「闇市」とか「遊郭」とか「花街」とか、現代である今だからこそ、昔日本に点在した味のある文化と
してお堅い教養番組やお散歩番組とかでも取り上げられているけど、それこそ当時はいわゆる
「イカガワシイ場所」みたいな目で見られて、日常会話とかで話すことを憚られてたんじゃないかなと思う。
当時を生きてたワケじゃないから知らんけど、ただなんとなく。
そんなアングラな存在だった「戦後闇市」のDNAともいえる雰囲気を土壌とその一帯に浸み込ませたまま今も人々が夜な夜な集まるエリアが「新宿思い出横丁」、通称「小便横丁」
例によって少し前の週末だが、友人とフラリと立ち寄ってきた。もちろん初めてではないが。
入口が何とも、闇イチってる。
この入口が小奇麗だったり、幅が広かったりしたらダメなんだよな。
狭い中にはたくさんの飲食店がひしめきあい、どの店もカウンターは満席だ。
ん? 顏正面は写っていないから修正は入れなかったけど、画面右下に後頭部だけ
写ってしまったオジサンは月亭可朝師匠かな? ♪ボインわぁ~……(省略)
もう、辺り一帯が時を遡っておる。
あ、ちなみに「昔っぽい場所」というだけで、以前の「孫の湯」並べて記事タイトルに
ALWAYSとつけて、その②と記したけど、今回はロケ地でもなんでもない。
単なるレトロつながりというダケ。
そんな「思い出横丁」の中を歩き、到着したのは
『ラーメン若月』
東京都新宿区西新宿1-2-7
詳しくはココ 。
ブログ開始するずっと前に2回ほど訪問したことはあるので、実質3回目。
友人の希望による訪問であるが、オレも久々また行ってみたいと思っていたので
意見が一致した。
横丁の中に佇む狭い店構えがタマラン。
店の中はカウンターのみ。オバチャンとオジチャンが二人で切り盛りしている。
壁にはシブいメニュー表示。
これぞザ・昭和
以前と同じく頼んだメニューは手堅く「ラーメン」。
待っている間、カウンターの向こうに見える太めの「やきそば」もとても美味そう。
オレはまだ食べたことがないが実はこの「やきそば」もここの名物メニューなのだ。
今度試してみたい。
ちなみに「やきぞば」とか「ホルモン」ていうのは闇市が発祥だと聞いたことがある。
待つこと少し。
「ラーメン」登場。 480円
昔は400円か、それとちょっとだった気がしたが、増税の波はこの狭い思い出横丁の中に
まで流れ込んできたようで切ない。
よい意味で価格もビジュアルもいかにも「昔ながら」といったところである。
ちょっとピロピロとした麺も、この場所この店だからこその自家製麺というのが伝わってくる。
低価格だがスープはしっかりと出汁がとってあり、細かく切られたメンマのほか
ノリとチャーシューが添えられている。
この飽食時代、グルメ狂時代の中で、このシンプルなラーメンをかっ喰らうというのがまた
「昭和を食べている」ようでのノスタルジックな気分になれる。
このごちゃごちゃした場所、このシンプルな麺にして、ラーメン評論家の石神秀幸氏は
「若月」のラーメンを評価していた。
別に評論家が言っているからとか、誰が言ってたからというわけじゃないが
石神氏は飲食店の料理において大事なのは「店の歴史」「おやじさんの人柄」でもなければ
当然「おふくろの味」でもない。
「美味い」か「不味いか」だけだ。
とシビアでありながらも当然といえば当然のことを語っていた気がする。
そんな厳しい石神氏が、この狭い横丁の中で食べる1杯のラーメンを認めたということは
やはり「若月」のラーメンはタダモノではないのかもしれない。
ラーメンはやはりオールシーズンで美味いのだが、ここ最近の殺人猛暑はラーメン好きには
ちとネックだのう。