森博嗣さんの『数奇にして模型』を読みました。

 

 


M工業大学近くの公会堂で行われていた模型交換会の控室で、モデル・筒見明日香の首なし死体が発見された。
控室は密室状態だったが、中ではM工業大学大学院生の寺林高司が頭を殴られて倒れていた。
同じ夜、寺林が所属するM工業大学の研究室でも、大学院生の高倉裕子が首を絞められて殺害された。
裕子が殺害された部屋も密室だったが、公会堂の控室、研究室両方の鍵を所持していた寺林に疑いがかかる。


フーダニット(誰が殺害したのか?)に関しては、完全に裏をかかれました。
序盤からミスリード(と言って良いのかな?)を続けておいて、最後にひっくり返す。
しかも、このひっくり返す部分が急にやってくるんじゃなくて、「あれ? やっぱりこいつ怪しくない?」と思わせながら、じわじわとひっくり返す。
その巧みさに、思わず舌を巻いてしまいました。
そして、裏をかかれたことが完全に判明した瞬間、もうひと展開。
一瞬、無理がある説明のような気がしましたが、ミスリードに引っぱるきっかけとなった疑問を拭うもので、これまた絶妙です。

ハウダニット(なぜ殺害したのか?)に関しては、ぼんやりと想像していたとおりだったのですが、改めて回答を見せられると、私が理解できる範疇を超えていたというか、なんというか…
今回の登場人物の中で、1番模型から距離を置いているといっても過言ではない犀川創平が解説を行ったところは少々驚きでしたが、建築学科の専門家ということもあって、模型に関係する知識も持っていたんだな、と納得。

西之園萌絵にとっては、今回ちょっと異次元の世界を垣間見てしまったわけですが、世間知らずのお嬢様が一皮剥けたといったところでしょうか。

「S&Mシリーズ」もあと1作。
今から楽しみでしかたありません。

 

 

 

 

 

 

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