昨日の朝、フランスの友人からメールが来た。アヌーク・エーメの訃報。もちろん「男と女」のいう見出しは日本ではついた。
フランスでも代表作なのだけど、けっしてそれだけの存在ではない。オールド・ファンには作家であり詩人でもあったジャック・プレヴェールが彼女のためにあてがきをしたという「火の接吻」の印象が強いそうだ。
個人的にはモディリアーニを描いた「モンパルナスの灯」(監督はジャック・ベッケル、モディリアーニを演じたのはフランス映画界の貴公士ジェラール・フィリップ)の妻役が印象深い。
日本で最後に公開されたのは19年の「男と女/人生最良の日々」。あの二人の58年後を描いた映画。トランティニヤンはすっかりおじいさんだったけど、エーメは素敵なおばあさんだった。
若い時から、若さを売りにしていなかった大人の女性なので、あまり老けた印象を与えなかった。
この訃報に際して、4度結婚していて、3度目の相手はフランスの大スター、ピエール・バルーで4度目がイギリスの名優アルバート・フィニーだと知った。結婚は長続きしなかったけど、男の趣味がいいのは、さすが。
フランスの有名人といえば、先日、フランソワ・アルディも亡くなった。エーメは92歳なので大往生のうちだけど、アルディは80歳。ユーミンの歌にも歌われたアルディ。晩年のアルバムも素敵だった。アルディもエーメもフランスらしい美しい年の重ね方をして生きた人だった。