「令和」
新しい元号も決定したようだ。
ここすこし前から書店にいっても天皇陛下と美智子さまが仲良く一緒に
写っている写真が表紙の本の平積みが目立つようになってきた。
平成もほんとにもう終わるのだなと感じる。
それを考えるとこのブログも開始してから10年も近くなってきたから
平成の3ぶんの1を書いて駆け抜けてきたことになるのだなと思うと感慨深い。
昭和天皇はいでたちや表情がいかにも天皇という感じでシュッとしていたことに比べられ、
新しい天皇はおだやかでにこやかな表情だったけに、当時「優しそうだけど昭和天皇に
比べるとなんとなく頼りなさそう」という思われた部分があった。
だけど、やはり今の天皇もご立派だったと思う。
某文化人もいっていたが、今の天皇陛下は昭和天皇とはまた違った新しい天皇陛下像を
作られたのだと。
昭和天皇と比べてどちらのほうが上かとかふさわしいかとかいうのではない。
父親である前の天皇の偉大さをそのままマネするのではなくて、それとはまた別の
自分としての新しい天皇像を築かれたのである。
簡単に表現してしまえばいわゆる「引継ぎ」というもの。
一般企業の業務においても同様だが、前任者の存在や功績が偉大過ぎると、そのあとを
劣化されてはいけないというプレッシャーから、個性から戦略までとことん前任者のマネを
していこうとする人間が多い。
でもそれは違うのだ。
もちろん、重要な要素となる部分は無視することなく、模倣してゆかないといけない
のであるが、それ以外は前任者が持っておらず自分だけが持っている個性や才能を
発揮してゆくべきだと思う。
マネするだけならば後継者はモノマネさえできれば誰でもいい。
ただ、それではなにも変わらない。新しくもならない。
今の天皇陛下が自分から国民に寄り添うという形をつくられたのは尊敬。
どこかが災害にあったら、その地にゆき、被災者の人たちと同じ目線にたち言葉を交わす。
計画停電を経験する国民のことを考え、ご自身らも邸の電気を消して過ごされたりもする。
とにかく優しさが前面にでておられる。
オレはアホなのでこれまでの天皇制がどうだこうだとかわからないし、休みの日の夜の
貴重なこの時間に答えのでない天皇論をするつもりはないし、右でも左でもないが
今の天皇陛下は天皇という立場抜きにして、純粋に人生の大大先輩として人柄的に
尊敬できる人だと思う。
なので、そんな天皇陛下にたいし「謝罪しろ」とかいっている某国の大臣だかなんだかには
本当に腹が立つ。
で、今の天皇が退位のお気持ちを公表したのが1、2年前。
優しい陛下なりに、じっくりよく国民感情をふまえて考えられたのだろう。
オレはアニメの「機動戦士ガンダム」が大好きでそれについてはこのブログでも何度か
書いてきたが、そのガンダムのキャラクターデザイン担当でもあり、漫画の
「機動戦士ガンダム・THE ORIGIN」の原作者でもある日本屈指のアニメーター、
安彦良和が書いた「革命とサブカル」という書籍をすこし前に読んだ。
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これは本当につい最近追ってした事実なのだが、安彦良和氏と元赤軍派の植垣康博さんは
同じ弘前大学の先輩後輩という関係だったそうで、しかも当時ともに学生運動をしていた
こともあり互いに存在はしっていたという。
そしてこの本にはそのふたりの対談も掲載されているという。
「ガンダム」にも「連合赤軍」にも興味があるオレとして、これは読まないワケにはいかない!と
思い読んでみたのである。
対談内容は今回の記事内容と無関係なので紹介は省くが、本の中で安彦氏は現在の天皇の
お気持ち公表についても書いていた。
以下の引用文は昭和天皇にたいするヘンな意味やに皮肉などは一切なく、あくまで
純粋な「状況説明」の過ぎないのでそこは誤解ないように。
↓
今上天皇の強い「お言葉」は、ひたすら自身の老いに対する危機感から出ていると僕は
素直に理解している。
今上天皇は、「生きる屍」となった父昭和天皇が延々と続けられる献血によって無惨に
「生かされる様」を見ている。
「玉体」とよばれた聖なるはずの肉体の血がかつて臣民とよんだ国民のものとはいえ
