気が付けば9月が忍び寄る23日、和歌山県立自然博物館で開催されている企画展「よみがえるワカヤマソウリュウ」展に行ってきました。^^

会場へ入るとドーンとワカヤマソウリュウこと、メガプテリギウス.ワカヤマエンシスの標本たちが出迎えてくれました。

展示は化石が産出した外和泉層群鳥屋城層の説明から

白亜紀後期のカンパニアン期(8,000万年前)からマーストリヒチアン前期(7,000万年前)の海成層で、昔から様々なアンモナイトが産出する場所です。^^

また、和歌山県を舞台に描かれた漫画「君はスキノサウルス」講談社刊の作者・関口太郎氏の色紙も展示されています。^^

 

そしてメガプテリギウスの全身骨格(実物標本)と生体復元図が、ドーンと展示されていました。

科博2019年の恐竜展が初展示になるのですが、当時は研究中で無名の状態でした。

頭骨は6割程の部分が見つかって見つかっています。

前肢と後脚、首から腰までの脊椎、尾椎の一部など復元に必要な個所が揃って産出している貴重な標本です。^^

背びれがあった証拠と考えらえる椎骨の棘突起の形状や、尾椎の先端側の骨も出ているようです。

上顎の骨はほとんど出ていないのですが、下顎は左右揃っています。

歯の大部分は抜け落ちていたそうですが、歯槽の数が16本あることが分かり、モササウルス類の上顎(前上顎骨歯を含む)の歯の数が下顎の歯の本数+1とのことで、頭骨の復元に役立ったそうです。^^

脱落歯も様々な大きさ、形の歯が一緒に見つかっていて、復元の参考になったとのこと・・・

展示されている脱落歯に白い歯冠のものがあり、どうやら方解石化した化石のようです。

この化石だけ単独で見てみたかったなぁ^^;

 

そして復元された頭骨の展示です。^^

出ている骨とそうでない部分が解りやすい作りで、参考になります。

実物展示では分かりにくかった、上顎の内側にある口蓋歯も出てるんですね。^^

 

続いて他のモササウルス類との違いについての展示

3Dプリンタで製作された頭骨模型は、手に取って観察することが出来ます。※ケース入りの模型は不可

魚竜とオオトカゲとの頭骨比較も分かりやすい展示でした。

 

企画展での展示は以上ですが、常設展示室の方にも化石の展示があります。^^

まずはメガプテリギウスの産状標本です。

サメに食われた痕もあるそうですが、良くここまで残ったなぁというのが、正直な気持ちです。^^;

 

あと和歌山県で見つかっている恐竜化石(歯)の展示もありました。^^

獣脚類の歯冠とスピノサウルス類の歯冠です。^^

時代はメガプテリギウスよりも前の時代、白亜紀前期のものですが、今後も追加標本が期待できる地層なので、新たな発見を心待ちにしたいと思います。

 

最後に企画展の図録と、限定ガチャフィギュア

ガチャは全3種類で、ワカヤマソウリュウの歯がでればコンプなのですが、目当ての2種が引けたので打ち止めにしました。^^

 

会期は9月1日(日)までなので、関西や名古屋圏の方で興味のある方は是非。^^

 

最寄り駅のJR海南駅からバスで15分程度なのですが、博物館最寄りのバス停(琴の浦)が乗り場が4つある(しかも場所が離れている)ので、下調べは必須です。

 

海南駅にタクシーは常駐していますが、帰路にタクシーを拾うのはまず無理なので、タクシー会社の連絡先はチェックしておくのが無難です。

 

ではまた。^^

巨大恐竜展2024の会場レポもラストになりました。

今回は”様々な竜脚類”のコーナーと”巨大恐竜の終焉”のコーナーを取り上げます。^^

 

まずはディプロドクスの全身骨格とバロサウルスの幼体ロボの展示から

バロサウルスロボ(㈱ココロ社)は手前の植物を倒すと、食べるしぐさをするロボットで、土日だと順番待ちになると思います。^^

ディプロドクスの全身骨格は、パタゴティタンと並んで展示しても良かったかなと思いました。

所蔵元が長野県古生物学博物館になっているのですが、それってどこの機関???

 

続いては群馬県博所蔵のアマルガサウルスの全身骨格

普段は神流町恐竜センターの新館に展示されていますが、様々な企画展にお呼ばれする人気の標本です。^^

 

ここからが福井県恐竜博物館所蔵の標本が並びます。

フクイティタンの上腕骨などと生体復元ロボ(㈱ココロ社)

カマラサウルスとエウヘロプスの全身骨格

このカマラサウルスは福井で展示されている実物骨格のキャスト、精巧に作られていますね。^^

エウヘロプスも出張組の中では、状態の良いキャストなのでじっくり見て頂きたいです。

 

