『レッド』 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

昔はテレビのニュースをつけるたび、腐るほど耳に入ってきた‘変造テレホンカード’と

いうワードも、ケータイ・スマホ文明になった途端、まったく聞かなくなってきた。

時代が流れるのは早い。

オレが生まれるちょっと前も生まれたあともいろんな事件があった。

 

少し前にBSで「連合赤軍・あさま山荘事件」の2時間特番を放送していたので観た。

その中であさま山荘事件をモチーフにした『レッド』という漫画が紹介されていたのだが

それまでそんな漫画があるとはまったく知らなかった。

 

そのすぐあと、偶然にもNHK Eテレの「浦沢直樹の漫勉」という漫画家の仕事風景を

取り上げる番組にて、その『レッド』の作者である山本直樹が登場していたのでそれも

観てみた。

 

事件当時オレはまだ生まれていなかったのだが、この事件にも関心があり、5年ほど前にも

簡単で薄い内容ではあるが記事をちょっと書いた。

【あさま山荘事件2.28】

 

2時間特番と漫勉を連続で観た結果、この『レッド』という作品も是非読んでみたいと

想い、古本屋を探し回ってとりあえず1巻だけ買ってみた。

 

 

 

画のタッチはオレの好きなタイプじゃないんだけれど、かといってこのテの漫画によく

ありがちな極端な劇画タッチでもなく、読みやすいのは良かった。

 

登場キャラも名前は漫画用につけられているが、ひとりひとり実在したメンバーをモデルに

配役されていて、そのキャラが辿る運命も現実になぞられている。

 

演出として面白いのは、コマの中において人物の画の上に①とか②とか⑭とか番号が

つけられている。

 

これは物語の進行の中で死んでゆく順番だという。

こういったサスペンスタッチの演出は嫌いじゃないし、実際の事件の流れをすべて理解

している人間はそれと比べながら読むと楽しめそうだ。

 

実はかなりの長期連載らしく、今の時点でもまだ実際の事件における佳境まで差し

掛かってないようで、かの山荘の銃撃戦のシーンまではまだ2年か3年かかりそうだとか

(笑)

 

これまでも多少は、あさま山荘関連の書籍を読んできたが、まだまだ理解していない

ところや知らないことが多く改めていくつか本を読んでみたくなったのだが、

2時間特番の中で元連合赤軍の植垣さんという人がインタビューを受けていたので

植垣さんの書いた本と、植垣さん含めた元連合赤軍メンバーのそれからのインタビューを

書いた本を図書館で借りて読んでみた。

 

ひとつはこれ。

 

 

 

総括(リンチ)による殺人罪に、爆弾製造や銀行強盗により、約27年間の服役を終えて

シャバに出た時まさに浦島太郎状態だったことから、当時の連合赤軍リーダーだった

永田・森のふたりのことまでいろいろ隠すことなく語っていた。

 

 

もうひとつはこの「アフター・ザ・レッド」

 

 

 

植垣さん含む他のメンバーのあれからのインタビュー。

 

メンバーだった当時はまだ高校生で、2時間特番にも登場していた加藤倫教さんの

インタビューが掲載されていた。

加藤さんは兄をあの凄惨な総括で殺されている。

社会に立ち向かったはずが身内に殺されて終わる。

これほど理不尽な結末はない。

 

と、本の話はいったんここで終わりにして、話を特番に戻す。

 

 

さきほど書いた元連合赤軍のメンバーの植垣さん。

 

事件当時は23歳で、山から降りていた時に軽井沢駅で逮捕された。

よって山荘における銃撃戦と鉄球の衝動は経験していないのだが、総括加担などの

殺人罪その他でずっと刑務所に入っていた。今はもう60代後半である。

 

だが、特番を観ていたら出所後は出身地である静岡に戻って、「スナックバロン」という

酒場を経営し、そこでオーナーとして店に立っているという。

 

そうか、店をやっていてそこにいるのか……

 

 

……

 

ウズウズ……

 

ウズウズ……

 

 

 

最近、この年になってオレの中でちょっと厄介なベクトルともいえる好奇心が育ってきて

しまいましてね、ええ。

 

勘のいい読者さんであれば、ここでオレが何を思っているかおわかりだと思う……

 

そう、

 

 

「行きたい…… (゚∀゚)」

 

いや~、でも静岡駅か。さすがにちょっと遠い。

 

とりあえず情報だけ検索してみようと思ってみたけど公式サイトなどは予想通りない。

 

食べログに店名が一応あったけど、開いてみたら、

「休業、閉店、移転、営業時間などの店舗情報が不明確なため、情報掲載を一度止めているところです」

みたいな表示が。

 