誰から採取したか判らぬ血液で総入れ替えされる様を見ている。
その様を見て今上天皇は「自分はこのような姿になってまで象徴と呼ばれたくない」と
思われたはずだ。生きて祈り、かつ象徴としてのつとめを果たせてこその「象徴」なのだ。
(本文から引用)
重ねていうがこれは決して昭和天皇の輸血その他を批判しているわけじゃない。
ただ今の天皇は当時身内としてではなく、国民目線で天皇である自らの父の姿を冷静に
みつめていたのではないだろうか。
安彦氏が書いたことはあくまで本人の推測なので、それが正しいかは陛下にしかわからないが
安彦氏の意見が的を得ていたとすれば今の陛下の早い段階での決断は国民にたいする大きな
優しさからの決断だったと察する。
数か月前にたまたまと図書館で見かけて鑑賞したDVDが「終戦のエンペラー」だったので
ちょうど新元号が発表されたこのタイミングで紹介させてもらいたいと思った。
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終戦のエンペラー [レンタル落ち]
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――
1945年8月30日、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)を引き連れたマッカーサー元帥が、
第二次世界大戦で降伏した日本に降り立った。
直ちにA級戦犯の拘束に乗り出した彼は、知日家であるフェラーズ准将に、ある極秘任務を命じる。
それは「この戦争における天皇の役割と、戦争の真の意味での責任者を10日間で突き止めろ」という
内容だった。
日本人女性と恋に落ちた過去を持ち、日本文化をこよなく愛しているフェラーズは、この任務を通して
崩壊寸前の日本を助けようと決意。
さっそく東條英機元首相を始め、日本の元要人たちに次々と接触していく。
だが連合国やマッカーサー、さらに日本側の思惑が複雑に絡み、調査は予想以上の困難を強いられていく…。
果たして戦争を始めたのは誰なのか? 終わらせたのは誰なのか? そして、崩壊した日本の新たなる礎は、
いかにして築かれたのか? 日本の運命を決定づけた知られざる物語が今、始まる。
(amazonから引用)
メインテーマとなるのは昭和天皇だが、製作はアメリカ側。
戦時中もしくは戦争直後の日本を描いたアメリカ映画においては、やはり日本における描写が
かなり偏った作品が多いが、この作品は比較的中立さを感じ、極端な偏見も感じられなかった。
日本人プロデューサーがかかわっているが、それでもアメリカ製作というだけに多少の偏見は
あるが、まあそれはしょうがないだろう。
逆に完ぺキな日本の情景を描かれた映画をアメリカに作られたものならば、同じように戦争
直後の日本を描いた邦画の立場がないわけだから、そこは良かったというふうに解釈しておき
たい。
この作品においてマッカーサーを演じたのはトミー・リー・ジョーンズ。
彼も宇宙人として日本へきて缶コーヒーを飲んだとおもったら、今度は総司令の最高指揮官と
して日本へきて戦争責任の調査を任命したりとほんとに忙しいものだ(笑)
マッカーサーと昭和天皇といえば、あの2ショットが有名。
映画公開時にも新聞などの広告においては、トミー・リー・ジョーンズ演じる
マッカーサー元帥と昭和天皇役の俳優さんが並んで撮ったあのショットを真似た
写真が使用されていた。
実物の写真においてもなぜだかマッカーサーのほうがリラックスしていて、
昭和天皇のほうが緊張しているように見えるのだが、その理由もわかった。
既に有名なエピソードなのかもしれないが、‘招いた’と思っていたほうが、実は
‘招かれていた’のだった。
ドキュメントとはいえないし、事実違うのだけれど、いくらかの事実も練り込んだエンタメ
だと思えば決して悪くはなく楽しめる作品だった。
観るならば、いったん政治とは切り離してみるのが良い。
天皇についてやや書きましたがあくまで個人的見解なので
批判や嘲笑的なコメントはご遠慮願います。
オレも弱ってきているので、そのテのことがあればブロガーを退位します。
この惑星の住人はSNSで他人を叩くことが好きだから。
BY 宇宙人ジョーンズ。