娘の嘘や、

これまで知らなかった姿が次々と明らかになり、

旦那さんは仕事の合間をぬって必死に動いてくれました。

 

どうすれば娘にとって一番良い方法になるのか。
そればかりを考えていたと思います。

 

しかし娘は、本当のことを何も話しません。
現状は、SNSで知り合った人から教えてもらうしかない状態でした。

 

着信拒否。
LINEはブロック。

 

何一つ連絡手段がありません。

 

だから、旦那さんは言いました。
「行くしかない。娘のところへ」

 

そして何度も娘の元へ通ってくれました。

 

私は、そんな旦那さんに感謝しかありません。
そして同時に、深く尊敬しています。

 

娘の本当の状況がわからないまま、

寒い日でもマンションの外で待ち続ける。
やっと連絡が取れたと思えば、

返ってくるのは暴言ばかり。

 

信じていた娘の姿とはあまりにも違う現実を目の当たりにして、

旦那さんは少しずつ壊れていきました。

 

まさか旦那さんが、

メンタルクリニックに通うことになるなんて。

 

でも、先生に話を聞いてもらうことで、

少し落ち着きを取り戻すことができました。

 

とはいえ、問題が解決したわけではありません。

 

祖父母も心配して動いてくれていました。
それなのに、娘は祖父にも暴言を吐いたのです。

 

申し訳なさでいっぱいだったあの頃。

 

だからこそ、私も逃げずに娘と向き合おうと思いました。
しかし、返ってきたのはやはり罵声でした。

 

「お前のせい」
「お前は毒親」
「お前みたいな底辺の人間がしゃしゃり出るな」

 

この言葉は、

この後も何度も娘から言われることになります。

 

私には、

この言葉がまるで悪魔の呪文のように聞こえました。

 

だから、壊れてしまったのです。

 

私は一体、何をしたのだろう。
何がそんなに悪かったのだろう。

 

そう思いながらも、
「全部私のせいなんだ」
「私が悪かったんだ」

 

そう自分を責め続ける日々でした。

 

逃げたかった。
消えてしまいたかった。

 

そして、本当は誰かに助けてほしかった。

 

これが、あの頃の正直な気持ちです。

 

ですが、人はどんなにつらいことがあっても、

そばで支えてくれる人がいれば立ち直れるのだということも知りました。

 

それは、旦那さんです。

 

本当にありがとう、旦那さん。

メン地下や推し活に、

お金も時間も使い果たした娘に残ったもの。

それは、借金と大学休学という現実でした。

 

ですが娘は、

借金というものを怖いことだとは感じていないようでした。

 

変な言い方になりますが、

何も感じていない。
そんな様子だったのです。

 

言い方を変えれば、何も考えていなかったのか。
それとも、考えることをやめてしまっていたのか。

 

大学の休学についても同じです。

 

一度目の休学は、娘自身が望んだものではありませんでした。
二度目の休学は本人の希望でしたが、

私には結局、

休学という制度を使って時間を引き延ばしているだけのように感じていました。

 

お金のありがたみも分かっていない。
借金がどれほど大変なことなのかも分かっていない。
大学を休学することが、

自分の人生にとって決してプラスにはならないことも分かっていない。

 

すべては自分でまいた種なのに、

真剣に考えることも、動くことも、反省することもない。

 

そんな娘の姿を見ていた私は、

この頃、正直言って憎しみに近い感情を抱いていたのかもしれません。
そして同時に、ただただ呆れてしまっていたのも事実です。

 

そして、この出来事がきっかけとなり、

私の心が壊れてしまう出来事へと繋がっていきます。

 

今思い出しても、自然と涙が溢れてきます。

娘の人生で、

こんなことが起きるなんて思いもよらなかった出来事が、

ここから始まります。

 

推し活仲間に誘われ、

招待という形でメンズ地下アイドルのライブに参加した娘。

 

メン地下には「招待」という制度があり、

招待した側やされた側にポイントや特典があるようです。

 

私も最初は詳しく知りませんでしたが、

娘のことで色々と調べるうちに、

少しずつその世界のことを知るようになりました。

 

そして、その招待で行ったライブで、

娘はメン地下の距離の近さや独特の空気感に楽しさを覚えたようです。

 

そこにはチェキ撮影など、

アイドルの推し活をしている人にとっては夢のような体験がたくさんありました。

 

最初に通い始めたメン地下は、

密着型ではなく、

パーテーションで仕切られたチェキ撮影だったようです。
しかし、メン地下繋がりのSNSで知り合った子から別のメン地下を教えてもらい、

そこでは密着型のチェキ撮影が行われていました。

 

娘はアイドルの推し活もしながら、

メン地下を二つのグループ掛け持ちし、

あちこち遠征していたようでした。

 

さぞかし楽しくて、

浮かれていたことでしょう。

 

ですが、娘がSNSにアップしていたチェキの写真を見たとき、

私は正直、馬鹿らしいと思ってしまいました。

 

もちろん、すべてがそうだとは思いません。


ですが、メン地下の世界には、

やはり独特の闇のようなものを感じます。

 

あの世界は、

ある程度の動員がなければ成り立たない世界だと思います。
だからこそ、チェキ撮影の時には、

相手が喜びそうなポーズや言葉を投げかける。

 

それが自分だけに向けられたものではないと分かっていても、

「自分だけに言ってくれている」と感じてしまう。
そして、その瞬間をSNSにアップする。

 

そのために、チェキを何枚も、

何十枚も撮るようになるのです。

 

アイドルのコンサートよりも、

メン地下のライブの方が公演回数も多く、

自然と時間もお金も奪われていきます。

 

そりゃ、お金もなくなるし、

大学に行く時間もなくなるはずですよね。

 

そして娘は、借金地獄に陥り、

大学を休学することになります。

 

ただ、このことについては、

実はいまだに娘と本当の意味で話し合うことができていません。

 

当時、娘はLINEでこう言いました。

 

「嘘でもいいから、愛が感じられる場所が欲しかった」

 

愛が感じられる場所?

 

では、親からの愛はどうだったのか。
娘は何も感じていなかったのか。

 

その言葉を読んだとき、私はとてもショックでした。

 

だから、なぜ娘がメン地下にここまでハマったのか、

本当の理由は今でもはっきり分かりません。

 

楽しくて通っていたのだろう、ということは理解できます。
ですが、少し冷たい言い方かもしれませんが、

この出来事を娘は一生後悔すればいいと、思ってしまう自分もいます。

 

そして、このことをきっかけに、

我が家は崩壊へと向かっていくことになります。