おもひでほろほろ②四万最奥の宿・中生館 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

はじめて四万温泉に行ってみようと思った数年前。

どんな宿があるのか下調べをした結果、泊まってみたい‘館’が3軒あった。


そのうち2軒は過去に宿泊したが、まだ一軒残っている宿があった。

今回泊まる宿はそこ。



前回紹介した御夢想の湯と日向見薬師堂のすぐ目の前にその宿はある。

四万温泉の最奥、静寂と川の流れる音に包まれて佇む隠れ宿……



『中生館』

群馬県吾妻郡中之条大字四万乙4374



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ずっと憧れていた四万温泉、第三の宿。


他の温泉マニアおよび温泉ブロガーさんの方々にかなりの遅れをとりながら念願の

訪問。やっと来ることができた。感激。


御夢想の湯で時間を潰し、15時にチェックイン。


建物の外観はかなり年季が入っているがフロントはとてもきれいだ。



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建物内に飲料自販機は置いてないので、お酒などはフロント横設置のボックスから買う


温泉宿のロビーでよく見かける憎めない昭和なチェアーと大時計が東京で固められた心も

ほぐしてくれる。



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この形態の大時計をみるたびに、つげ義春の「初茸がり」という漫画を思い出す。

寝ていたはずの子供の姿が見えなくなったら、大時計の下にある振り子のスペースに入って

すやすやねていたというシュールな漫画だった。



感じのよいご主人に案内されて部屋へ。

今回宿泊する部屋は「うぐいす」の間。


この中生館、なにげに部屋数が多いのだが偶然にもフロントでもらったパンフレットで

紹介されているのと同じ部屋だった。


なんか嬉しい(笑)



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フロントにおりて缶ビールを購入。


プハー!

やはりこの気温のなか歩いてきて、太陽に体中の水分を奪われたあとの一本は格別に

うまい。


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ちょっとゆっくりしたところで、他のお客さんがまだあまり来ていないうちにお風呂を頂きに

部屋をでる。


建物内には読書スペースや共用冷蔵庫など面白い空間がちらほら。


お風呂入り口近くにある流しもまさにオレが望んでいたレトロな流し。

熱海、長野に続いて、ここでもこのような流しに出逢えた。



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写真は撮らなかったが脱衣所の前には、てぬぐいが置かれてあり入浴する人はご自由に

とのこと。


こういった宿の人の配慮というのは実にありがたく、心にしみるものがある。



中に入ると棚にいくつかのプラかご。

身につけているものを脱いで、きれいにたたんでいれてから入浴。



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脱衣所に入ってすぐ右側にある戸を開けるとすぐに内湯。


「薬師の湯」


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先々代の手造りという味のある岩風呂。


浴槽は2つあり、温度はちょっと高めだ。

一面ガラス張りで、そとの渓流と緑が見渡せる。



そして、脱衣所の奥の扉を開くと、そこには露天風呂「月見の湯」がある。



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中央には岩があり、正面にはむき出しの大自然。


こちらも風情がとまらない。


それぞれの風呂には桶や腰掛が置かれているが、画像で黄色いのが確認できるように

ケロリン一色。

憎いくらいのレトロづくしである。



風呂というものは広ければ広いほどゆったりできるけど、そのぶん風情は多少削られていって

しまう。(草津の賽の河原風呂みたいに)


人があまりこない日や時間に、外の空気にふれながらこじんまりとした風呂にじっくり浸かる。


これがオレにとっての至福といえるかな。



③に続く。