貴志祐介さんの『コロッサスの鉤爪』を読みました。

 

 


小笠原諸島周辺で飽和潜水の実験をしていた実験船〈うなばら〉から約200m離れた場所で、大型のゴムボートに乗って夜釣りをしていた布袋悠一が、海に投げ出された上、サメに水中に引きずり込まれて死亡した。
布袋の婚約者・近藤有里は、事故と結論づけた警察の見解に納得できず、弁護士の青砥純子に調査を依頼してきた。



「防犯探偵・榎本シリーズ」の第5弾です。

井園旬さんの『ブレイクスルー・トライアル』のあとだから、というわけでもない(こともない?)のですが、しっかりと練られた密室トリックものを読みたくて、こちらの本を手に取りました。

今回の密室は、大海原の上という、衆人環境の密室。
船の甲板から夜釣りをしている方向を見ていた人に加え、ソナーで海中の音を聴いていた船員まで。
重要な"道具"が出てきたところでようやくトリックがわかりましたが、それまではまったく見当がつきませんでした。

今回出てきた「飽和潜水」は、2022年5月に知床で発生した観光船の事故の際に注目を浴びた技術ですよね。
この作品は2017年に単行本として発行されていますので、知床の事故よりも先に飽和潜水に着目していたということに。
先見の明があったということでしょうか?


表題作のほか、『鏡の国の殺人』が収められています。

『鏡の国の殺人』
セキュリティのチェックのため、防犯コンサルタントの榎本径は、〈新世紀アートミュージアム〉に侵入するが、館長の平松啓治は何者かに殺害されたあとだった。
防犯カメラに映った映像から、榎本に捜査の手が伸びるのは時間の問題と思われたが…

 

 

 

 

 

 

過去の「貴志祐介」記事

 

 

 

 

 

 


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