しかしながら国内にある標本だけで、これだけの竜脚類を揃えることが出来るようになるなんて、2000年代の幕張を見てきた世代からすると、感慨深いですね。

為替レートを考えると、海外からの標本借り入れも予算超過でしょうし、保険代を考えると青天井で大変だと思います。

 

一方、タイ王国からはジュラ紀後期のマメンチサウルス類の肩甲骨と大腿骨に

白亜紀前期の地層からはプイアンゴサウルスの頸椎、胴椎に

ディプロドクス上科の頭骨の一部(頭頂骨と脳函)が展示されています。

ディプロドクス上科が間違いなければ、結構重要な標本になります。

近いうちに新属新種で記載されるかも ^^

 

そして最後のコーナーへ・・・

旧復元のチンタオサウルスに、鎧竜からは

デンバーサウルスとクライトンペルタが展示されています。

この両名も以前は福井のメイン展示を任されていましたが、展示リニューアルに伴い、出張組に回りました。

 

あと、ブラキロフォサウルスのミイラ標本、ダコタのレプリカも展示されていました。

福井では10年間の期限付きレンタルで、実物標本が展示中です。^^

福井では全方向から観察できるので、頭骨のクレスト(トサカ)も確認することが出来ますので、福井を訪れた方は忘れずに見て行って欲しいですね。

※写真:福井県立恐竜博物館で展示中のダコタの頭骨部分

 頭の上にクレストの隆起が確認できます。

 

以上で巨大恐竜展2024の会場レポは終了です。^^

パタゴティタンの巨大さを感じてもらうだけでも価値のある展示ですので、是非機会を作って頂ければと思います。

 

また2025年夏には大阪へ巡回するそうなので、こちらでの展示も期待したいですね。

 

最後に戦利品です。

※フィギュアセットは事前販売チケットのタイアップ品です。

ではまた。^^

 

 

巨大恐竜展2024のレポも後半です。

いよいよメイン展示”ティタノサウルス類:最も大きな恐竜たちの暮らし”のコーナー。

パタゴティタンへの導入部は、竜脚類としては最後に登場したティタノサウルス類の大きさの秘密や、成長の過程、生活様式が化石標本や体験型(インタラクティブ)展示で知識が得られるようになっていました。^^

※写真はティタノサウルスの大鷹骨

ホロタイプ標本として見つかっている箇所や、パラタイプ標本で見つかっている箇所が解る展示や

ティタノサウルス類の卵の化石で、産卵状況の分かる標本に

映像を使った成長過程の説明は、こどもたちにも解りやすいものとなっています。^^

 

そしてパタゴティタンの部屋に入って行きます。

頭骨は出ていないので、近隣で見つかっているサルミエントサウルスを参考に作られたものです。

前腕部は胸骨、肩甲骨、烏口骨が揃って出ており、寸胴でがっちりした体躯の持ち主であったことが分かります。^^

 

巨大な骨盤ですが、腸骨が見つかっていません。

それでも恥骨と座骨の大きさから、大きなお腹を支えるには十分な大きさがあったと考えられます。

 

前肢と後肢ですが

どちらも指の骨は見つかっていません。

この時代のティタノサウルス類を参考に作られたものです。

前肢はナックルウォーク(手の甲の骨)で体を支える形で再現されていました。

後肢に巨大な爪(末節骨)があるのは、産卵で地面に穴を掘るのに必要だからと考えられています。^^

 

おさわり出来るの頭骨標本もあります。

個人的な感想ですが、あれだけの体躯とは言え、頭骨がここまで大きいかな?と感じています。

ティタノサウルス類の頭骨はそこそこの数が出ていますが、

体とつながって出ている例が少なく、実際のバランスはよく分かっていないのが実情です。^^;

 

パタゴティタンの尾椎には獣脚類にかまれた痕が残った化石も出ています。

生存中に噛まれたものか、死後に齧られた痕かは分かりませんが、サバイバル競争は激しかったと思いますね。^^;

 

その齧った相手かもしれない、獣脚類ティラノティタンの復元頭骨(おさわり可)も展示されていました。^^

カルカロドントサウルス類としては北米のアクロカントサウルスよりも古い時代に生きていましたが、ギガノトサウルス族に分類されている捕食者です。

(”族”レベルの違いを分かりやすく伝えると、ティランノサウルスとタルボサウルスの違いくらいです。)

頭骨で出ている部分は下顎と眼窩の下側の頬骨、脱落した歯冠です。

おさわり標本では分かり辛いですが、図録の方にはギガノトサウルスとの違いを示す特徴が載っていますので、図録は忘れずに購入することを、お勧めします。

 

今回はここまで、ではまた。^^

続いてのコーナーは”恐竜の巨大化”がテーマで、まずは獣脚類から、その進化を示す展示がされていました。^^

 

