NHKBSで放映された「世界のドキュメンタリー」スティーブン・スピルバークの特集番組。この長いキャリアの監督を「家族」というテーマで語ったドキュメンタリーだった。
確かにスピルバークにとって家族というルーツは作家として大切なポイント。50年の長きにわたる監督のキャリアを50分でまとめるならテーマの設定は必要だったろう。
20代前半からスタジオに出入りして、20代半ばで監督作を世に送った早熟な天才。「JAWS」を撮影した時は26歳。サイレント時代の映画創世記を別にすれば20代で商業映画の監督としてデビューできる人なんて本当に稀。さらに、世界的なメガヒット作を生めるなんて、空前絶後。
ドキュメンタリーの前半はスピルバークが父親喪失をテーマにしていたことを指摘する。典型的なのはスピルバーク最大のヒット作「E.T」。主人公のエリオット少年は父親不在の悲しさをETの存在で癒される。
娯楽映画の監督として、芸術性は認められなかったスピルバーク。初めてアカデミー監督賞を得たのが「シンドラーのリスト」。製作したユニバーサルは興行的にヒットが見込めない「シンドラー」を作るならヒット性の高い「ジュラシックパーク」と抱き合わせと条件をつけたそうだ。その年に最大のヒット作とアカデミー賞作品を同時に発表できるスピルバークはすごいなと当時思ったけど、裏にはそんな事情があったのだ。
番組の後半には離婚したスピルバークの両親が夫婦揃って出てくる。離婚の理由は母親の不倫。長い間スピルバークは父親が原因だと思っていたので、この事実をなかなか受け入れならなかったそうだ。それでも、夫婦は晩年、過去にこだわらず交流関係を持ったそうだ。
スピルバークの50年。2000年を境に前期と後期に大まかに分けれらる。やはり充実しているのは前期。その50年を描くには50分ではまったく足りない。この3倍の時間は必要。
個人的にスピルバーグを取り上げるなら、テクニックに絞る。特に編集について。映画監督にとって一番大切なのは編集だと思うから。特にスピルバーグはこの技術に優れている人だから。


