今はもうメンツが変わっているがテレビ東京で放送している路線バスの旅が
人気だ。
いくらか前に読んだ作家の松田青子のエッセイ集「ロマンティックあげない」にも、
その番組のどこか良いか、どこが面白いかが書かれていた。
まず、平成ももう終わるというこの時代において、毎回旅に同行する女性ゲストの
呼称が「マドンナ」という薄ら寒さがいいとのこと。
わかる。テレ東らしい。昭和っぽくなければテレビ東京じゃない。
そして構成的にもヘンなテロップをだして感想を演出しようとしないし、あれだけ苦労して
ゴールしても、よし帰ろう!とサクっと終わらすところも好感持てると書かれている。
でもやっぱりキーパーソンは蛭子サンだろう。
松田青子いわく、太川陽介や女性ゲストが旅番組らしく、その土地の海鮮や郷土料理を
頼んでいる時も、蛭子サンはオムライスやトンカツなどを頼み続け、偏食を決して曲げない、
そこが面白いとのこと。これもなんだか納得。
この番組において、ちょっと前の時代だったら新聞の投書欄にクレームが炸裂している
ところだと思う。
「出演者のひとりのわがままが不愉快」だとか、
「旅番組ならばできるだけ現地の料理を紹介しろ!」
とかそんな感じの炎上になってたかもしれない。
だけど、今は製作するほうも視聴するほうも息苦しい社会。
管理だとか、予定調和だとか、そういうしばりにみんなウンザリしてきていることもあり、
そんな中で、蛭子サンのあのマイペースにしてゆるいながらも、信念を持ち、わがままなんだけど
他人を侮辱するようなことはぜったいいわない低姿勢が好感と共感を読んでいるんだ思う。
そんな蛭子サンはバラエティ番組の中でよく「クズ」呼ばわりされる。
とはいっても悪意はなく、あくまで演出上の愛されキャラとしての「クズ」である。
そして、さきほど書いたような風潮もあるせいか、今は「クズキャラ」が受けている。
俳優の六角精児サンもそのジャンル。
BSでたまに放送されている『』六角精児の吞み鉄・日本旅』という番組があり、
今までは気づいた時にしか観てなかったのだが、先日ラテ欄を見たら、この前の旅行で
立ち寄った川治温泉を六角サンが歩くみたいなことが書かれていたので、久しぶりに
観てみた。
その回の紹介はないが、番組のサイトはコチラ
☟
湯西川駅から伸びる鉄橋の風景もまた観ることができてうれしかったが、川治温泉街に
ある細い抜け道みたいなところにある食堂に六角サンが入って食事してたのもうれしかった。
実はオレもひとりでそこを歩いていて、入ることはできなかったが、味のあるいい店だなあと
感じていた。
蛭子サンも六角サンも旅番組をやっている(やっていた)。
旅はゆるい方がいい。
そしてゆるい旅には、「アツい男」より「クズ」のほうがあっているんじゃないかと思う。
もちろん褒め言葉。
蛭子サンは過去に賭博で捕まったことがある。
六角サンは六角サンで、クズなエピソードがすさまじく人気だ。
ふたりとも、自分の肉親にいたらちょっと抵抗あるキャラかもしれないが、あくまで第3者として
テレビを通して観るぶんには、そのクズさは清々しい。愛されるクズである。
正直、はじめに六角サンを観た時はあまり好きじゃなかった。
だけど、だんだんと、「この人見てると、肩が凝らないな」と感じるようになってきて、今はけっこう好き。
なんだろう?
漫画家にしても作家にしても俳優にしても、オレと思想の周波数が合う人っているのだ。
蛭子サンは著書でこう書いていた。
六角サンはテレビでこういっていた。
そしてクズではないが、冒頭で紹介した作家の松田青子サンもエッセイでこう書いていた。
「今まで仕事を面白いと思ったことは一度もない」
きっと、これなんだ。
オレと周波数があう人たちというのは。
ラジオはダイヤル1242、「ニッポン放送」じゃなく、
思想はダイヤル451018、「シゴトイヤ」である。
朝礼とかで「仕事を楽しもうという姿勢が大事です!」とかいうエライ人はまず尊敬できない。
本心でいっているというよりも、部下をもったり人を採用する以上そういわないといけないと
いう哀れな保身のほうが見え見えだから。
しかも、それをいっている時の表情、本人たちは「ニコニコ」のつもりかもしれないが、
観ているほうからは「ヘラヘラ」にしか見えない。
そうだな、そう考えると理想の日本国は総理が蛭子サン、副総理が六角サン(笑)
いや、それはそれでマズイ。
蛭子総理、カジノ法案のことしか国会で話さなそうだ(笑)
綺麗事をいわない正直な蛭子サン、そして六角サン。
そんな人たちが旅にでるからこそ、面白い。
今はBSでもローカルでも鉄道モノがたくさんでてきている。
そんな数多の紀行番組の中でも、この「吞み鉄」はタイトルとおり、六角サンが酒を飲みながら
旅する番組である。
他の旅番組同様、ゆく先々の駅や地で見つけた雰囲気ある地元の居酒屋に入って
常連さんたちを酒を交わすシーンとかもちろんあるのだが、酒場だけでなく電車のボックス
シートとか駅のホームとか河原とか公園とかそういう場所でも、六角サンが缶ビールを
グビグビと吞んだりしていて、そのゆるさがまたいい。
(モルツとかそのまま缶が映っているが、そこはNHK的OKなのか?)
六角サンや蛭子サンはクズキャラだけど、彼らの出演する旅番組を観ていると愛される理由が
わかる。
正直なことや本音はいうけど、旅先で話す人とかにたいしては決して見下さず、低姿勢で敬語を
使ってちゃんと対応しているのだ。
芸能でも一般でもクズキャラとかポンコツっていわれる人はそういう人が多い。
一方で知名度もキャリアも学歴もあるけど、人としてのそういう基本的な姿勢を忘れている人が
多いのが悲しい。
そういうことを学ぶ教育番組的な要素もふまえて、六角サンや蛭子サンの旅番組はこれからも
余裕がある時は観てゆきたいと思っている。
「吞み鉄」にかんしては壇蜜のナレーションもいい感じだ。
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