三畳紀のヘレラサウルスと白亜紀前期のコンカベナートルの全身骨格。

ヘレラサウルスは、ジュラ紀以降に現れる獣脚類の直接の祖先ではないのですが、当時では大型捕食者の地位にあるので、恐竜展の常連さんです。

図録の方には、同時代の獣脚類エオドロマエウスについて触れられているので、知識としての補完はできますね。^^

コンカベナートルは獣脚類のなかでも、ほぼ全身の骨が出ている奇跡の恐竜なので、全身骨格のキャストも完成度が高く、細部をじっくり見てほしいです。^^

 

そしてオダイバ組のスピノサウルス”バルーン”

頭から首までが生体復元ロボで、胴体から尻尾がバルーンで出来ている秀逸な展示です。^^

オダイバで体験済みですが、その鼻息はまさに荒ぶる神でした。 ^^;

 

そしてティランノサウルスの進化と巨大化を示す展示。

まずは頭骨と首の標本が展示されていましたが、

第二頸椎?のとこ、病変??ぽくなっていたことに気づきました。詳しいこと知ってらっしゃる方が居ましたら、補足して頂けると助かります。^^;

ディロング、ラプトレックスと、巨大化していく過程が展示されています。

メインのティランノサウルスは”WYREX”でした。^^

実際の標本は、尻尾の大部分が食いちぎられて欠損しているのですが、このキャストでは再現されています。

”WYREX”は頸部と骨盤、尾に皮膚印象が見つかっている唯一のT.rexで、このキャストでも尾の部分の印象化石は再現されているので、見逃さないように^^

 

続いては角竜類の巨大化展示で、プシッタコサウルスの全身骨格と、モザイケラトプスの産状標本が展示されています。

モザイケラトプスは近くに卵も出ているのですが、なぜか亀の卵だそうで、なぜ一緒に見つかったのは謎となっています。^^

そしてトリケラトプスの生体復元模型

半身が骨格と筋肉を表す模型になっております。

製作監修者がジャック・ホーナー博士で、ギガ恐竜展時はトロサウルス名義だったような・・・

普段は福井県立恐竜博物館の新館バックヤードで、皆さんを迎えておりましたが、横浜まで出張ご苦労さまです。^^

 

一方で島嶼化で小型化した恐竜たちについても展示されていました。

小型のハドロサウルス類テチスハドロスと竜脚類のエウロパサウルスの頭骨です。^^

両方とも白亜紀中ごろのヨーロッパに生息していましたが、当時のヨーロッパは沢山の島国で構成された分断の地域で、島という極端な環境下で、体を小さくすることで生き延びてきた恐竜たちです。

エウロパサウルスは、マクロナリア類と言われるグループの竜脚類ですが、このグループにはブラキオサウルスも含まれることを考えると、いかに小型化したかが見て取れるので興味深いです。^^

 

今回はここまで、ではまた。^^

 

8月に入り酷暑が続いていますが、恐竜界隈も兵庫でヒプノベナトルが記載されたり、熱くなってますね。

今回から数回に分けて、7月13日からパシフィコ横浜で開催されている”巨大恐竜展Giant Dinosaurs2024”の模様をお伝えしたいと思います。^^

 

会場に入って最初のコーナーは生物の巨大化をテーマに、様々な種類の標本が展示されていました。

まずは竜脚類のトゥリアサウルス。

幕張のギガ恐竜展以来でしょうか。

ジュラ紀後期のスペインから見つかった基盤的な竜脚類ですが、現時点で欧州最大の竜脚類で、基盤的なものでここまで巨大化したのは珍しいそうです。

本国では下半身も復元されたそうなので、いつか全身骨格で見てみたいですね。^^

 

哺乳類の標本も展示されいます。

ステップマンモスの全身骨格はかなりの大きさで、茨木県博の松花江マンモスの標本より大きいかも知れません。

全身を撮るのが大変でした。^^;

 

最大の奇蹄目パラケラテリウムの頭骨や、現生のナガスクジラの全身骨格なども展示されています。

 

最大の魚竜ショニサウルスの頭骨標本

科博の地下2階に部分頭骨の標本が展示されていますが、改めてその大きさに驚かされました。^^;

 

海棲生物では、パラプゾシアなどのアンモナイト(二枚貝のイノセラムス付き※黄色丸印)に、ペルム紀の二枚貝シカマイアの仲間、アラトコンカの標本も・・・

 

翼竜からはプテラノドンとケツァルコアトルスの標本が展示されています。^^

 

鳥類では近世に絶滅したエピオルニスの全身骨格と、ガストルニスの生体復元標本が展示されていますが、

現在では展示の順番が逆になっているようです。^^;

 

巨大化した生物展示の一方で、小さい生物の展示もされていました。^^

ハチドリや昆虫化石の標本ですが、見ごたえのあるものが多かったです。^^

ここまでの展示は主催が福井県立恐竜博物館なだけに、以前に開催されたメガ恐竜展や、ギガ恐竜展に近い標本のセレクトでしたが、メイン展示へ繋げる導入部としては良い展示だと感じました。^^

 

今回はここまで、ではまた。^^