伊豆のお虜(とりこ)② 登山電車の陽気館&潮騒のメモリー | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

続き。

 

蓮台寺の金谷旅館に泊まった翌日はそのまま帰宅せずに途中下車。

降りたった地は伊東。 ニンッ!

電線を見ても雀が三羽とまっていることはなかった。

 

……いや、このくだりはわかる人だけわかっていただければOK。

温泉めぐりに求めるのは「源泉温度」であり、「電線音頭」ではないからね ( ̄▽ ̄)

 

 

伊東駅前、懐かしい。

電車で通過は何度かしているけど、駅で降りたのは約20年ぶりだ。

 

前に降りたのは大学2年か3年の時の夏休み。

友人のバイト先の保養のホテル(今もある)があったから男3人でやってきて、駅前も散策したっけ。

当初はここで降りずにそのまま帰るつもりだったが、ここにもひとつ気になる温泉宿があったことと、

学生時代の懐かしさの確認もしたくて、立ち寄ることにした。

 

帰宅してからアルバムを引っ張り出してみたら、写ルンです♪で撮った当時の写真がでてきたので、

本題に突入する前にちょっくらメモリーを懐古。

 

上の1枚はその時泊まったホテルの部屋のベランダでのオレ。

タバコくわえてる。

まだ若かったから、くわえタバコで撮るのがカッコいいと思ってたんだろうな、きっと(恥)。

 

下の1枚で、左側にいる上半身裸の男は友人A。ボクシングやっているからマッチョだ。

右側にいるのはオレ。うーん、なんだろう?この意味不明のポーズは?

我ながら気持ち悪い(恥)

 

 

下の3枚。

一番上の写真は左側から順番に、今はもう決別したもうひとりの友人B、ホテル1階にあったバーの

マスター、そしてオレ。

 

下の2枚はその時同じバーに居合わせたオネエサマ方と、部屋でご一緒させていただいた

時の写真。

 

 

チェックインしたあと、3人でホテル内を歩いてみたら時にバーがあるのを発見して、

オレら3人ともお酒好きだったから夜に足をむけ、マスターと仲良くなった。

翌日チェックインの際、マスターが受付にいて、実はそのホテルの支配人だったことをしり

驚いたのをおぼえている。

 

別で宿泊していたオネエサマ方3人は他のテーブルで楽しんでいたんだけど、途中で言葉を

交わすようになり、決別した友人Bが「もし、よかったらこのあと部屋で一緒に呑みませんか?」

と声をかけたら、なんと本当に部屋にいらした。

 

それで部屋で6人で夜中まで呑んでたっけ。

(先に誓って書いておくが、いかがわしい過程や結末は一切ないので。だからこそ堂々と

こうやって書いている。画像加工だけはさせていただいているが)

 

オネエサマ方は東京の下町のほうから遊びにいらした仲良し3人組で当時34歳。

オレら3人はまだアホ丸出しの大学生で21、2歳くらいだった。

 

オレらから見れば、落ち着いたオトナの女性で、こういった旅先で同じ空間でただ一緒に

お話するという状況だけで、なんとなくドキドキであり、周囲の人間に自慢になるような時間だった。

 

部屋での飲み会がおひらきになったあと、3人で「明日の朝食の時もホテルの食堂で会えるかなあ」

なんて修学旅行の夜みたい会話をして眠った。

 

翌朝、朝食の時間、食堂にオネエサマ方の姿はなかった。

「オレらと会わないように、時間ずらしたのかもね」と、3人で話した。

 

翌朝酒が抜けた時には3人と冷静になっていた。

ひとまわりの年上の34歳のあのオネエサマ方から見れば、たかが二十歳そこそこのオトコである

オレらなんて、お子ちゃまでしかなかったんだろうなと冷静に考えることができた。

オトナの女性だけあって、本当は仲の良い3人だけで夜を楽しみたかったけど、せっかくの楽しい夜

だからということで、あの時間だけオレら3人に付き合ってくれたのかもしれない。

 

あれから、もう20年。

写真のオネエサマ方も今は54歳くらいだ。

そして、オレも今は当時のオネエサマ方の年齢をとっくに超えている。

 

あの時はまだ友人Bと楽しくやってたり、バーのマスターとも世代を超えて仲良くなったり、

オトナの女性のオネエサマ方にかまってもらったりと、まあいい経験と勉強にはなった。

 

そう思うと、やはりこの地をふたたび踏むのは実に感慨深いものだ。

 

さて、ではそろそろ本題に。

(最初にこういった個人的なことや、色恋沙汰をにおわすような内容を置いておけば、温泉にあまり

興味ない人や、「ケンのブログまた長そうだな」って読む気がなえてきているような人もとりあえず

記事に食いついただろうという、これまた一種の心理トラップ。掛かってくれたことを祈るw)

 

