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映画を中心にエンタメ、旅などを紹介しています。

 毎月ほぼ1冊読むアガサ・クリスティ。今月は「鏡は横にひび割れて」。本国では1962年に発表された、マープルのシリーズ8作目。



 物語はマープルの住む街、セント・メアリー・ミードが舞台。この地味で古い街に大女優が引っ越してくる。彼女が開催した慈善パーティで、近隣の女性が亡くなるのが、事件の発端。

 

 パーティで供されたカクテルに毒が入っていたのだ。マープルは地元で起こった事件の捜査を始める。

 

 この小説、80年に映画化されている。その関係なのか、日本翻訳版が刊行されたのは79年。


 映画版は当時観ているけど、あまり覚えていない。(日本公開タイトルは「クリスタル殺人事件」と意味不明)今回原作を読んで、あの当時ならエリザベス・テイラーならぴったりの大女優役だったのだと思った。




 

 映画化作品はテイラーの他に、夫役にロック・ハドソン、マープルにアンジェラ・ランズベリー、ハリウッドのスター役にトニー・カーチスとキム・ノバックというオールドなメンバーながらオーススターキャスト。

  

 当時はこちらが若かったので、どうにも、往年のスターすぎてピンとこなかった。今、原作を読むとテイラー以上に、この役が似合う人はいない。それほど適役。

 

 そこにいるだけで、誰もがスターだと認めてしまう人。今ならそんな大時代的なスターなんていない。



 物語は大女優を主人公にしているだけに華やか。スターの存在に隠れた影の部分も書き込まれているのは、さすがクリスティ。

 鹿児島の繁華街「天文館」を舞台にした映画「天文館探偵物語」。主演しているのは寺西拓人という俳優。どうもアイドルらしい。彼の動員力なのか、公開1週目はそれなりの成績を残していた。

 

 鹿児島の中心部にある商店街「天文館」。そこを舞台にバーを手伝いながら探偵業をする二人の青年の話。ある日、その商店街でスリ事件が発生。スリをした女を追ってみると、彼女には事情がありそうで、という展開でスタートする。



「天文館探偵物語」★★☆☆☆

 

 チャンドラーのいない日本では、なかなか探偵モノって成功しない。この映画がタイトルこそ「探偵」と入っているけど「探偵」にはほど遠い。

 

 この謎の女の背景も、展開も、安いテレビドラマみたいな展開。それでも(呆れつつ)最後まで観れたのは、鹿児島の風景が絵になるから。個人的な話だけど、47都道府県の中で一度も行ったことがないのが、鹿児島と高知と福井。

 

 特に鹿児島は、あの雄大な桜島を見てみたいと常日頃思っているのに、なぜか縁がない。この映画がそんな鹿児島市内の風景を存分に見せてくれた。

 

 嫌味のない若手の演技と鹿児島の風景だけの映画。もう少し話を工夫できなかったのか、特に女の子がスリっていうのは、今どき、どうなのか?この女がスリってことは、カタギじゃない。その辺も、話の展開は「適当に」が見え見えすぎる。

 1970年代の後半、政情不安定だったアルゼンチンが舞台の「ペンギン・レッスン」。スティーブ・クーガン演じる英語教師が、この地に着任するところから物語は始まる。

 

 あまりに不安定なアルゼンチンをしばらく離れ隣国のへ避難。そんな休暇時に、海辺で油まみれになったペンギンに出会う。その気もないのに、女性に優しい男と見られたいためにペンギンを保護。

 

 そのペンギンが彼に懐き、そばを離れなくなる。仕方なく、彼はペンギンをアルゼンチンへ連れ帰る。そのペンギンの存在が彼の周辺の人間関係を変えていく。



「ペンギン・レッスン」★★★☆☆

 

 いい話で、評価も高いけど、自分にはいまいちハマらない物語だった。アニマル・セラピーの話で実話。「あなたを抱きしめる日まで」で脚本賞を数多く受賞した英国の名優クーガン。彼の英国人らしい風情もいい。

 

 英国人らしいといえば、校長を演じた名優ジョナサン・プライスもまさにそう。この二人の英国風情が映画に美しいニュアンスを与えている。

 

 ちょっと不満があるのは、当時のアルゼンチンの状況をあまり描いていないこと。動物に癒されることが映画のテーマなのはわかるけど、78年のアルゼンチンという舞台を特定しているのだから、もう少し(メイドのおばさんのエピソードがあるにしても)リアルにその恐怖を描くべきなのではないかと感じる。

