いい灯 旅立ち②湯西川温泉・金井旅館 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

最初にひとつ訂正。

前回6年ぶりの湯西川とかいたが、当時の領収書の日付を確認したところ

7年一か月前だった。

 

では改めて本編へ。

 

宿のチェックインはだいたい2時くらい。

例によって大型ホテルとかじゃなく、家族経営のような家庭的な宿なので、

時間が多少前後することは都合つけてくれるところがありがたい。

 

今回お世話になる宿はこちら。

 

『金井旅館』

栃木県日光市湯西川温泉822

HPはココ

 

平家集落へと入る橋の手前に佇む昔ながらの宿である。

 

前回湯西川温泉に泊まった時は「湯の季」(旧・湯西川別館)に泊まったのだが、

当初はこちらに泊まりたかったのだ。

 

だけど当時電話した際ひとり客はNGといわれ、代わりに見つけて泊まったのが

旧・湯西川別館だった。

今回改めてHPを見ると、ひとり客も1000円割り増しで泊まれることになっていたので

予約した。

ちなみに立ち寄り湯としては前回も訪問している。

 

レトロな帳場。

 

平家(みちよではない)の里の宿だけあり、鎧?甲冑?も飾ってある。

 

部屋は2階。

 

こたつ。その上には平家最中。

昔ながらの宿なので部屋に鍵はなく、外出の際は貴重品を金庫(100円式)に入れるか

受付で宿の人に預ける。

冷蔵庫があるのは嬉しい。

 

川沿いにあるので窓の外には湯西川がのぞめる。

 

さあ、普通列車6回の乗り継ぎと、30分のバス旅を終えての到着祝いでさっそくビール

ひと缶開けたいところだが、やはりひとっ風呂浴びてからのほうが美味い。

前回日帰りで入ったから、風呂の使い勝手はわかる。

まず湯に浸かろう。

 

一階に降りて奥へ進み、ドアをあけて外にでて進むと懐かしい露天風呂。

手前が女性用。そして奥が男性用だ。

かけ湯して入湯。

 

 

すだれの向こうから川の流れ音が心地よく聞こえてくる。

 

そしてこの金井旅館の素晴らしいところは7つの湯殿があるのだ。

 

周辺に人があまりいないことを確認し、次は解放感溢れる「河原の湯」へ移動。

 

 

前回も入湯チャレンジしたのだが季節柄、お湯が熱く、とても入れる状態じゃなかった。

今回はちょうどいい温度。

1メートル先にはもう川が流れている。

ほぼ自然と一体化という最高のロケーション。

 

川を隔てて向こう岸に軒を連ねる茅葺屋根の民家、そしてその後方にそびえる山々。

それを眺めながら浸かる超がつくほどの野湯。

参考までに対岸から見ると、下の画像の赤い矢印の位置に湧いている。

 

 

湯西川温泉は箱根や草津のような繁華街ではなく、本当に日光奥地の秘湯なので

シーズンオフや平日はほとんど人が歩いていない。

歩いていても、もうちょっと先にある大きいホテルが並ぶあたりくらい。

解放感あるだけに丸見えなので、シーズン真っ只中や週末は観光客が増えるため

ここに浸かるのは難しいだろう。

だから前回も今回も休日1日前にした。

この日も湯西川でいろいろあっただけ、街には人が多かったが旅館の近くはまだ

すいていたので助かった。

 

時間の都合で前回は浸かれなかった内湯への移動。

 

こちらのお湯は硬い湯で入った瞬間ちくちくする。

宿の人がどこかの湯は沸かし湯ですけどとかいってた気がするが、オレのカン違いかな。

 

 

とにかく内湯も素晴らしい。浴槽のタイル?も懐かしさに溢れている。

 

老舗ながらも温泉アミューズメントといっても過言ではない金井旅館の所持する

温泉はまだある。

だけど、いったん休憩。

部屋に戻って、ほどよく火照った体にアルコールを注ぐことにする。

 

キンキンに冷えたクリアアサヒの春ヴァージョン。

そして、つまみは……

 

宇宙空間でシガニー・ウィーバーと死闘を繰り広げたクィーンエイリアンが産み落としたと

思われるエイリアンの子供が空から落下してきたので、それを燻製にしてポリポリと

かじることに。

 

 

なーんていうのはもちろんウソ。

 

