http://jp.wsj.com/articles/SB10472014764830763981904580483091005532502
一部の企業幹部は、誰にも邪魔されずに考える時間を週に数時間取ることができさえすれば、より良い戦略的なアイデアがもっと出てくるだろうと信じている。
しかし、それは希望的観測であるだけでなく、後ろ向きの考え方でもある。
われわれは、「行動する」ことによって「戦略的な考え方」へと道を開く公算のほうが、「考える」ことによって「戦略的な行動」へと道を開くよりもずっと大きいのだ。
戦略的スキルを向上させたいと思っている企業幹部で、何から始めたら良いのか分からないと打ち明ける人は少なくない。日々の職務を遂行するのは比較的簡単だ。それには明確で優先順位の付いた、無視できない「やるべきことリスト」が付いてくるからだ。一方、効率的かつ戦略的行動は時間枠が長く、何が最終的に実を結ぶかに関するフィードバックがあいまいだ。そこで次のことを考えよう。より戦略的になるために朝一番に何をすべきか、だ。
筆者の研究によると、戦略的スキルを向上させるために企業幹部ができることは必ず存在する。それらは定期的に時間を取って練習するものでもなければ、strategic retreat(戦略的退却=態勢建て直しのための退却)地点で年に1回試してみるアクティビティーでもない。
以下は、企業幹部をより戦略的にし得る4つの実践項目だ。アイデアと行動の両面でより戦略的にし得るものだ。
1.外部の考えを入れる
戦略的リーダーには、社外に信頼できる人々のネットワークが必要だ。日常の業務を超えるコンテキスト(背景)への理解に役立つからだ。戦略的リーダーは、例えばどの新技術が業界を刷新し得るか、あるいは、グローバリゼーションがいかに組織の採用計画に影響を与え得るかに常に目を配る必要がある。
われわれはみな職務上のネットワークを持つ。それは社内の人々による日常業務の遂行を可能にするネットワークであり、現行のビジネス、顧客、供給業者の範囲内にある。われわれの大半はまた、共通の歴史、友人関係、ないし関心を基にした社外の人との個人的なネットワークも有している。
戦略的幹部は、そこから一歩前進し、職務上のコンタクトと個人的なコンタクトを活用する。通常なら出会わないような人々、アイデア、資源を連結するためだ。
それは具体的にどう働くのだろう。例えば、最高マーケティング責任者が現行のビジネスから遠くかけ離れた分野で時間の半分を過ごすのは効果的かもしれない。似た業界や、シリコンバレーのようなイノベーションの宝庫で人脈を作り、ブログ、ランチ、それにイベントを利用して外部で学んだことを、自分の会社の内部に目が集中している同僚たちと共有すると良いかもしれない。
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2.社外からと社内からの要求のバランスを取る
C-スイート(CEO、CFO、COOなど)と呼ばれる幹部(以下、企業幹部)は、さまざまな外部のステークホールダー(利害関係者)の案内役を務めなくてはならない。規制当局、顧客、協力企業などだ。このため、企業幹部に時間を取るよう求める声は指数関数的に増える。
研究によると、これらの外部からの要求は、初めて最高経営責任者(CEO)を務める人が直面する課題ランキングのトップだ。講演依頼やその他の式典関連の依頼は就任初日から舞い込んでくる。重要なこと(カギとなる戦略的関係を構築し、そのリーダーの公のイメージを形成する)と選択的なこと(参加すれば役に立つかもしれないが、企業の中核的な関心や目標とは直接的に関係ない)との間で適正なバランスを探ることが重要だ。
3.自分の「戦略的」課題を制御する
企業幹部は、多数の「戦略的」取り組みに対応していると思うことがしばしばだが、それらは名目上、戦略的であるだけのことが少なくない。
日用品大手ユニリーバで最高人事責任者を務めていたことがあるサンディ・オッグ氏は同社に務めていた8年間について、主要幹部はいかなる時点においても、100以上の取り組みに参加を要請され得る状況にあったと述べる。ITや人材の多様性(ダイバーシティ)から企業の社会的責任に至るまでの取り組みだ。もし幹部が大半の取り組みに注意を払っていたら、主要業務のパフォーマンスは落ちていたに違いない、と同氏は語っている。同氏は現在、プライベート・エクイティのブラックストーン・グループのオペレーティング・パートナーを務めている。
オッグ氏は、やる価値のある取り組みはどれか、形式上の支援で構わない取り組みはどれかを識別する3段階の手法を考案してこの難題に対処したという。
4.トップと協力する
企業幹部は、幹部同士で協力することを学ばなければならない。同じ経営チームに属す人との関係構築に時間を投じることは重要だ。
これらのチームは、CEOとその直属の幹部から構成されており、チームとしてきちんと動いていないことが少なくない。各メンバーがそれぞれの地域、機能、ないし製品群を統括しており、取り組みを全体としてまとめ上げるインセンティブ(誘因)はほとんどない。しかし、定義上、企業幹部は相互依存の関係にある。彼らには企業全体のためにリーダーシップを提供する義務がある。ブラックストーンによれば、これが同社のポートフォリオに入っている傘下企業のCEOたちが年に1度集まる制度が重要である理由だ。そこで彼らは考えや最善の慣行を共有することが期待されている。