 

 それほど、当時のアルゼンチンは厳しい社会環境だったはず。物語には出ているのに、演出は、その部分の緊張感が、あまりない。

 大河ドラマ「べらぼう」はワースト2位で終わったそうだ。低視聴率が話題になると「意欲作だった」とか「面白かった」と擁護する人もあるけど、正直、期待はずれの内容だった。

 

 前半の1/4までは傑作になるのではないかと毎週ワクワクして見ていた。良かったのは小芝風花が花魁だった時期まで。そこまではイキイキと吉原を中心とした江戸庶民のエネルギーがあふれる秀作だった。

 

 横浜流星の持ち前の運動神経の良さが生きた若き蔦重。小芝風花の花魁への思い、その周辺の吉原の人々の人間模様もテンポはいいのに丁寧に描かれていた。

 

 イキの良かったドラマが沈滞したのは幕府の内情を描き出してから。それでも安田顕が演じた平賀源内が生きているうちは、源内を通して、渡辺謙演じる田辺意次と蔦重の関係も必然が見えた。

 

 しかし、後半になると幕府の陰謀渦巻く内幕話が主体になり、どこに蔦重がいるの?という展開になった。あくまでも、江戸庶民から見た江戸の歴史物語を期待していたのに、ぜんぜん違う方向へ進んだ。

 

 それにお笑い芸人の多用も気になった。毎週ネットに「あの芸人が」と情報が載っていた。芸人を使ってはいけないとは思わないけど、常軌を逸した起用ぶり。それで話題になって視聴率でも上がるなら、それはそれで必要悪と思うけど、結果はどんどん視聴率は下がるばかりだった。

 

 まっとうなドラマファンを馬鹿にしたようなキャスティング。「国宝」主演で大きな注目を集めた横浜流星を起用して、この結果。せっかくの彼の熱演が台無し。初動が良かっただけに、この結果が残念。



 マイケル・キートンが監督・製作・主演を担当した「殺し屋のプロット」。彼が演じたのはベテランの殺し屋。しかし、アルツハイマーよりも深刻な記憶障害に侵されるという展開。

 

「殺し屋のプロット」★★★★☆

 

 地味な映画。でも、マイケル・キートンが製作・監督して作りたい気持ちはわかる。

 

 年齢にふさわしい、やりがいのある役。待っても来ないなら、自分で作る、そんなキートンの意気込みが感じられる作品。


 設定も良かった。ゲスト的に出演するアル・パチーノが演じたのは、キートンが、かつて兵士として参加した湾岸戦争の上司。彼がキートンを殺し屋としてスカウトする。

 

 以来、キートンは殺し屋として人生を送って来た。表街道へ出ることなく、地味に裏社会に生きる男。しかし、記憶喪失の危機に人生を総決算する話。

 

 地味な展開がいい。今どき珍しい大人のアメリカ映画。キートンは製作、監督までして、この映画を作りたかったのは、待っていても、今のハリウッドではこんなタイプの映画など作られないと思ったからだろう。

 

 年齢的にも演じたい役を今のうちに演じておきたい、そんな切なる思いが伝わる映画。観て良かった。


 彼の思いに応えたアル・パチーノ、マーシャ・ゲイ・ハーデンのオスカー俳優。さらに、息子役にジェームズ・マースデン。


 多分、格安で出演しているんだろうと思う。そんな俳優の連帯も見えてくる佳作。

 映画監督だけでなく、俳優としても活躍したロブ・ライナーの訃報。一昨日、第1報が届いた時は「強盗による殺人」だった。なんと昨日の報道では、犯人は息子に。なんと悲しい訃報なんだろう。日本の報道では「スタンド・バイ・ミー」の監督と紹介された。

 

 監督としては「ミザリー」(キャシー・ベイツがアカデミー賞受賞)「恋人たちの予感」(メグ・ライアンの代表作)


「ア・フュー・グッドマン」(トム・クルーズ主演作)「最高の人生の見つけた方」(ジャック・ニコルソン主演作)などヒット作多数。

 

 父親は、コメディを得意としたカール・ライナー(「オー!ゴッド」「天国から落ちた男」(スティーブ・マーチン主演作)「もう一度アイ・ラブ・ユー(ベット・ミドラー主演作)」

 

