TOKYO立呑倶楽部@両国 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

友人と一緒に両国の「寺尾」という店にちゃんこ鍋を食べにいったことは先日書いた。

今夜はそのあとの件。

 

曇りガラスの向こうは風の街といわんばかりに急に冷え込んできた最近だが、

その日は鍋で胃袋をしっかりと温めて店をあとにした。

 

鍋はたっぷりと食えたが、アルコールがまだ足りていない。

質が良いだけに安い店ではなかったから、酒は控えめにしてそれぞれ2杯しか飲んでいない。

 

もう1軒だけ軽く呑める店にゆこう、という意見で友人と一致した。

 

めったにおりることのない両国駅なので、駅前や路地裏をフラフラと視察しながらさすらう。

友人が寺尾に入る前に散策してて良い感じの立ち飲みやがあったといったので、その方向へ

歩いてみる。

 

おお、たしかにあった。

THE・下町というような佇まいの店が。

 

実はオレも1時間ほど早めに両国についてちょっと歩いて回ってみたのだが、

ここは気づかなかった。

 

『TOKYO立呑倶楽部』

東京都墨田区両国3-42-2

 

 

個人的には隣りの建物の「餃子会館」というほうが気になったのだが、やってない様子(笑)

 

ちなみに「立呑」と書いて、「たちのみ」ではなく「リットン」と読ませる。

 

そして幕には自信にみちた感じで、

「ここが噂の東京立呑倶楽部」と書かれている。

 

そうか、ウワサだったのか。

 

なんとなく日曜日の昼間に微笑む森本毅郎の顔が浮かぶようなキャッチフレーズであると

同時に、いかにも常連さんの巣といったオーラがイチゲンさんを跳ね返すバリアになっている

雰囲気ではあるが、せっかくここまで来たので、ここは飲兵衛の常識・入って!TRY。

 

建物の一角だけあり、店内はいい意味でこじんまり。

短いカウンターに簡単な立ち飲みテーブルが2、3台。

 

先客はまだいなかったが、こういったお店がよく似合うママさんが愛想よく対応してくれて

「お好きなとこへどうぞ。そっちの台のほうがいいんじゃないですか」

とすすめてくれたので、店の角に位置する立ち呑み台へ陣取る。

 

 

 

まずは生で改めて乾杯。

350円。

 

 

注文はキャッシュオンデリバリー。

 

つまり注文の都度、代金を受け皿の中に置いて支払う。

 

この方式は財布の中身をどれくらいのペースで使っているかわかるから、オレのような

ビンボー人にはありがたい。

 

時間や財布の中身を気にせずに飲むのも楽しいは楽しいが、酒に酔った楽しさのあまり

惰性だけで追加注文するようになり、気づくと予想外の出費という経験がある人も少なくは

ないはずだ。

 

ちなみにキャバクラには自動延長制という料金システムがある。

 

店によって異なるが、1セット1時間がもうすぐ終わろうとしてても、ボーイが

「お客様、もうすぐ終了のお時間ですが、延長なされますか?お帰りになられますか?」

と、訊いてこず、客自信が時間になったら、チェックを店員に申し入れる制度である。

 

店側曰く、「お客さんが楽しんでいる時に水をさしたくなので」とのことだがそれはタテマエ。

こちらが時間を伝えてしまえば、それをキッカケに延長しないで帰ってしまうかもしれないが、

オンナのコと盛り上がらせれば、1時間終わるというタイミングも逃すし、楽しくなった

流れで「延長しちゃえ」と思う客の心理をうまくついた見事なシステムというのが事実である。

 

まあ、そんなどうでもいい雑談はさておき ←オマエが勝手に話しただけだろ。

 

時間が経つと、徐々に常連さんらしき人達が入店しはじめてきた。

 

両国のオジサンたちの夜はこれからはじまるのだろう。

 

 

カウンター隅に積まれているメニューの缶詰の素朴さもまた、角打ちみたいで素敵だ。

 

 

 

友人が立っている後ろの壁には深沢八郎原作の名作である「楢山節考」の演劇チラシがある。

ママさん、もしくはお店の人の知り合いが劇団員か主宰だったりするのだろうか。

 

 

楢山節考とは、わかりやすくいえば姥捨て山。

 

まだどちらも観ていないが、木下惠介と今村昌平の2監督によって映画化されている。

 

こういうチラシがあると、両国というよりも下北沢のちょっとはずれにある歴史ある酒場という

ような印象だ。

 

下のようなちょっぴりエロスなアート画もさりげなく飾ってある。

これが鉢巻き巻いたむさいオッサン店長の店とかだったら、なんとなくナマナマしいが、

この店のような味のある粋なママさんの店だと、逆にいい味を演出している。

アートではあるが、一応先端には軽く修正を施させていただいた(笑)

 

 

あっという間に1杯目を呑みほしたのいで、ドリンクを追加。

 

 

「クエン酸サワー」 350円

「ハイボール」   350円

 

 

こちらはだいたいのドリンクやフードが350円くらいだ。

 

ふたりで話していると、カウンターの中からなにやら美味そうな焼ける匂い。

 

隣りの客が頼んだものを焼いているようだった。

でてきたものを見て美味そうだったので、オレらも影響されて、最後にそれだけ食べて

店をあとにすることにした。

 

 

「鉄板焼鳥」 350円

 

 

 

 

あえて串に刺さず、、皿の上にでてくるのがこういう店では良い。

 

ちょっとした酒の肴にちょうどいい一品。

 

それぞれ350円のドリンク2杯。

そしてふたりで350円のフード一品。

 

ひとりあたり1000円いかない、ささやか幸せ時間だった。