他人の反応で改めて自分がどういう印象を持たれているのかというのに気づかされることは多い。
8月真っ只中にはテレビとかでもよく「夏フェス」の特集とかをやっていたが、どうやら
オレは「夏フェスとかには絶対に行かない人間」という印象を持たれていたらしいことが
かつての職場にいた時に判明した。
休日にとある職場連中の集まりに誘われたのだが、その際、
「その日はサマーソニックに行く予定だから悪いけど行けない」
と答えた。
すると数人から
「え! サマソニとか行くの!?」
「フェスとか興味あるの!?」
「どうして行くの!?」
「誰と行くの!?」
「好きな洋楽バンドなんているの!?」
と、矢継ぎばやに質問された。
サマソニのことを訊きたいというより、どう考えても「ケンと夏フェスのイメージが結びつかない」という心の声が聞こえてくるようだった。
まあ、気持ちはわからんでもない。
このコラムではたまにこうして洋楽ネタも書いたりしてはいるが、はっきりいってさほど
詳しくはない。
バンド名だって本家より先に「ジョジョの奇妙な冒険」に登場するスタンド名で知るという
情報の逆輸入みたいなパターンが多いのも事実。
またフジロックについての認識を7,8年前に確認された時に
「森川由加里とかカルロストシキ&オメガトライブとかが出ているライブでしょ?」
と答えたことから、ああコイツはフェスとか興味ないな、と思われていたんじゃないかな
「いつの時代の話だ!」と笑いながらつっこまれたし。
でも悪いけど生涯で一度だけフェスにいったことはあるんだ。サマーソニックに。
とはいってもご想像のとおり、自分の意思というよりも友人に誘われて。
特に興味あるアーティストがいたわけじゃなかったけど、一度くらい経験してみてもいいかなって思って幕張だっけ? いってきた。
あちこちの会場にステージがあるから当然すべてのアーティストを見られるわけじゃないので
記憶の限り、5組くらい見ただろうか。
最初にみた一組めがヴェロニカズという姉妹。
その次がファイブ・フィンガー・デスパンチ
そして、エンターシカリというバンドのふた組。
3組めは日本人。友人のお目当てだったマキシマム・ザ・ホルモン。
実はこの日、パフィーAMIYUMIも出演していたのだが人気がすごく会場が入場規制していて
見ることができなかった。
特に見たかったわけじゃないので別にいいけれど。
外国のバンドの人はみんなテンションが高かった。
1曲目が終わると決まって客席に向かって、「トーキョー!サイコー!!」とシャウト。
それに対して拳を高くあげ、「うぉーっ!」と答える観客。
心のなかでボソっと「千葉(幕張)ですけどね……」と呟くあまのじゃくなオレ。
そんなこんなでアツい時間を過ごし、暗くなりかけてきたころにそのサマソニのメインで
あるラストライブを見るために、マリンスタジアムへと向かった。
その時のサマソニの目玉アーティストがビヨンセだった。
例によってビヨンセのファンというわけじゃないが、知名度としてはやはり世界規模の
ディーバであることは認識していたので、せっかくだからこれは見てみたいと思ってはいた。
たくさんあるライブ会場のなかでも最大規模のマリンスタジアム。
ライブ開始前からビヨンセ目的のお客さんでスタンドはかなり埋まっている。
うちらのグループは空いている後ろのほうの席に横に並んですわり、ビヨンセの登場を待っていた。
開始時間まであと10分、あと5分、あと1分……と時間が経ち、予定の時間となったが
開演の気配ナシ。
これぞオオモノならではだ。なにかあっておしていると見た。
今でも鮮明に憶えているがこの時に地震があってスタジアム全体が微妙に揺れた。
前のシートに若い女の子数人のグループが座っていたのだが、地震直後にくるっと振り返り
今で言う横澤夏子が芸で見せるような表情でオレの顔を思いきりにらみつけてきやがった。
どうやら後ろの席に座っているオレが貧乏ゆすりをしたと思い込んでいたらしい。
あれは今思い出してもムカムカしてくる。
そんなトラブルありながら予定より10~20分ほど遅れて開演、そしてクレイジーインラブ
のイントロにのせて生ビヨンセが登場。
肉眼だとやはり小さくて顔まではわからない。
なんとなく黒いという程度の認識。
ビヨンセだといいながら実は葛城ユキが歌っていてもおそらくわからない。
でもその距離感もまた良かった。
ステージバックにはビジョンもあるから一応本人だというのか確認とれたし(笑)
特にファンじゃないとはいえ、やはり生のビヨンセを見て生の声を聴くとちょっと感動した。
ちなみにこの年のサマーソニック3日間。
一日ずつ別に有名人がオープニングイベントみたいなものに顔を出し、それぞれ
森田健作千葉県知事、渡辺直美、アントニオ猪木という顔ぶれだったのだが、この日は
意図してか渡辺直美だった。
そして会場到着時にそれも見ていた。
灼熱の太陽の下、ステージ上で激しくビヨンセを踊る渡辺直美。
あの体形は本当に面白い。
健康的だとか気持ち悪いとかじゃなく、まさに「面白い体形」。
踊り終えたあとは汗だくで息を切らし、ゼエゼエいいながらはけていった(笑)
和製ビヨンセではじまり本家ビヨンセで終わったオレの貴重な夏のサマソニの思い出は
以上。
追伸・今はもうほとんど聞かないがこのライブの余韻で翌日この曲が収録されたビヨンセの
アルバムも勢いで買ってしまった。
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