 元嫁は「ビッグ」(トム・ハンクス主演作)「プリティ・リーグ」(マドンナ&トム。ハンクス主演作)「レナードの朝」のベニー・マーシャル。(ちなみにベニーの実兄は「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル)

 

 THIS IS ハリウッド人種というような、ハリウッドのど真ん中にいた人。それでいて、あの優しげな風貌、作風。そんな人が息子さんに殺されるなんて、本当にショック。

 

 日本では原田眞人。この人、日本では珍しい映画ライターから監督になった人。そして、この人も俳優として「ラスト・サムライ」などで活躍した人。

 

 映画が好きでアメリカに渡り、映画ライターとしてハリウッドから鋭いレポートを送っていた頃、この人の原稿を楽しみにしていた。日本に戻って、監督になったことは少し驚きだった。そして、中年以降は巨匠の域へ。

 

 2000年「金融腐食列島・呪縛」から「突入せよ!「あさま山荘事件」「クライマーズ・ハイ」「わが母の記」「日本の一番長い日」「関ヶ原」と7作も日本アカデミー賞の優秀賞に輝いた。



 

 原田監督の作賓では「金融腐食列島」と「クライマーズ・ハイ」は格別に好きな作品だった。俳優の使い方がうまい。「クライマーズ」では尾野真知子、滝藤賢一がスターへ一歩踏み出した。「検察側の証人」では酒向芳に注目が集まり、以降、日本映画には欠かせないバイブレーヤーになっている。

 

 どちらも70代。まだ現役の年齢。それだけに惜しい逝去の報。

 

 

 コケたことすら既に話題にもなっていない細田守の「果てしなきスカーレット」。こちらも大コケした「宝島」でSNSで作品を批判した一般観客に絡んだ大友啓史。秋ドラマが5%以下と低迷した三谷幸喜。

 

 これまで、作品をリリースすればヒットと期待されていた人たち。そんな人の新作がことごとくコケた2025年後半のエンタメ業界。

 

 共通するのは、周囲から「巨匠」扱いされて、思う存分、お金をかけた新作だったということ。「スカーレット」も「宝島」も製作費だけで20億はゆうに超えるといわれている。

 

 三谷幸喜のドラマは25年ぶりの民放の連続ドラマと期待され、主演の菅田将暉以下、浜辺美波、神木隆之介、二階堂ふみ、小栗旬など主演クラスが勢揃い。さらに大かがりなセット(80年代の設定なので)組んで大予算のドラマ。

  

 どの作品も大きなバジェットを組んだということは、ヒットは必須の条件だった。それも小ヒットではなく、メガヒット。それが小ヒットにすらならなかった。

 

 この原因は作家の肥大化した自己満足にあったと思う。そう思わせてしまった周囲の責任も大きい。


 それを実感したのは(三谷幸喜の場合)先日放映されたトーク番組「ボクらの時代」。出演したのは主演の菅田将暉、神木隆之介と三谷幸喜。



 

 特別扱いの2週連続、それも最終回に合わせての登場。テコ入れなのは、みえみえ。


 それなのに、三谷幸喜が話すのは「白米へのこだわり」。テコ入れの番宣なら、もつ少しドラマに興味を持たせるような内容を話すべき。主演の二人だって「知らない時代」の話なのだ。

 

 その話が面白いなら、まだしも、お弁当を食べる時、どんな順番で食べるとか、カレーライスを食べる時、ご飯をまぜるか、まぜないか、というどうでもいい話が続いた。

 

 ドラマは再放送を見たけど、視聴率が低迷するのは当然という内容だった。 


 完全ではないけど、やや自伝的な内容らしく、菅田将暉は若手演出家。演劇にまつわる細々としたエピソードの羅列で、まとまりもない。あの時代を知っているけど(三谷とは同世代)やや偏った内容で、本人だけが満足できるうような話の展開だった。

 アカデミー賞を受賞した石岡瑛子。彼女が衣装を手がけた「落下の王国」。


 現在、公開25周年を記念した4Kリマスターで再公開中。これが初公開の成績を大きく上回る大ヒット。(あくまでもミニシアターの規模で)

 

 監督はインド系のターセム。物語は1910年代のロスアンジェルスが舞台。主人公はスタントマンの男。スタントに失敗して入院している。まさに「落下」した男。病院で彼と交流するのが、そこに入院している少女。

 

 彼が彼女に話して聞かせる冒険あふれるおとぎ話がサブストーリー。



「落下の王国」★★☆☆☆

 

