下村敦史さんの『法の雨』を読みました。

 

 


”無罪病判事”との異名をつけられた裁判官・嘉瀬は、暴力団松金組組長殺害事件の2審で無罪を言い渡し、判決理由を読み上げている途中に倒れた。
一方、嘉瀬の孫・幸彦は、念願の医大に合格したが、入学金を祖父の口座から引き落とそうとしたところ、重度の痴呆症を理由に断られてしまった。
嘉瀬の妻・君子は、夫の職場関係の人物を名乗る男から、成人後見人制度の利用を勧められるが、これにより、さらに自由に金を引き出せなくなってしまう。



医大の入学金を支払える見込みが立たなくなった時点で、最後の手段として、嘉瀬を殺害してしまうという方法が私の頭をよぎったのですが、そんな短絡的な方法ではなく、絡まった糸をほぐしていくような作業を選択したことに、まず感動。
短絡的な方法を取ってしまっていたら、さほど面白くない小説になっていたのでしょうが、このような方法を取ったことにより、読んでいる間も、読んだあとも面白さを味わうことができました。

今回の問題の起点は、嘉瀬が重度の痴呆症になってしまったこと。
こうなってしまうと、家族が自由にお金を出し入れできなくなってしまうんですね。
亡くなったときは、一時的に凍結されるということは知っていましたが、痴呆症となると、何年、何十年もの期間に渡ることも予想されます。
これは、しっかり考えておく必要がありますね。

まずは自分のことより、両親のことから心配することになるのですが、じゃあどうするの?って考えると、なかなか難しかったりします。
まぁ、自分の貯蓄etc.で両親を養うくらいのことはできますが、自分がそんな状態になってしまったら?と考えると、少し怖くなってきます。
今のうちに、妻名義の口座にもある程度移しておいたほうが良いのかな?

タイトルの通り、法律の限界が描かれた作品でしたが、将来の不安のほうが先に出てしまいました…

 

 

 

 

 

 

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