休業や移転をしているということではないらしい。

もしかしたらその可能性もあるし、その確認もできないから店名しか載せてないという

ことらしい。

 

オレが観た特番がBS十八番の再放送だとしたら、かなり前に収録していて、今はもう

店がないという可能性もあるのか。

 

店が確実にあって、ご本人が確実にいるならば、オレにとっては、はるばる静岡駅まで

ゆく価値はあるのだが、静岡までいって店がもう存在しなかったではシャレにならんから

これはなんともいえん。

 

でもご本人に逢えるのであればやはり行きたい。

行きたくてしょうがない。

 

本人が書いた本を拝読しても、お客さんに訊かれたらあの事件当時のことも普通に

話しますよみたいなこと書いていたし。

 

事件にかかわった人間として、実際にあったことを隠すことなくいろんな人に話すことが

大事であるし、またそういうことをお客さんと話すことができるから、自身も出所後に

人と再び話すことに慣れてきて、こうやって店をやることもできたとも書いていた。

 

いってみれば、そういう人とあっていろいろ教えてもらうっというのは

ちょっとヘビーでダークな「しくじり先生」の授業みたいなものである。

 

最近ふと気づいたことがある。

 

どんなに名のしれている識者や、尊敬できる教師などが「命の大切さ」「殺人のひどさ」

などを説いたとしても、それはあくまで第3者の教育する側の理論に過ぎないんじゃないかと。

 

言っていることが一般論として正解だとしても、言っている本人自身が過去に人を殺めて

しまったとか、自分の身内が殺められたとか、あるいは身内が誰かを殺してしまったという

わけではない。

 

あくまで国家試験に通過したり、論文を勉強した人間が、これまで習ってきた知識や

ディベート能力を活かして、性善説を説いているという現象に過ぎないとも思えてきたのだ。

 

不謹慎に聴こえるかもしれないが、やってきたことが正しいか間違っているかとか、

見習うか見習わないかは別として、人を殺したことのない識者の「人を殺してしまった

時はすごく後悔して罪の意識に苛まれますよ」といったセリフよりも、極限の場面で

周囲から圧力を受け仲間を殺してしまった人間の「あの時はそれどころじゃなかった

のもあるけど『ああ、殺しちゃった』くらいの感覚でしたね」というセリフのほうがよほど

大きなリアルを有しているんじゃないかと思う。

(植垣さんが上のようなことをいったわけじゃないけど、そういうメンバーもいたらしい)

 

世間的一般の正論とリアルは似ているようで違い、別のところに存在している。

 

百聞は一見にしかずではないが、経験したことのない人間の語る感動的な論よりも、

経験した人間の語る驚愕な価値観のほうが限りなくリアルに近い。

 

世の中を騒がした大きな事件や事柄に関わった人にたいして、核心にふれることを

訊ねるのは難しいかもしれないが、たとえ訊けなくとも近くにいるだけで、本人の肌から

漂ってくる本心や心情を感じることはできる。

 

人間の真実とは学校の先生の言葉や黒板上の洗脳ではなく、当事者自身が醸し出して

いる雰囲気にあるとオレは思う。

 

あの事件のことを訊けなくてもいい。

でももし逢えるのであれば、是非いつか植垣さんの店にいってみたいものだ。

まだお店があるならばという前提で(笑)

 

営業しているのかもわからないし、営業してたとしても静岡駅まではさすがに遠い。

 

だから今回ばかりはさすがに足を向けることはない、と思うが最近のオレには妙な

勢いがついてしまっているからそうなるかはわからない。

 

行かないと思うけど、一応最寄り駅から静岡駅までは鈍行で片道2600円くらいで

4時間はかからないということと、駅周辺の安いホテルはリサーチした(-_-)

 

いつか行くか行かないか?

 

正解はそれが記事になったかどうかということをもって発表にかえさせていただきます

(笑)

 

ほんとはね、植垣さん以前にフォーラムの場でもなんでもいいからK池Y合子都知事に

どこかで近づいて質問する機会とかないかと企みいろいろ検索してみたけどさすがに

無かった。当たり前だ(笑)

 

そのかわり、今日の朝日新聞見たら池上彰のフォーラムを4月22日に参加費無料で

開催するというので、参加希望のメールを送信しておいた。

定員300名なので応募者多数の場合は抽選。

 

締め切りは今月末なので、興味ある人は応募してみてはいかがだろうか。

詳細が掲載されたサイトはこちらよん♪

朝日新聞フォーラム・池上彰