山口県光市母子殺害事件 | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

99年に起きたおぞましいこの事件。

先日、差し戻し上告審弁論があったとのこと。

弁護人は「殺意はなかった。反省を深めており立ち直りは可能」とのべて死刑回避を主張・・・。


この事件も前からいつか書こうと思ってたが、ちょうどニュースで審弁論のことをやってたから

ちょっと語ってみる。


事件に関して発生後、数冊の参考文献やルポが発行されてたので数冊買って読んでいて

今、部屋にもある。ひとつの視点からの情報を鵜呑みにするのはキケンなので、

「被害者」「加害者側」「取材記者」のあらゆる方向からの文献を読んだ。


一番詳細が分かりやすくリアルだった文献はコレ。(他の事件ルポも収録)

少年に奪われた人生―犯罪被害者遺族の闘い/藤井 誠二
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一度テレビの報道で聞いた情報ではあるかもしれないが取材により更に細かく事件概要に

触れている。犯行状況などは生々しい・・・。


加害者である(元)少年は本村洋さんの妻を殺した後、まだ幼い娘にも手を掛けた。

マスコミ報道では簡単に伝えられたが、この本によると殺された娘の夕夏ちゃんは何度も

倒れて息絶えた母親のところに泣きながらハイハイして寄っていったとのこと。

まだ生後11カ月とはいえ、いつも近くにいて抱いてくれてる母親の存在と、その母親が

何者かに襲われて倒れているという状況は本能的になんとなく理解出来たんであろう。


少年に殺され倒れる母親のところに泣いて寄ってゆく娘・夕夏ちゃんをうるさく思った

加害者少年はその娘を持ちあげ、床に叩きつけた・・・。

それでも夕夏ちゃんは母親のところに再び必死で寄っていったのだ。

1度叩きつけられただけでもとんでもない衝撃なのに。わずか11か月の子が・・。


それを見た加害者少年は娘・夕夏ちゃんを再び持ちあげトドメとばかりにまた叩きつける・・・

もう、ここまでで詳細を読むのが辛い・・・。

少年はこの非道を行ったあとカネを奪いゲームセンターで普通に遊んでいたのだ。


どういう神経と心を持っていたらこのような酷いことが出来るのか全く理解できず

怒りしか沸いてこない。

だが、この悪事を行ったモノは「架空の世界の悪魔」や「野生の猛獣」でもなく

我々と同じ人間なのだ。このことはしっかりと認めて考えなければならない。

誰が何処でこういう人物になるか、また遭遇するかわからんのだ。


そして被害者家族の本村洋さん。この人、強いですね。

世間の中にはメディアに出て感情的にアピールし過ぎと言う人もいる。

たしかに感情的には映る。

でも、考えてみるといい。

身内を2,3人殺されて冷静沈着でいられる人間なんているかどうか。

過激に聞こえる本村さんの発言も決して間違っていることは言っていない。

幾ら払ってくれとか謝罪してくれなんて言ってないんです。死んでくれと言ってるんです」

「死刑に出来ないなら今すぐ少年を釈放してくれ。私がこの手で殺す」


これらの発言を批判する輩もいるが、被害者感情としては最も正常な感情ではないだろうか。


基本オレは「死刑賛成派」だ。

よく「生きて償うべきだ」とか「死ぬよりもずっと重労働するほうが辛い罰だ」という人もいるが

それは『第三者意見』だろう。

そういう人は果たして自分の身内が同じ酷い目にあってもそういうふうに言えるのだろうか。


未成年に関しては「更生の機会・可能性」というが、更生出来る出来ないに関係なく

欲望で無関係・無実の人を殺してる人間に「更生の機会」を与えるというのが矛盾ではないだろうか。


殺された方の立場はどうなる?

「やり直し」「生き返り」も出来ず、人生が終わらされてるんだぞ。


仮に加害者側が更生出来たとしても、それは国のカネで食事も与えられて、社会復帰した時に

向けての勉強もさせてもらえて、世間に出たら書類上は過去も名前も変えうまくゆけば幸せな

生活を送れるわけだ。

過去の記事でも一度書いたが、いじめ関係で同級生を刺殺した中学生が少年院から出たあと

弁護士になり過去を隠して「正義」を語って襤褸儲けしてるという例もある。


本村さんは事件後、最初のほうに相談した弁護士とモメたそうだ。

弁護士が「私は死刑反対だ」と言ったらしい。

刑法にあるものを何故否定するのかと疑問を持ったようだ。


弁護士というのもなかなか難しい業種である。

けっして「正しいほうの味方」というワケではない。

「雇われたほうの味方」なのだ。


だからあの事件に関しての加害者少年側の弁護士に関しては、引き受けたことに関して

オレは「商売」ととってしまう。

懲戒請求をした橋下徹弁護士(当時)には賛成であった。


だって、どこに弁護する余地がある?


ちなみに本村さんによると最初のほうの裁判で「無期判決」が出たときに

相手側の弁護士が小さくガッツポーズをしたということだ・・・絶句。


本の中には他の事件での被害者家族のコメントも多く載っている。

その中に

「加害者が、もうこの世にいないというだけで少し前向きになれる」

というのがあった。

被害者家族だからこそわかる感情かもしれない。


光市の事件に関して元少年が死刑になったとしても本村さんがずっと辛い思いを

引きずっていくことになる。


妻に関しては本村さんが帰宅時に押入れの中に押し込まれていたのを発見したが

その時は娘は発見できなかった。押入れの上にある天袋の中の遺体が発見されたのは

日付が変わった翌日に警察によってである・・・。

自分の手で発見してあげれなかったこと、そして1日も気づかなかったことを今でも

娘に申し訳なく思ってるという。


他の事件においても被害者家族は加害者だけでなく、法律やメディアとも闘うことになり

加害者は未成年であれば名前も公表されず守られる・・・。


法律が人間を守ってるんじゃなくて、

法律のために人間が人間を傷つけてるという気がしてならない。



上で紹介した本のあとがきにはこう締めてある。


「真実に近づきたいという被害者家族として当り前の行為がこれほどまでに阻害される日本という

国はあきらかな三流国である (中略) 司法や心ない人々から二次被害や三次被害を受ける。

国のシステムが三流なら民度も三流である」


と。