何事にもやはり下調べというのは大事だ。
前にも記事で書いたが、まず一歩動くということよりもまずは下調べだ。
どんなに行動力があっても、センスがあっても、根気があってもまずはよく考えて
じっくりと下調べしてから行動に移さないとほんとうに無駄な期待と無駄な時間と無駄な
出費に見舞われることになる。
たとえば特許商品を企画した場合。
本当に長い時間かけて自分のセンスとひらめきだけで考え出した商品で、事実大ヒットの
価値があるような商品だとしても、自分より先にそれを考えて申請して、特許取得を済まして
いる人がいたら、その成果はまったく意味をなさない。
かつて放送されていた「タモリのボキャブラ天国」という番組がある。
番組名や形態を微妙に変化させて長年続いたが、もともと30分番組だった時は芸人のネタ
披露ではなく視聴者投稿ネタだった。
一回のオンエアで、その回にもっともウケた作品には賞金8万円が贈呈される。
当時、元ハガキ職人の名にかけて、本気でその8万円と頂戴しようと時間さあればいっつも
ボキャブラに出すネタを考えていた。
ネタを考えるためには、まず元ネタとなる言葉や歌を探さないといけない。
それでオレが使ったのが部屋にあった「うたの世界」という分厚い本だった。
懐かしの演歌から、つい最近のロック、知っている人いるかわからないがオヨネーズとかの歌など、たくさんの歌が掲載されている歌の本だった。
カラオケで歌えるレパートリーが絶えないよう、継ぎ足しとして購入した本である。
ヒマさえあれば、部屋でその本をペラペラめくっていろんな名曲の歌詞を改めて目でなぞり
なにかいいダジャレに変換できそうな歌詞はないかと頭を悩ませていた。
試行錯誤のすえ、いくつかのボキャブラが思いついた。
いくつか思いついたなかで、自分でも「これはイケるんじゃないか!?」と思ったネタが
森進一の「冬のリヴィエラ」のボキャブラで、
『フグの右えら』
そう、あの魚のフグ。単純にそのフグの右側のえらのことである。
短い言葉の中でもコンパクトにうまくまとまっていて、そのくだらなさが面白いかなと。
翌日、郵便局に行って投稿用の50円ハガキ(当時)を数枚かいだめに、その中の一枚に
すぐさまそのネタを書いた。鉄は熱いうちに打てというように、ネタは新鮮なうちに出せ
というのがオレの信念だった。
官製ハガキを裏にして、真っ白な面にペン先を走らせて
『冬のリヴィエラ』→『フグの右えら』
と書いた。
ご丁寧に簡単なフグのイラストまで描き加えて、えらに部分に矢印で「ココ!」とまで示す。
自信満々でそのまた翌日ポストへ投函。
あとは採用されるかどうかを待つのみ。
自信作だけあって、放送日のたびに採用されるかどうかを楽しみにして観ていたが待てど
暮せど、オレの投稿したネタは電波で流れてこない。
少し経ったころ「もうこれはボツだったんだな」とあきらめた。
それからさらに少し経過したころ、タモリのボキャブラ天国において放送一回目から現在までの名作選を流す放送回があった。
オレがボキャブラ天国を見始めたのは放送開始から数か月だったころからで、最初のほうは観て
いない。
だから、まだ観ていないネタとかも楽しめるのではないかと思ってテレビの前であぐらをかいて
画面をみていた。
過去に放送された名作選を集めて再び紹介する企画なので、ネタが始まるたびに画面に上に
19○○年○月○日放送
○○市 ×田×夫さん(18) の作品
といったような紹介が出て、その直後にネタが流れるのだが……
オレがまだボキャブラ天国を観始める前の日に放映された作品紹介があった直後に流れたのが
『フ~グの~ 右~えら~~♪』
というネタだった。
しかも会場バカうけ。
そうなのだ……
自信満々で投稿していたにもかかわらず、そのネタはとっくの昔に別の人が既に考えて
投稿し、さらに採用までされていたのだ……。オレが番組を観始める前に。
そんなこともつゆ知らず、オレは「これは面白いんじゃないか!」とひとりウキウキし、
50円だしてハガキまで買いにゆき、文字だけでなくイラストまで描いて投稿し、決して採用されることのないネタが電波から流れてくる日を心待ちにしていたのだ。お恥ずかしい。
何が恥ずかしいって、オレのハガキが届いた時にそれを観た番組スタッフが
「バカだな、こいつ!このネタもう採用されてるのに!」
と思ったんだじゃないかと思うと恥ずかしくてタマラン。
そういう実体験を踏まえたうえでみなさん! 行動力よりもまずは下調べをするべきである。
先日、NACK5から、この「冬のリヴィエラ」が流れてきたのでそんなことを思いだした。
森進一はとくに好きでも嫌いでもないし、「おふくろさん」もそんな興味ないんだけれど
この「冬のリヴィエラ」はなんか好きだなあ。
子供のころからいろんなところで聞いていたし、小学生の耳にも印象が残るようなムーディさ。
オレの世代からしても、時代を超えて継がれてゆく名曲だと思う。
だけど、先日ラジオから流れてきたのは声は森進一っぽくなかった気もする。
だれかがカヴァーしたのかな?
大学生の頃は二部の講義が終わって21時過ぎくらいから国分寺駅前の白木屋とかによく
呑みにいっていた。
日付が変わって終電なくなったメンバーとかのために呑んだあとは近所にある汚くて安い
カラオケボックスに避難した。
だいたいが始発まで時間を潰すためのオールナイトパックだった。
5時間くらい歌い続けるから明け方くらいには歌うレパートリーもなくなり喉もガラガラ。
そんな時、「喉がこんな状態で森進一を歌ったら、めちゃくちゃ似ているんじゃないか?」
ということを友人たちと話して試しにオレが歌ってみたら、我ながら想像をはるかに下回る
クオリティだった(爆)
ただ声がしわがれていれば森進一に近づけるというような甘い領域ではなかったようだ。
しかし、さっきも書いた通りこの歌は好きなんだけれど実はいまだにリヴィエラっていうのが
なんだか知らない。
調べればすぐにわかると思うんだけれど、調べたところで「なんだ、そんなことか」で終わりそうだから特に調べるつもりもない。
言葉の響きだけ聞くと、なんとなくオリックスや楽天にいそうな助っ人の名前っぽい。リヴィエラって。
契約金8000万。メジャー成績2割4分あたり。
デッドボールですぐ怒る。
そんな感じ(笑)