらしい自分の想像通りの答えを聞くまでしつこく訊いてくるのだ。

その日だけならばまだいい。

翌日もそれからしばらく経った日とかにも自分が求めている答えをオレの口から

きくまで何度もしつこくしながら追求してくる。

 

でもオレはどうしても××さんとの会話内容をBだけにはしられたくないから、

何度訊かれても、「だから別になんでもないって」と答えることを貫き通す。

 

それによって最初のころはニヤニヤしていたBもだんだんとイライラしてきはじめ、

何もしゃべらないオレにたいして、

「ほんと、おまえつまらないね」だの、「友人だから誰にも言わないのにホント信頼して

ねえよな」などと、真顔で捨てセリフに値する悪態をつき戻ってゆくのである。

 

つまらない奴、信頼していない奴……

そうか。それがBの対応か。

 

そこまでボロカス言われてまで黙っている義理もない。

Bのほうから何度も訊いてきて、そこまでこだわってまでオレの口から

本当のことを聞きたいと思い疑問ストーカーのようにしつこくつきまとった

挙句にオレを傷つけるような言葉を放つのならばいっそ、おしえてやったほうがよかったか???

 

「おまえ(Bのこと)、今度転勤じゃん。だからおまえを喜ばせようと今度の送別会における

サプライズ企画をオレが考えているんだけれど、現場のほうがいろいろ忙しいこともあるので

小道具の手配を電話慣れしてる××さんにお願いしてて、その打ち合わせをしていたんだよ」

と。

 

※諸事情により、設定だけ「送別会企画」にアレンジさせてもらったが実際は違う。

でも流れ的なものは同じなので伝われば嬉しい。

 

男女がこっそり話していたら、すぐに付き合っているかもだとか、あるいはどちらかが

アプローチしていたんじゃないかという答えにつなげる発想の乏しい人間が多い。

Bもそんなひとり。

 

おまえのためを思って、おまえに気づかれないように、しっていることもわざとすべて

すっとぼけてやったのだよ。

 

ストーカーまがいの質問だけでなくそのような言葉をオレにいうのであれば、

正直にいってやってもよかったけど、

「おまえに向けたサプライズ企画を相談してたんだよ」とオレから聞いたあと、

果たしてBはどんな反応を示すだろうか。

 

きっと言葉を詰まらせて困り、心の中で「しまった」と後悔するだろう。

立場なさから、「そういうことは普通本人には言わないだろ!」と逆ギレしてくるかも

しれないが、何度も答えたくないと答えたうえ、ときにはウソだってついてやってたのに

こちらのそんな思惑を想像せず心無いつきまといを続けてこちらの精神を弱らせたのは

そっちである。

 

いうまでもなくオレは言わなかった。

いったらすべて意味なくなるし、Bだけでなくオレだって罪悪感に包まれる。

オレとBのふたりの間だけの問題ならばそこでキレていってしまってもいいかも

しれないが、送別会というだけに他の仲間の立場だって考えないといけないのだから。

 

今回書きたかったのは、他人の言動について妙に不自然に思ったりしても必要以上に

訊いたりしないのは大事だということ。

 

重ねていうが、人間誰しも他人のプライバシーにそれなりののぞき見的な好奇心がある

のは通常だと思う。

野暮や下世話な質問だとしても、気になったのであれば1、2回ほど訊くのはまあいいだろう。

 

だけどしつこいのはイカン。

数回訊いても相手が答えたがらない場合は、あなたが想像している状況とはまったく

異なる背景がその人には存在しているのかもしれない。

 

さきほど書いた送別会の例でいえば、もしオレがBの質問に応えていたら一番後悔するのは

Bに間違いない。

沈黙や嘘の理由を必要以上に追及した結果はときとして、訊いた側に跳ね返ってくるのだ。

 

オレと女性がふたりで話していた状況を、Bは完全に色恋ごとだと思い込んだ。

 

もっと突き詰めたことをいえば、オレにたいするBの無礼よりもその大いなる想像力

の欠如が大問題なのだ。

 

状況的に「そうに決まっている」と思い込んだらもう疑わず、その背景に他のあらゆる可能性

が存在するかもしれないことや、もしかしたらそれは自分に関することだからあえて隠れるように

動いていたのがアヤシク見えたのかもしれないという想像力がまったく働かない猿。

人の色恋沙汰と出世にしか興味がない猿。もっと本よんで創造性を養え。

 

人には「話したくない理由」が多く存在する。

また、他の第3者のことを考慮したうえで「話せない理由」も多く存在するだろう。

 

友達なんだからなんでも隠さずにいってくれよ!

などという人間もいる。

その人はその人で悪気はなく、その人なりの善意なのだろうとは思う。

 

でもオレの考えはちょっと違う。

 

たとえば、こういうお互いに顔も本名もしらない同志のSNS相手だからこそ

ぶちまけられることはあるが、逆に互いによく知り過ぎている身近な友人だから

こそ、いいづらいことやいえないことだってある。

 

大事な親友は友人だからこそ、気を遣いそこはふれたり聞いたりしないという

姿勢も大事じゃないだろうか。

 

隠しごとの理由が、自分にたいしてなにかを考えてくれているためだった場合、

強引に答えを聞きだしたところで後悔や不快な気分を味わうのは相手だけでなく自分もである。

 

生きてゆく上で今後もそういうしつこい好奇心人間と接することもまだありそうだ。

 

たとえ相手がしつこくタチの悪い人間だとしても、口にだしてキミのためになにか

してあげようと考えてたんだよ、といってしまえばすべてが台無しになるし、オレ自身も

自分が嫌な人間に思えそうだから耐えはするけれど、でもそういうタイプには一度

すました顔ではっきりといってやって反応に困る目にあってもらえば、今後は人にたいして

しつこい質問とかしない良い薬になるのかなあとも考えたりした。

 

まあひとことでまとめれば、あまり親しくない間柄だろうが親しい身内だろうが、たとえ

興味があったとしても人の言動には深く追求するべきでないというだけのことだ。