責任のなすり合いと、スポーツにおける球技はなんとなく似ている。
球技はバレーボールにしても卓球にしても、自分の陣地にボールがあったらいけないのだ。
ボールが来た場合、とになくそれを相手の陣地へと跳ねかえして、ボールの所在を相手の陣地
にて終了させないといけいのだ。
オリンピックがまだ始まってないのに、現段階で政府やナントカ委員や、デザイナーや都知事
とかが自分のところに回ってきた「責任」というボールを必死に打ち返しては他人の陣地へと
回している(笑)
もんのすごく、みっともないのだが、ある意味では見ている人間の興味を引くような勝負事を
やってくれているという捉え方も出来る。
てか、予算だとか建設期間だとかいう以前に五輪やらなくていいんじゃないかって
個人的には思うんだけど、そうもいかないんだろうな。
五輪とか、それを取り巻く組織の知識とかあまりないから専門的なことはわからんけど
とりあえず、一時的なハコモノにこれ以上血税注ぐなよな。
この新国立の問題は抜きにしても、日本人ておカネに敏感なわりにはその使い方が
どこかズレている部分が多いと感じることがある。
これは何年か前に短期間働いていた会社での話だが、自分が入社した頃とほぼ同時に
いわゆる「相談役」という立場のオジイサンが週に数回ほど出社してくることになった。
それは社長が朝礼で説明していた。
社長曰く、社内により緊張感を持つためと、社員にアドバイスなどしてもらうためだとのこと。
(社長入れて社員が7,8人のみの小さい会社なのに、回転が激しくたった2年で社員が30数人から一気にそれだけになり、オレの前後の人もすぐに辞めていった。いわゆるブラック)
その会社は月曜から金曜で朝9時半から18時半が定時と言う会社だった。
社長から相談役を任命されたそのオジイサンは、朝11時くらいに来て社長席の隣にある
自分の席に座ったら、まず新聞を広げる。
新聞を読み始めて少し経ったら、自分の席で必死に書類をまとめている若い社員を呼ぶ。
「○○くん、悪いけど、ちょっと僕にコーヒー入れてくれないか」と言い、
仕事を中断させてコーヒーを入れさせる。
その後、自分の席に座ったまま社員ひとりひとりに向かって調子を聞いたり労いの言葉を
かけたりは多少する。
「ちょっと食事行ってくるわ」と言って正午前に外に出てゆく。
正午になってこちらも食事に外に出て、13時前にオフィスに戻って仕事を再開する。
14時くらいになると相談役のオジイチャンが戻ってくる。
席に座ると、引き出しからカバーのかかった小説を取りだして開き、しばらく読む。
ある程度読んだら、また若い社員などに声をかける。
15時半……早い時には14時半くらいに
「ちょっと疲れてきたから今日はこれで帰らせてもらうよ」
と言ってオフィスを出る。
オレらは自分の机で資料整理終われながら、「お疲れさまでした!」と言って
そんな相談役の後ろ姿を見送る……
そんな日があった。
あの会社はたぶん今でもそうだと思う。
こういった体制をとっている会社は他にもけっこうあると思うが、皆さまはどうお思いだろうか。
あまりカネの問題みたいな捉え方はしたくないが、この相談役はこれで社長から幾ら支給されているのだろうか。
出社は週に3日か2日だ。
オフィスにいる実際の時間はほんの3、4時間だ。
いくら、高齢で‘過去’に実績がある人間だからと言って、朝から来て残業して働いている
社員と同じか、あるいはそれ以上の額を支払っているわけではないだろうな、おい。
オレはこういった相談役が金銭を搾取している状態を、ある意味で「静かなる老害」だと
捉えている。
順序が逆になったが、ひとつだけ言っておくと、上にあげた相談役のオジイチャンは決して
悪い人ではなかったし、キライでもなかった。どちらかというとイイ人だとは思っている。
ただその待遇には明らかな疑問符がつく。
老害と書いてしまったが、厳密に言えば問題なのはそういう相談役のオジイチャンではなくて
そういう体制を考えて相談役にそれなりのおカネを払うことを考えた社長サイドになるのも事実。
最低限、年寄りはいたわらないといけないと思う。
だけど、いたわることと差別的な優遇を混同してはいけない。
相談役を雇う社長も社長で、会社の売上が芳しくないから社員のみんなにはあまり良い待遇出来ないとか言っておきながら、何故か相談役に回すカネはある。これぞホコタテ。
出社することでおカネを貰うなら、せめて仕事はしてほしい。
若い社員の見本となるためにも。
もちろん高齢でかつての功労者であるわけだから、他の現役社員みたいに時間通りに出勤しろ
とか、アホみたいにアポ電かけろとか、いつも何か作業をしろとまでは言わないが、せめて
社員が集めてきた資料にずっと目を通すとかいうような席に座ったままのすごく簡単な確認
作業くらいはしてもらいたい。
それも出来ないのであれば、ホントにホントの最低限……
せめて、他の社員がいる手前、仕事をしている‘フリ’くらいはしてほしい。
それが最低限の礼儀だ。
いくら、かつてすごかった偉い人とはいえ、仕事場にきて、他の社員が真剣に仕事をしている
環境の中でどうどうと重役椅子に座り背もたれに寄りかかって仕事と関係ない小説を熟読し
たまーに社員に励ましの声かけたり助言だけしたら「疲れたから帰る」では、帰って社員の士気が
下がるのではないかと言うことと、まだ学校でたばかりの新入社員がそんな相談役の姿を見たら
「頑張って偉くなったら、仕事しないで本読んでコーヒーだけ飲んで、好きな時に帰れるような
立場になれるんだ」と勘違いしてしまうのではないだろうか。
そういうような相談役を雇って払うカネほどムダなものはない。
だったら、まだ必死に動いた社員に、そのぶん金一封だしてあげたほうが士気もあがるだろう。
とはいえ、存在するすべての相談役がそうやっているわけではないというのも理解できる。
記事タイトルを改めようか。
「助言するだけでまったく働かずに報酬を貰う相談役なんていらない」