貴志祐介さんの『鍵のかかった部屋』を読みました。

 

 


高校生の高澤大樹が練炭自殺を図った。
偶然高澤家を訪れていた叔父の会田愛一郎は、サムターン回しを得意とする空き巣狙いだったが、5年間の懲役を経て出所してきたばかりだった。
大樹の部屋にかけられたサムターン錠を愛一郎が特技で解錠し、部屋の中へ入ったが、ドアや窓にはテープで目張りがされており、完全な密室状態だった。
会田は旧知の仲である防犯コンサルタントの榎木径に紹介され、弁護士の青砥純子に相談を持ちかける。



「防犯探偵・榎本シリーズ」の3冊目です。
1作目の『硝子のハンマー』では、いくつもの密室トリックを披露された上、最後にガツーンと頭を殴られたような衝撃を受けましたが、2作目以降は短編集になっています。
密室トリックのオンパレードとはなりませんが、テンポが良いので特に不満はなし。

『硝子のハンマー』でも感じたことですが、ちょっと理系ミステリーの要素が含まれています。
でも、丁寧に説明されていますし、なんならざっと読み飛ばせば良いので、文系の方でも問題ないのではないでしょうか。

普通、密室を解くというのは、殺人である可能性を見出すということとイコールだと思うのですが、この作品の場合、密室の謎を解くことが、犯人を暴くことに繋がっている点が、うまくできているなぁと感じます。


表題作のほか、『佇む男』、『歪んだ箱』、『密室劇場』が収められています。

『佇む男』
新日本葬礼社の社長・大石満寿男が、末期の膵臓ガンを苦に山荘の中で死亡しているのが発見された。
現場は密室で、警察も自殺と判断したが、同社を担当する司法書士の日下部雅友は、専務の池端誠一による密室殺人ではないかと考え、青砥純子に相談を持ちかける。

『歪んだ箱』
数学教師で野球部の顧問をしている杉崎俊二は、英語教師の板倉加奈との結婚を控え、戸建て住宅を建てた。
しかし、引き渡し後、わずか震度4の地震で床は傾き、扉は閉まらなくなってしまった。
杉崎は工務店の社長・竹本袈裟男を事故に見せかけて殺害し、現場を2重の密室に仕立て上げるが…

『密室劇場』
青砥と榎木は、劇団ES&Bの公演を観劇に行った。
しかし、公演の真っ最中、ロベルト十蘭が下手の楽屋内で、ビール瓶で頭部を殴られ殺害されてしまう。
今回の公演では、上手の楽屋をメインで使用しており、下手の楽屋に出入りした人間は、十蘭以外誰の目にも止まっていなかった。

 

 

 

 

 

 

過去の「貴志祐介」記事

 

 

 

 


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