殺したいほど好き | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

どっかの教授が異性の教え子に、司法試験の問題を教えるといった漏えい事件が

発覚したようだ。けしからん。


教え子と先生という垣根を越えた特別な感情が教授のほうにはあったのだろうか。


詳しい心境は本人じゃないとわからないが、聞いた限りの情報で

その「好きレベル」を判断すると、「助けてあげたくなるくらい好き」のレベルに該当する

ようだ。


恋愛感情における「好き」には、このように何段階かのレベルがあると思う。

名前も知らないし付き合いたいとまでは思わないけどなんとなく好き、というレベルから

結婚したいくらい好き、というレベルまで。


世間でも草食肉食だとかいまだに騒いでいるし、恋人がいなくて構わないという男女が

増えているのは問題だとか提起したり、啓発的なドラマやニュースでは「もっと恋愛を

しよう!」とかやけにあおったりしている。


だけど、ふに落ちないことが一点。


誰かを思い切り好きになろう! 恋をしよう! とかいった類のメッセージが氾濫しているわりには

恋をしている人や、片想いの相手がいる人から、「殺したいほど、(意中の人が)好きです」

といった声が聞こえてくることがない。


ずっと前から思っていたのだが、誰かを「殺したいくらい好き」だという恋愛感情をもったことの

ある人って、意外と少ないのだろうか。それとも、ヤバいヤツだと思われたくないから黙っている

だけなのだろうか。


決してヤバくはない。

マジでヤバいのは「本当に殺しちゃったヤツ」である。たまに報道で見かけたりする。


殴りたいくらいムカつく、と言っても本当にそのムカつく人間を殴るヤツはいないだろう。

吐きたくなるくらい気持ち悪い喋り方をするヤツと言っても、聞いたところで実際に嘔吐する

ヤツはいないだろう。


それと同じ。 単純なレベルの比喩だ。

あくまで、殺したい‘くらい’好きという言いまわし。


今まで自分とは釣り合わない高嶺の花的な人に惚れて、叶わぬ片想いに落ちてしまった人や、テレビで見るアイドルや役者に対して一定レベルを越えたファンになってしまった人は、けっこう、この「殺したいくらい好き」という感情をもったことがあるのではないかと思っていた。


こうやって話をすすめると、オレが誰かを殺したくなるくらい好きになったことがあるような

暗いヤツなんじゃないかと思う人がいるかもしれないが、安心してください。履いてま……

じゃなくて、そういうわけでもない。


でも、その感情の3歩手前くらいではあったかもしれない。

「殺したい」とまでは思わなかったが、「いっそ、消えてほしい」と思ったことはある。


プチ白状すると、ずっと昔とあるアイドル(今は女優?)の熱心なファンになったことがある。

とりあえず名前は出せないのでイニシャルでMとしておく。

いやいや、若気のいたりだったのでキモいと思わずに、これからの告白を聞いて頂きたい

のだが(爆)


出てきた当時はあまりかわいいとは思わず、まったく興味なかったのだが出していた曲は

いいのがあったので本人が売れてから少し経ったあとになんとなくアルバムを買ってしまった。

そのアルバムのライナーノートが「罠」だった。

歌詞と同時にフォトブックのようにもなっていたので、歌詞と並べてみているうちに感情移入

されてきてしまった。

ヴィーナスよろしく、キッスは目にしなかったが罠・罠・罠には落ちそうどころか見事に

スポっと落ちた(爆)


多少は理解できる人もいると思うが、テレビの世界の異性に対して、わずかでも恋愛感情を

持ってしまった人間は、この「殺したいくらい好き」という路線の出発点に入ってしまったと

捉えてよいかもしれない。


明らかに付き合えないし、付き合うどころか普通に知り合いにもなれない世界の人間相手

だからどうにもならないのだ。


どうしようもないのだ。

途中で熱狂的ファンをやめない限りは、いつかそのアイドルか役者が同じ世界の異性か

業界人にとられるのを待つしかない。

ファンを続けるのは自由だが最終地点に希望はなく、あるのは誰かのモノになったという

絶望のみ。


中には「石野真子をオレのモノにする!」と言いデビューして、有言実行した長渕のような

ツワモノもいるが、それは特例 (最後は離婚したけど)


普通のファンだったら、好きな芸能人がドラマとかに立て続けに出演するようになったら

それだけ姿を見られて嬉しいと思うだろうけど、オレはちょっと違った。


好きな異性の芸能人に対してはあまりテレビに出演して欲しくなかった。

とくにドラマには。特にトレンディドラマや恋愛ドラマ。


そういう収録があればあるほど、同年代の異性共演者と親しくなって付き合う流れに

なってしまうんじゃないかと心配な部分があったのだ。

だから、あまりドラマとかには出てほしくなかった。

出ることがわかったら、誰が共演なのかが気になったりした。


ガチガチな若者同志の恋愛ドラマで、共演者が自分の好きな芸能人と同じ年くらいの

2枚目俳優とかならば気が気でない(笑)

逆に親子のコメディドラマで、共演者がベテラン俳優や大御所とかだったらそこにジェラシーは

なく、安心する。

「よかった。今回はいしだ壱成じゃなくて中井貴一だ……ほっ」とか言ったように。

やべ……Mが誰だかバレるではないか(._.)


