CONVEY -4ページ目

公演終了致しました。 だるままどか[作・演出]

御来場下さった皆様、
そして暖かいお声掛けを下さった皆様、
見守って下さった皆様、
様々なお手伝いをして下さった皆様、
心より、御礼申し上げます。

僕は、2010年は合計7本の公演に関わります。
今回の『豚の女王と虹色ラムネ』は4本目の公演でした。
一本一本、大切に芝居をしています。
この公演も、僕の心の財産になりました。たからものです。


CONVEYの公演では、3作品目の演出でした。
主宰の森田かずよ嬢とは、
役者対演出で20作品以上絡んでいるのじゃないかと思います。

今回 僕がしたことは、身体を凝視する、ということでした。
3人の女優の身体が、どのような仕組みで、どのような機能で、
どのような変形率であり、どのような美を秘めているのか、
をジロジロ見ることから始めました。
障害・健常云々は、少し頭から外します。「標準」を外します。
3人の身体を把握して、3人の違いを把握して、3人3様の美を睨みます。
そして、その凸凹を巧く嵌めて、綺麗な絵を作る試みを始めました。
どのバランスが美しいか、どの配置が気持ち良いか。
枠を外して線と影とを捉え、組み合わせることでしか成り立たない美を発見する作業。

僕は、身体性をとても重視します。全ては身体であるとまで言います。
次に、各様の身体の在り方から発せられる「あたりまえの声」を探しました。
その身体における平常の声。その響き、伸び、量。慎重に聴きます。
そして、その声が作る言葉に耳を傾けます。歯切れ、鋭さ、重さ、深さ。
その凸凹を巧く嵌めて、心地良い空間を作る試みを始めました。

その3人が在るにふさわしい場を作る作業もありました。
練りました。随分と頭と心を遣いました。
自然光と人工の灯り、鏡、布の感触。
楽器のチョイス。楽器の配置。音における空間支配。
アナログとデジタルの在り方について。和音を、倍音を。
演者の身を包む装いを、粧いを。
レプリカではない、精神性を秘めた 記号を、シンボルを。
匂いを。風を。温度を。湿度を。
祈りの空間に、御客様が坐って下さって、其処は劇空間となりました。

物語は非常にシンプルにしました。
物を語る、のが物語ならば、物語ですらなかったかもしれません。
ゆらゆらと、ぶるぶると、揺するだけのものにしました。
もしくは、ノックをしました。
僕は、演劇を 原初の娯楽装置だと思っていますので、
今回は、より、その色合いを濃く打ち出して、このようにしました。
でたらめな悪戯はたくさん仕掛けましたので、
摘まんだり、汲み取ったりして下さった方は、
そのような面白みもあったのじゃないかと思います。


【閑話休題】--------------------
 黒服の人攫い、今回も出て来ました。
 僕の作品には、よく出て来ます。
 最近では、昨年12月に発表した作品の中にも登場しておりました。
 好きなんです。黒づくめの優しい悪者。
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「森田かずよ」は、永遠の相棒だと思っています。
彼女の身体は美しい。
生命の瘤や節が、彼女の痩身に纏わり、目を見張る美を形作っています。
舞台の上の彼女から目を逸らすのは、とても惜しい。
だけど、否、だから、彼女はつまらないものと闘わないといけない。
僕は、彼女は闘うべきものとだけ闘うべきだ、と思っています。
つまらないものと闘わずに済む作品を創りたいと強く思い、挑みました。
森田くんは、ちゃんと闘うべきものと闘ってくれたと思います。

「猿渡美穂」は、昨年の12月に他団体での公演で一緒になりました。
バチや槌で打てば美しく鳴る木製の何かのように捉えました。
鍛えられた肉体は、しなやかで、これもやはり、木を想いました。
彼女を追い詰めてみたいと思いました。
限界に、何があるのかを見たいと思いました。
臨界を見たいと思ったわけです。
原初の火を放ってみました。
美穂ちゃんの木を燃やしたら、とても良い 匂いがしました。

「愛澤咲月」は、今回のプロジェクトで初めて出会いました。
真っ白なひとでした。
舞台に立つ人は、でこぼこが表に目立つ人が多いのですが、
稽古場で初めて逢った彼女はとても、平らに見えました。
それもそのはず。
学生時代の発表を抜きに考えれば、彼女はこれが初舞台なのです。
彼女には最初に、苦手なこと、出来ないことを尋ねました。
彼女はたくさん言いました。たくさんの苦手なこと。
だけど、彼女は全てをクリアしました。
体験したことのない爆発する感情の昂ぶりと、
ぐらぐらと熱を発する気の嵐を皮膚の下に押さえ込んで、
彼女は立派に舞台に立ちました。
松葉杖に力を乗せ、三本足で、見事に立ちました。
僕は知ることができました。咲月ちゃんは、ちゃんとでこぼこしています。
それはとても、素敵なことです。
貴女は役者になったんだから、芝居続けて下さいね、と最後に言いました。
はい、と彼女は言ったので、これは、約束です。

「山口翔」は、やはり魔法使いです。
「平地正憲」は、天を吹く風です。
「金属太鼓」は、瓦解と誕生の繰り返しです。
目が眩むような、まばゆいまばゆい、夢のような音世界でした。

「真マコト」の仕掛ける空間美術は、異世界の描写です。
そして、彼はやはり、カミの小筆なのです。
「浅井瑞穂」の衣裳は完璧です。
なんの運動も削がない、素晴らしい仕上がりでした。

その他 裏方陣営の、正確でそれでいて締め付けないシゴト振りは、感歎の一言。
この現場を和やかで人間らしい空気にしてくれた強い強い力でした。


やりたいことが、やれました。
感謝、感謝、感謝。

とうとう明日

CONVEY Project vol'3 「豚の女王と虹色ラムネ」
とうとう明日初日でございます。
公演はたった2日間、3回です。
こんなに頑張ってきたのに短いなぁ~なんて思いますが
この儚さが舞台のいいところなのかもしれません。
この時間にその空間にいる人だけが味わえる物語・・。
楽しんでいただけたらと思います。

私は・・なんか落ち着いています。
不思議な感じです。

今日は仕込みでした。
こんな会場に
CONVEY-仕込み1
こんなモノを張り・・・
$CONVEY-仕込み2

これはぜひ間近で見て欲しい!!
昼公演と夜公演では全く違って見えます。

そしてカレーを食べましたw
$CONVEY-仕込み3
ケータリングの様子です。
うちのママ手作りのカレー。ありがとうございます。

今日はうちに咲月ちゃんが泊まっています。
とっても緊張している初舞台の彼女。
なんのなんの、舞台では堂々としていますよ。

さあ、明日から楽しみますよ。

森田かずよ

最終稽古

こんにちは、猿渡です。

今日は最終稽古でした。
ここまで、よくも頑張ってきました、と、
自分たちのことをほめてもしょうがないのですが。

通しをして、解散。

帰りは、咲月ちゃんと、電車で帰ります。
電車の中で二人とも、しーんとしていました。
何故だか。

それがおかしくて、わらったりしました。
咲月ちゃんは、今の心境は、たとえば何に似ているか考えていたそうです。
「戦争に行く時に似ている。」
と言いました。
笑いました。

咲月ちゃんは、今回が初舞台です。
とっても大変な初舞台です。
そんな、戦争に行くような、感じなのでしょうね(笑)

明日は小屋入りです。
早いなぁ本当に、早いです。
この数日を、思いっきり楽しめるように、
一生懸命します。