「夢千代日記」などで知られる名脚本家、早坂暁。早坂が92年に発表した自伝的小説「東京パラダイス」を読んでいる。さすが、名脚本家、ストーリー展開が実に視覚的で、しかも滋味に富んだ泣かせる小説。
どこまでが本当の話なのかはわからないけど、相当な著名人が登場する。主人公は松山高校の学生。親には東大医学部を受験するといって上京する。しかし、彼の上京の目的は女を探すこと。かつての恋人が浅草でストリッパーとして踊っていると聞かされたのだ。
とりあえず上京して、すぐに浅草に行く。そこで出会うのが永井荷風。しかし、文化に疎い彼は永井だとは気づかない。その浅草で早速スリにあってしまう。そんな彼を救ったのは風采の上がらない役人。その役人は劇場に出ている男を紹介して、彼女探しを手伝ったくれるという。その役人は後の関敬六。そして紹介される芸人が渥美清。スラれてお金のなくなった主人公(早坂)は、その日、渥美の実家に泊めてもらう。
ここまで、およそ1/3。これから主人公は玉の井に定着して、ある女に会い、さらに友人の学生日記で日大芸術学部演劇科に出入りする。
実際に早坂は東大医学部に合格して中退して、改めて日芸入り直して卒業している。ということは小説は「自伝的」ではあるが。まったくの「自伝」ではない。それにしても昭和の風俗満載で面白く読み進めている。




































