今さらだけど、生協の白石さん | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

人の出入りが激しいダメな会社によく見られる3大特徴。

 

・会議が好きでやけに多い。

・ロープレ(シミュレーション)が好きで、それが有意義だと妄信している。

・社長が日経新聞における成功経営者インタビュー記事を社員に回覧させる。

 

会議が好きな会社ってほんと多い。

そして面白いことにその内容のほとんどが不毛なのだ(笑)

 

思い出してみても、これまで有意義な会議をした記憶というのが見事にない。

いやいや、これはオレだけの感覚じゃないハズ。

 

これまで経験した会議が終わって同僚とかと一緒に退室したときも、

同僚のほとんどがボソっと、

「結局今の時間(会議)は、なんだったんだ……」

「これこそ時間の無駄だ。まだ営業でてたほうが会社のためになるわ」

とかいっている。

 

これまでで会議が終わったあと、自分も含め周囲で

「いやー!今日の会議はほんとによかった!!」

といっている人間を見た試しがない。

それでもまた定期的に同じことをやるのだから、人間というものはほんとに

面白いというか、学ばないというか、なんともまあである。

 

会議がつまらなくて、意味をなさない理由というのはなんとなくわかる。

 

会議とは本来、上とか下とかカンケ―なく、いろんな意見を出し合って

そのバランスというか、それぞれのいい部分を抽出してそれを活用するというのが

あるべき姿だと思う。

 

だが……

これはほとんどの組織で共通した現象だと思うが、下の人間がどんな意見を出しても

最後はトップが、

「おまえらはわかっていない! それじゃだめだ! こうしろ!」的なことをいって全否定し、

さんざんみんなで意見を出しあった挙句、最終的には結局トップのすすめたい通りに

なってしまうのだ。

 

だから、結局長ーい時間、いろいろ話していた意味がなくなる。

 

なんだろうか?

下から這い上がって出世したり、トップに君臨してる人っていうのは、かつて上の人間たちの

考えにナットクいかず、自分なりの我慢と信念を苦労して貫いてそこまで来たはずだから、

下の人間の気持ちは十分すぎるほどわかるはずなのに、トップになったとたん、自分がかつて

嫌っていたタイプの側の人間になってしまうというのは実に悲しい。

 

そして下の人間の声をまともに聞かないトップに限って、「コミュニケーションの重要性」という

言葉をやけに連呼する。矛盾というやつである。

 

今さら……ほんとに今さらだけど、図書館のリサイクル図書の棚にすこし前に話題になった

「生協の白石さん」という本があったのでもらってきて読んでみた。

 

 

 

この本が発売されていた当時はかなり話題になっていた。

個人的にはそこまで抜け出てという印象はなかったが、やはりそれなりには面白かった。

そしてこの白石サンという人間の人柄とセンスはかなり伝わってきた。

 

大学の生協に設置された生協に要望を書き込む「ひとことカード」に書かれたことに

ついて、生協職員の白石さんが返答したものの紹介。

 

カードを仲介としたやりとりだから、学生と白石さんは実際には生身で向き合っていない。

 

だけど、本当にコミュニケーション能力がある人というのは、この白石さんみたいな人の

ことをいうんだろうなあって感じた。

 

仕入れ的な質問や要望に真剣に丁寧に答えるのはもちろん、一見ふざけたような質問にも

しっかり丁寧に、かつユニークに答えているのだ。

 

たとえば、この生協への要望・意見・質問

 

「愛は売っていないのですか…?」

 

ふつうの店における質問カードにこんなことが書かれていたら、

おそらく、そっけなく「売っておりません」と返答がくるか、あるいは

「そういうふざけた質問にはお答えいたしません」などといった類の返答が来るだろう。

 

だけど、白石さんはカードにこう答えている。

 

「どうやら、愛は非売品のようです。

もし、どこかで販売していたら、それはなにかの罠かと思われます

くれぐれもご注意ください 【担当】白石」

 

……

哲学とユニークくわえ、どこか優しさまで感じさせるこの回答。

素晴らしい。

 

ただもっとも素晴らしいのは、センスというよりも白石さんのどんな質問にたいしても

相手を楽しませることを書こうという姿勢。

 

この質問を書いた学生が真剣だったのか悪ふざけだったのかはわからない。

 

ただ、もし悪ふざけで生協職員をからかおうと思って書いたとしても、こういう回答をみたら

逆に白石さんにたいして好感を持つんじゃないかと思える。

 

センスだけじゃなく柔軟性をも備えもつ人。

こういう人こそ、真のコミュニケーション能力を持つ人だとオレは思う。

 

会社の会議で、トップが「次はどんな商品を売るのがいいと思う?」と訊いてきたとして、

オレが「‘愛’を売るのはどうですか?」などといったら、

「ふざけんじゃない!」とかいうのではなく、オレが「そう返ってきたか!やられた!」と

思うような見事な返しをしてくれるトップにいつか巡りあいたいと願っている。

 

もしいたらオレはその人をマジで尊敬するだろう。

おそらく一生出逢えそうもないけど(笑)