【読書】私の夢・日本の夢―21世紀の日本 | コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

コンサルサルのぶろぐ-思考、読書、雑感などを語る

外資系IT企業で働くコンサルタント&プレイングマネージャーのブログです。日々の雑感や読書日記を紹介します。

私の夢・日本の夢―21世紀の日本 (PHP文庫)
私の夢・日本の夢―21世紀の日本 (PHP文庫) 松下 幸之助

PHP研究所 1994-11
売り上げランキング : 90807


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

松下幸之助が21世紀の日本のあるべき姿に関して、自らの考えを小説仕立てにまとめたもの。


「経済」「企業経営」「教育・宗教」「国土と社会」「政治」をテーマに展開されている。


教育府という政治機構を設け、教育権を三権から分離するほうが望ましいと言われている点、また国土創成省や政治生産性本部など、国の政治のあるべき姿は大きな夢を語ることであり、それに伴い"適切な"自由政治を行うべく監視が必要であると述べている点は興味深かった。

また松下自身の経営のあり方として「ダム」つまり一定のリソースプールの必要性を随所に述べいたことをも印象に残った。


今から40年以上も前に書かれた本であるが、個人的には松下政経塾とはこの大きな夢を実現するための機関であると共に、松下自身の教育論、教育モデルの実験の場であったのかもしれないと感じた。
それは本書の中で大学のあり方について述べられている部分があり、どちらかと言えば大学数は絞込み、職業訓練学校などを多くするほうがよいと松下自身は述べている。松下自身が大学を作るのではなく、あえて私塾を作ったのも、現在の国の教育制度への疑問の投げかけであり、本書に出てきた「国土創成奉仕隊」のような自ら進んで、喜んで学び、仕事をするような人材を作りたかったのではないかと、個人的には感じた。


【印象に残った文章】

日本人には大きな組織の一員として働くよりも、自分で独立して自由な立場で仕事をしたいという考えが強いのです。P70


企業は天下の人、天下の金、天下の土地を、いわば社会から預かって仕事をしている P117


物価の安定もダム経営があればこそ P153


大学は学問の場というよりも、交友の場というか、遊びの場のような雰囲気をおびてきた P198