石持浅海のミステリー | 昭和80年代クロニクル

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古き良き昭和が続いてれば現在(ブログ開始当時)80年代。昭和テイストが地味に放つサブカル、ラーメン、温泉、事件その他日々の出来事を綴るE級ジャーナルブログ。表現ミリシアの厭世エンタ-テイメント少数派主義ロスジェネ随筆集。

今日はずっと書類作成・・・。

なんで あまり動いてない。

というわけで、また先日読み終えた本のレビュー。


石持浅海 『心臓と左手』

心臓と左手―座間味くんの推理 (光文社文庫)/石持 浅海
¥520
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石持サンの作品を最初に買ってみて読んだのは数年前か。

書店で棚挿しPOPに書いてある店員の解説を読んで興味を持ち、

『月の扉』 を購入した。


『月の扉』はたしか人間関係と信念によって起きたハイジャック事件と

その機内での謎解きの話だったと思った。


この「心臓と左手」はその「月の扉」ハイジャック事件のその後の話を

含む数話の短編集である。


ある警視が、ハイジャック事件の機内にいて推理に活躍した座間味君と

後日酒の場で話す内容が、そのままストーリーとなっている。


ハイジャック事件のあと、警視が関わってきて

すでに犯人も逮捕されて片付いている多くの事件だが、残った謎を

どう思うか聞くことをスタートに、座間味君が真相や動機を推理して当てる

という変わったロジックである。

まあ、気になったら読んでもらった方が早いか・・・。


ただ、石持サンのこのあたりの作品て、最後まで読んで行くと

結構、犯罪の動機が漠然だったりすんですよねー。

因果とか歴史とかがそれほど関係なく、ただ犯人の信念ていうか。

それが「狙い」であり「作風」なのだと思うけど。


これこれこういう理由でコノ事件を起こしました。っていう動機を

大木こだま・ひびき師匠が聞いたら、

「そんなヤツおれへんやろう~」 と言いそうな動機がね。


でもなんか、この人の作風はキレイで切なくてスッキリしてるようで惹かれる。

ハッカ系のお香のようなテイストだ。


「水の迷宮」「セリヌンティウスの舟」もそんなイメージだと思ったな。

デビュー作の「アイルランドの薔薇」はちと難しかったわ。

外国が舞台の話で登場人物も外国人が多く、

トムだのフレッドだのグライシンガーだのペンバートンだの、

誰が誰だかわかんなくなる。ちなみに上記で出てるのはトム&フレッドのみ。



ミステリーはキライじゃないが世界観が広いのは苦手!と言うアナタには

[06年このミステリーがすごい!第2位] の作品。

『扉は閉ざされたまま』 がおススメ。

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫)/石持 浅海
¥630
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舞台はあるペンションの中で、もっと極端に縮めて言えば

「扉のこちら側と向こう側」


館に集まった大学の同級生数名。その1人が他の仲間にばれないよう

事故を装い後輩の1人を殺害。そして密室をつくる・・・。


死体発見を遅らせようとする犯人と、開かない扉の中の状況を探ろうとする

他のメンバーの心理・頭脳線。


殺害動機は最後にあかされるが、読者からすれば犯人は分かった状態の

進行なので、そのへんの駆け引きはドキドキする。


クロキメ-サ主演でずっと前にWOWOWかなんかでドラマ化もしてたな・・・。