目的地の温泉は伊東駅から徒歩で10分くらい。

 

日帰り入浴は11時からなので、それまで駅周辺を散策して時間をプチプチ潰す。

 

お湯をかける神さまなどがところどころにあった。

ありがたみがありそうなので、一応お湯をかけさせていただいた。

 

 

 

歩いているうちに11時をいくらか過ぎてしまったが、温泉のある宿に到着。

 

伊豆・伊東温泉 『陽気館』

静岡県伊東市末広町2-24

HPはココ

 

 

 

この宿は山の斜面に面している。

それがミソなのである。

 

前記事の最後にもちらっと書いたとおり、ここにはホテル、旅館にしては大変珍しいアレが

あるのだ。

 

ここでもったいぶって‘アレ’とか書いたところで、記事タイトルに既に答えがあるけどね……

番組表の見出しに「アノ大物ゲストAが乱入!」とかシークレットめいた書き方しておきながら

そのすぐ下の出演者欄にはしっかり「和田アキ子」って名前が書いてあるようなものだ(-_-;)

 

受付にいって、日帰り入浴料1000円を先に払う。

それと氏名と電話番号だけを用紙に記入する。

これはあとになって忘れ物があった時にためだそうだ。

 

温かみのある女将さん?に案内され、廊下を歩いてゆく。

 

天井にはテレビでたまに観る看板が。

 

 

そうなのだ。

 

実はこの館内には山の上の温泉にゆくために、登山電車に乗るのである。

 

そして、その乗り口がなんと、屋外ではなくて館内、つまり廊下の奥にあるのだ。

 

旅番組ではたまに紹介されているが、オレはけっこう前からしっていた。

いや、オレじゃなくともしっている温泉ファンは多く、既に訪れていることと思われる。

 

オレは是非一度、これを経験したかったのだ。

 

ここが乗り場。

 

 

定員は6名。

登山電車というのは、いってみればプチケーブルカー。

実にユニークだ。

子供だけじゃなく、大人も喜ぶこと間違いなし。

 

ボタンを押すと、山頂から登山電車がゴトゴトと音を立てて、おりてきて、やがて扉が開いた。

 

ひとり乗り込んで②のボタンを押す。

 

ガタン!という無骨な音とともに、オレを乗せた登山電車は上へと動き出す。

 

上を見れば行き先が見える。

 

 

 

下の窓を見れば、宿の一階と伊東の街。

 

 

 

傾斜45度。

長さにして30メートルの旅。

 

まるで秘密基地にゆくような気分で、童心に帰れる空間だ。

 

なんというかな?

はなから、これをウリとして作ったのではなく、斜面に宿と温泉を作ってしまったけど、どうしようと

いうのが先にあって、そこから必死に考え出された乗り物というのが商業的ないやらしさがなくて

とても好感的だ。

 

 

稼働する時のガタン!っていう音もどこか危なっかしい響きだが、例えるなら地方で昔から

地元の人に愛されている小さな遊園地の乗り物が動く時の音みたいでなんだか愛しく耳に

聴こえてくる。

 

登山電車の全景は撮れないから、パンフから画像を拝借して下に掲載。

 

 

露天や客室のある離れの館に到着し、ドアが開くとそこは廊下。

 

 

すこし進むと左側に露天風呂の脱衣所の入り口がある。

その先へゆけば展望露天風呂。

 

こちらは脱衣所の中からの視点。

 

 

 

さっそく外へ出る。

 

洗い場などはこちらにはないので、かけ湯だけしてお湯に浸かる。

 

この日もまた気温が異常に高かったせいかもしれないが、お湯がやけに熱く感じて、

じっくりと浸かるにはきつかったので、でたりはいったり。

 

でも、高台だけあって、眺望と解放感はウワサ通りだ。

 

 

伊東の街並みと海が一望できる。

 

海のむこうには初島も望める。

 

ちょっと涼しい季節にじっくり浸かるには最高かと思える。

 

 

風呂を囲む空間も庭園のような造りで落ち着けて、なかなかのシチュエーション。

 

 

日帰りは1時間とのことだったが、さすがに気温が高かったので30分かそのくらいで退却。

できればもうちょっと景色を堪能したかったが残念。

 

でもいいお湯、いいロケーションだった。

登山鉄道に乗れたのもいい貴重な経験。

 

温泉をでたあとは、鈍行で東京へ戻った。

 

夕方に無事帰宅。

 

正直、旅の当初の第一希望は栃木の湯西川だったのだが、宿がとれなかったことと、

と天気予報で栃木は1日雨とのことで断念し、伊豆の旅にしたが、結果今回はこれで満足。

 

いい一泊旅行でリフレッシュできた。

 

今回のシリーズ『伊豆のお虜(とりこ)』は全2回と短かったけれど、お付き合いいただいた読者様には

大変感謝。