韓国のエリート教育に関する記事 を読んでの雑感。
昨日の松下幸之助氏の記事でも少し述べたが、最近日本の教育政策に興味があり、課題に思っているのが、「日本の大学数は多い」ということである。
全入時代というのを日本の基本的な教育政策とするのであればよいが、それによって本来の大学教育の効果が出ているのだろうか。松下氏の本の中でも、日本はアメリカ教育を真似ているとあり、それに伴って大学数も増えたとあった。しかし日本の大学とアメリカの大学の違いは、アメリカは学士は一般教養過程が多く、その後、学生は修士に進むことが多いところである。(注:松下氏は大学数が多いことはどちらかというと反対という立場)。日本の大学教育とは性質が異なっていると言えるだろう。
シンガポール留学時に、シンガポールの教育政策についても勉強していたが、シンガポールの大学数はわずか3つ(もうすぐもう一つ新しい大学ができると言う)。そして同世代の10%程度しか大学には行かない。残りは職業訓練専門学校(ポリテクニック)か、就職である。松下氏もおそらくこの教育機構を望んでいると思われる。
「米国製エリートは本当にすごいのか?」 で佐々木氏も述べていたが、どうやら日本はエリート教育をしたがらないようである。(社会学的に見れば、戦略的にエリート人材を輩出していない可能性もあるが・・・)
一方韓国は本気のようだ。お国柄、元々教育熱心であることは有名であるが、戦略的にノーベル賞を出せる仕組みを作り、具体的に取り組んでいる。記事の韓国の高校だけでなく、大学にも力を入れている。浦項工科大学校 のような取り組みもその一つである。
冒頭の日本の大学数をいきなり減らすことは無理であるが、フランスのグランゼコール のように高等専門教育機関を今の大学からいくつか見繕って作っていくか、または大学内大学のような形でグローバル化・高度複雑化に対応する人材を育成していくのも一つの手かもしれない。(後者はリーディング大学院という形で始まりかけている)
一方で仕組みではなく、やはり志の高い、情熱を持った人材はやはり「人と人」との練磨で鍛えられていくものであろう。自身が関わらせて頂いているプログラムは、何か方法論に走るのではなく、どこまでも手作りで、グローバルリーダーを輩出していきたいと思う。
----------------------------------------------------------------------------------
韓国の選別主義的英才教育 「ノーベル公園」も
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110919-00000527-san-int
産経新聞 9月19日(月)22時46分配信
【境界~夢を見せる】(2)
世界トップクラスの科学者育成を目的に、2003年度に設置された超エリート高校の韓国科学英才学校。釜山の高台にある学舎の庭には「ノーベル公園」と名付けられた直径10メートルほどの円形緑地がある。
中心に木が植わっているが、この形状は永遠ではない。将来、同校出身者がノーベル賞を取ったあかつきには木を抜き、受賞者の銅像を建てるのだという。韓国の受賞者は目下、平和賞の金大中元大統領だけだが、同校は「設立後20年以内に、自然科学分野のノーベル賞受賞者を輩出する」とはっきり標榜(ひょうぼう)している。
韓国では約30年前から、将来国家を背負う人材を育てる英才教育に力を入れてきた。1986年に科学高校、92年には外国語高校や体育高校、芸術高校を「特殊目的高校」と定義。中でも科学技術系は、明確な国家意志として制度設計を進め、2000年に「英才教育振興法」を制定。科学高校のレベルや教育自由度をさらに高める形で科学英才学校の設立へとつないだ。
現在4校に増えた科学英才学校は、英才教育の最高峰に立つ。生徒は、学費や寮費が実質無料となる特別待遇や高い教育環境に恵まれながら、米大学院進学を視野に、ひたすら勉学にいそしむ。今春の入試競争率は平均18・2倍に達した。
「政府の強力な牽引(けんいん)で世界でも珍しい才能教育体制を短期間で作り上げた」。韓国教育に詳しい石川裕之・畿央大助教(34)=比較教育学=は「一点突破の人材育成は、韓国のお家芸とさえいえる」と話す。
□ □
科挙制度千年の歴史をもつ韓国は、歴史的に学歴重視や序列化志向が高く、国民の受験熱はとりわけ高い。半面、受験競争の過熱はたびたび社会問題化し、制度改正が繰り返され、現在の高校進学率はほぼ100%に達する。それでも「将来のため、少しでもいい大学へ」という意識は強く、親たちはわが子に多大な教育費を費やし、子供たちは必死で机に向かう。
選別主義的な英才教育に対し、かつては社会的批判が巻き起こったが、韓国が近年経験した国家存亡の危機が、流れを一変させた。
韓国で「IMF危機」と言われる1997年のアジア通貨危機。韓国通貨や株価が暴落し、同年末には事実上、国家経済が国際通貨基金(IMF)の管理下に入った。企業倒産が相次ぎ、失業者が増大した。
戦後順調に経済発展を遂げた韓国を突如襲った国家的屈辱は、日韓併合、朝鮮戦争に次ぐ「第3の国難」として深く記憶された。海外進出の必要性と、一握りのトップエリートの育成が、必然として受け止められるようになった。
「IMF危機を経て、格差ができても国がつぶれるよりはましだという機運が高まった」と石川氏。「1人の卓越した才能が、数万、数百万の国民を養っていくという信念に基づき、才能教育も正当化されていった」と指摘する。
□ □
IMF危機以降、韓国ではひたすら前へ突き進んだ代償として、さまざまなほころびも表れた。昨年の大卒者就職率は、日本の60・8%に対し、大学院生を含めて55・0%。被雇用者に占める非正規職の割合は、昨年10月現在で約5割に達する。経済協力開発機構(OECD)が昨年5月に発表した人口10万人あたりの自殺率は、主要工業国など加盟約30カ国中ワースト1位の21・5人。同3位の日本は19・1人だった。
受験に限らず、就職、昇進など、韓国では果てしない競争が続く。石川氏は「光が強ければ強いほど、影の深さも深い」と語る。
それでも隣国の「光」が際立つのはなぜか。石川氏は「韓国ではトップを目指す子供たちに、将来国家を担う人材として、夢を与えている」と指摘する。
世界トップを目指す気概は、夢につながる。影の部分は反面教師となるが、閉塞感(へいそくかん)漂う日本では今、その気概を思い出すことこそが必要なのかもしれない。
在韓日本大使館公使の外交官、道上尚史(みちがみ・ひさし)氏(52)が提起する。
「韓国では外に出ようとする意欲も戦略もある。外の知識を取り込まないと世界に遅れるという常識もある。明治維新の『五箇条の御誓文(ごせいもん)』にあった『広く知識を世界に求める』精神を、われわれは忘れていないだろうか」