森博嗣さんの『夏のレプリカ』を読みました。

 

 



西之園萌絵の友人で地方議員の娘・簑沢杜萌が実家に帰省した夜、両親と姉は客人の車に乗ってどこかへ出かけたあとだった。
そして翌朝、簑沢家に誘拐犯の1人が押し入ってきた。
その誘拐犯はリビングの壁に飾ってあった仮面を身につけていた。

杜萌は誘拐犯とともに、家族3人が監禁されている長野県の別荘へ向かうが、別荘の前に駐められた車の中には、残る2人の誘拐犯の死体があった。
2人は口径の異なる銃で撃たれていたが、銃で撃たれたあと車の中に移動させられていた。


目次を見た瞬間、「やられた!」と思わず叫びそうになってしまいました。
前作『幻惑の死と使途』では、章番号がすべて奇数だったのに対し、この『夏のレプリカ』はすべて偶数。
『幻惑の死と使途』と『夏のレプリカ』は、ほぼ同じ時期の発生した2つの事件をそれぞれ扱った作品。
『幻惑の死と使途』で章番号がすべて奇数だったのは、森博嗣さんの奇想でもなく、偶然の思いつきでもなく、狙ってのことだったんですね。
そう言えば、『幻惑の死と使途』の中で、簑沢杜萌が巻き込まれた事件については後に紹介するといった奇術があったような…

本文を読む前から意表を突かれた作品でしたが、最後に用意されていた結末もしかり。
あとになって思い返せば、真実に行き着くチャンスは何度かあったのに、私にとってこの結末は想像だにしないものでした。
これまで読んだ森博嗣さんの作品を振り返っても、予想できる結末だったのに、なぜそこに至らなかったのかなぁ?
そこがテクニックなのかなぁ?
なんだか、森博嗣さんの手の上で転がされた気分です。

この作品のもう1つの見所(?)である、西之園萌絵と犀川創平の関係は、歩みこそ遅いものの、着実に前進している様子。
残り3作でどうなるのかなぁと、他人事ながら気になってしまったりします。

 

 

 

 

 

 

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