これは湯西川の名物のひとつとして有名な「サンショウウオの燻製」だ。

駅についた時に売店で買った。

好奇心が強いオレにとって、その地の名物、とくにジビエや俗にゲテモノといわれる

ものは試さずにいられない。前から食べてみたかった。

 

燻製の袋に書かれた説明によると、サンショウウオは標高1000メートル以上の

針葉樹帯に生息する水陸両方で生きられる強い生物。

水陸両用という面で、ガンダムのモビルスーツでいえばズゴックとかゾックみたいなものか。

 

しかしこの色といい、体面の凹凸具合といい、本当にエイリアンみたいだ。

ちょっと前に買って食べた人のブログを見たら、4本の足もついていたけど、これはついてない。

販売者なりに、すこしでもグロさを軽減するためにもぎって袋にいれたのかな。

オレとしてはありのままを食べたかったものだ。

 

サンショウウオをかじるスケキヨ。

異形×異形のコラボレーション。

味はちょっと苦みがあり、漢方薬チック。

そのぶん体に良さそう。精力もつきそうだ。

 

 

さて、一杯飲んである程度クールダウンしたので入浴第2弾。

 

この金井旅館のすぐ目の前で、川岸でもあるところにはこれまた風情ある共同浴場がある。

「薬師の湯」

(こちらは共同浴場なので金井旅館管理ではない)

 

 

前回も入ったが、今回もまた入ってみようと思った。

が、何度かいってみてもいつも地元の方が先客でいらしたので、今回は結局スルーした。

 

このあと夜出掛ける時ちょっとのぞいてみたら空いていたが、その時は

入る時間なかったので一応撮影だけ。

 

 

東京周辺ではまず見られない。そして浸かれない貴重な浴場。

今度きたときは入って帰ろう。

 

さあ、最後は金井旅館の持つ最後の湯舟。

これがまた河原の湯と同じくらい上級者向けの野湯である「薬研の湯」である。

今の時間はまだ人があまりいない。

今なら入浴チャンスである。

 

しかし……

積雪がすごい。

湯舟まで歩いてゆけるだろうか。

 

 

せっかく湯西川まで来たのだ。

そして今なら人もあまりいない。

 

決心したオレは浴衣にVANSのスニーカーというなんとも滑稽なスタイルで

八甲田山を行進するかのように、ザクザクと凍った雪の上を歩いて進軍。

そして辿りついた。

 

 

巨大な1枚岩をくりぬいて作られた岩風呂のワイルドさはまさに匠の技。

お湯に手をそっと入れてみると、湯加減もまた絶妙ではないか。

 

思い切っていざ入湯。

ザッブーン。

 

ああ、なんたる解放感。

そして素晴らしい景色。

やはり最高だ。

 

 

この薬研の湯は7年前にも入った。

東京に帰ってすこし経ったとき、テレ東で放送していた「ドライブ・A・GOGO!」と

いう番組を観ていたら月亭方正も入浴していた。

 

もしもツアーズの出演者も浸かったことのあるなにげに有名な秘湯である。

 

とはいってもオレはオレで調べたのでそれらで知ったわけではない。

はっきりいえば訪問したのはオレが先(笑)

 

湯加減も景色もよく、川の流れる音もすぐそばに聴こえてきて本当に夢見心地である。

湯西川温泉の魅力はこういうところだ。

 

心が落ち着く温泉にじっくり浸かっていると、心身のデトックスになる。

だけど同時にいろいろ考えてしまったりもする。

 

静岡から帰ってきて既に2か月が経過している。

そしてオレは今でも「中間」という定義について、答えを導きだせないままでいる。

その答えをだせない限りオレは……というかオレもアナタも人にたいしてなにかと

叱咤激励できる資格がないんじゃないかと頭を悩ます日が続いている。

 

このテーマは長い宿題になりそうだ。

いつまでも片付かないホームワーク投げだし、Son of a gun~~♪

なんて幽遊白書の馬渡松子的なノリで投げ出すワケにはいかない。

 

とりあえず、ケガレ思想の垂れ流しの世界から、源泉かけ流しの世界に避難した

こんな日くらいは、できるだけそういうことを考えるのはやめようと思い、

可能なかぎり肌で源泉のその温もりを受信することに集中した。

 

素晴らしきかな、俗化していない秘湯……

ああ、日本のどこかに 私を待ってる秘湯がある……

 

③へ続く