辻村深月さんの『島はぼくらと』を読みました。

 

 


池上朱里が暮らす冴島は、瀬戸内海に浮かぶ小さな島。
シングルマザーやIターン者を積極的に受け入れて、過疎の速度を緩やかにしているものの、朱里の同級生は朱里を入れてたったの4人。
島には高校がないため、毎日フェリーで本土にある高校へ通っている。
ある日、島にある幻の脚本を探しに来たという、自称作家の霧崎ハイジと出会うが、霧崎にこれ以上島を荒らし回らないで欲しいと思った4人は、演劇部で脚本も書ける矢野新が書いた脚本に古く見える細工を施し、霧崎に渡す。



高校から大学への進学というのは、独特のものがありますよね。
引っ越しでもしない限り、小学校、中学校は知った人が周りにいるし、高校も数は少ないものの、誰かしらがいる。
でも、大学に上がるとなると、同じ大学、同じ学部、同じ学科となると、ほとんど知った人は皆無。
本土にいる人ですらそんな状況なのに、小島からの旅立ちとなると、寂しさはひとしおなのかなぁと感じました。

また、大学と学部を選ぶ時には、ある程度将来を見据える必要があります。
私は工業高校に進んだ段階である程度方向性を見出していましたが、ほとんどの人は、大学受験を前にして、自分の将来を真剣に考えるのではないかと。

そんな、青春の1ページとも言える時期を見事に切り取った作品だと思いました。
個性が入り乱れる時期で、大人の話も、子供の話もわかる時期。
冴島には「兄弟」の契りを交わす風習が残っているそうですが、この4人はそんな強い絆で結ばれているんだろうなと、ちょっと羨ましくも思えてしまいました。

 

 

 

 

 

 

過去の「辻村深月」記事

 

 

 

 

 

 


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