 石岡瑛子の衣装と華麗ともいえる撮影、さらにおとぎ話の舞台としてロケーションされているのはインドの名所。


 タージマハル、さらにクライマックスではジャイプールのマハラジャのフォートや邸宅が使われている。



 

 タージマハルならインドに行っていない人でも知っているだろうけど、ジャイプール(「ブルーシティ」として有名)のマハラジャが所有する建物を使用できたのは、監督がインド系だったからだろう。(日本で置きかえれば、京都御所や桂離宮でロケするようなもの)

 

 だたし、物語は安い。出来損ないの「パンズ・ラビリンス」のよう。これは監督の質の差としかいいようがない。


 その意味では、なんで、今になってヒットしているのか意味は不明。

 アニメ映画「ペリリュー・楽園のゲルニカ」。第二次世界大戦の末期、南洋に残された兵士たちのリアルを描いた映画。

 

 今年は戦後80年の節目。でも世間的な関心が高かったと思えなかった。むしろ、昭和100年というワードの方が聞こえてきた。日本にとって平和な時代が80年も続いているのだから、戦争から80年といわれてもピンとこない人が多くなる。

 

 映画は悲惨な南洋での戦地が描かれる。1万人の兵士がいて、最終的に生き延びたのは34人という厳しい現実が、優しいタッチのアニメで描かれる。

 

「ペリリュー・楽園のゲルニカ」★★★★☆

 

 前半は戦争中。後半は戦後になっているのに、それを知らない、肯定できない2年間が描かれる。この後半の2年が鮮烈。終戦後しばらくなら、孤島に情報がないのは当然だけど、1年経ち、島に駐在するアメリカ人たちが残した新聞などで、終戦になっていることを知る。

 

 それを上官たちは「日本が負けるわけはない」「この新聞はアメリカのプロパガンダ」「ニセモノだ」と決めつける。そして、そのまま終戦2年が過ぎる。

 

 戦争が終わって、すぐに帰れば、もう少し多くの命が救われたのに。でも、その愚かさも戦争なのだろう。そんな愚かしい考えがなければ、戦争へと突入しない。

 

 でも、愚かなのは人間としては避けられない本性。その本性をいかに抑えられるかが、理性であり、想像力だと思う。


 この優しい主人公を板垣李光人が細やかに声の演技をしている。主人公、均が慕う吉敷には中村倫也。

 

 戦争が遠くなった今だから許されるアニメの世界。この緩やかで優しい表現で、戦争がどんなに愚かしいものなのかを再確認しておきたい。

 

 それでも戦争がなくならないのはエゴのぶつかり。それは絶対に消えない。


 今のお隣のように。内側が危機になれば、それを隠すために権力者は声高になる。僕らはそんな愚かしい現実を今、見ている。

 

 北川景子が貧困シングルマザーを演じた「ナイトフラワー」。監督は「ミッドナイト・スワン」の内田英治。

 

 北川景子演じるシングルマザー。夫が失踪、残されたのは借金だけ。朝から夜まで、バイトを掛け持ちして生活を支えている。森田は格闘家。接点のない二人があるキッカケでバディになる。

 

「ナイトフラワー」★★★☆☆

 

 北川景子、森田望智は熱演。映画的には、この二人の熱演ぶりで十分。ただし、物語展開、演出は内田英治らしく強引。

 

 北川景子がベタベタな関西弁なので、舞台は大阪なかのと思って観ていた。でも、セリフに登場したのは「蒲田」という地名。


 東京の城北の下町。なので、貧困がテーマの作品の舞台としては申し分ない。(川崎だったら、もっとピッタリ)でも、この映画の中には「蒲田らしさ」が見えない。蒲田なら、らしい下町の風景がたくさんあるのに。全然蒲田感がない。

 

 結局、内田英治という監督はケレンで見せるけど、背景や物語への配慮があまりない人。この舞台になっ蒲田がまったく生きていないのも彼の演出力な貧困さ。(例えば新海誠の描く新宿界隈の見事さ。アニメなのに実写よりリアリティがある。それが物語の重要な要素になっている)

 

 北川景子演じるヒロインの貧困さを強調するためにバイトを掛け持ちさせる。何種類も同時進行。ラブホテルの清掃、夜の酒場、地球儀を作る零細工場まで登場。

 

 北川も熱演だけど、森田は凄い。「虎に翼」の花江ちゃんと同一人物とは思えない!