あまりにも露出し過ぎて、他の役者と仲良くしたり、恋愛報道が流れたりすると

なんだか落ち着かなかったり。


その人の存在があることによって、自分が落ち着けなかったりすると、こんなに苦しむくらい

なら、いっそ彼女にはいなくなってもらいたい、とか思ったりする。

これは対象がテレビの中の人物でなくとも、さきほどいったような高嶺の花相手の叶わぬ

恋をした人でも抱くことはあると思う。


これはオレの想像。

そういう人間は、その対象が自分のモノにならないことは自覚している。

釣り合わないこともわかっている。

だから、決して自分だけのモノにしたいとまでは思っていないのだ。

だけど、他の誰かのモノになるのは許せない。


石川さゆりの「天城越え」の歌詞に

‘誰かにとられるくらいなら、あなたを殺していいですか’

というのがあるが、まさソレ!


好きだけど自分のモノにならなくてもかまわない。だけど誰かのモノになってしまうくらい

なら「殺したい」という心境。


ドラマとかの演出ではよく、殺してしまえば自分だけのものになる、と表現されることが多いが

それとは別に、想いを焦がれるその存在対象がなくなれば、自分はもう悩んだり嫉妬したりする

ことがなくなり、片想いという枷が外れて身軽になれるといったエゴも根底にあるのは認めなければならないところだろう。


あと、その好きな芸能人が結婚する事となった時、それが思い切り自分より年上だったり

あるいは思い切りブサイクだったらなんとなく納得出来たり。


なんなんだろ? この感覚。


男女間の恋愛感覚とはちょっと違うけど、オレが小学校のころ、西武ファン同志の間で

長島茂雄の息子・カズシゲがプロ野球入りするというニュースが話題になった。


ミスターの息子だけあって野球もすごいだろうから、ぜひ西武に来てほしい。

そう思った。

でも、同時に12も球団があるなかで、西武が獲得できるかわからないし、指名したとして

交渉権を得たとしてもカズシゲがOKするかわからないと言うシビアな現実も子供ながらに

理解していた。


カズシゲの父上が巨人出身だというにはわかっているが、アンチ巨人のオレと友人は

「最悪、西武に入団しなくてもいいけど、巨人にだけは行ってほしくないよね。巨人に

入るくらいなら、阪神とか太洋(当時弱小だった)に入ってもらいたい」

と語り合ったような気がする。


それに近い感覚だと思う。

ちなみにあとになって、カズシゲが西武に来ないでよかったと思った(笑)



こういった感覚を持っていたのってオレだけなのかな?


でも本当に、殺したい‘くらい’のだったらそれこそ純愛の極みじゃないかなってオレは思う。

一途だし。

ただ、殺したいくらいまで思ってしまう人って、やっぱりどこか消極的で自分から告白とか出来ない

人ばかりなんだろうね。自分から積極的に異性にアタックしてゆく人は、あまりそういう感情を

持たないのかもしれない。

どんどんアタックして、フラれたらまた次の恋へとすぐ切り替える。

世の中そんな恋器用な人間ばかりじゃない。


‘殺したいくらいを’超越して行き過ぎると、刃物を持ってステージに上がり、そこで歌っているアイドルに向かって突進し切りつけるようなホンモノの殺人に走ってしまう人間もいる。

‘殺したいくらい’じゃなくて、もう完全に理性の安全装置が壊れて純粋に‘殺したい’に

なって行動に移してしまう輩。それはダメ。

松田聖子だっけ? ステージで襲われたの。 他にも数人被害にあったアイドルとかいた。



最近は男女間のそういった事件や、ストーカー事件も目立ってきた。


重要なのは、人をどれだけ好きになれるかではなくて、どういうふうに好きになるかではないかなと考えることがある。


殺したいほど誰かを好きになったことはありますか?


それはそれだけ真剣で一途だということで決して異常ではないと思います。

でも本当に殺したり監禁したりするのは異常です。


みなさん、恋は慎重に―― 




うーん……じゃじゃ馬ならし。


だから、Mが誰だかバレるではないかって!

(今はまったく興味アリマセン、念のため)